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2017.07.27

RED WARRIORS 30th Anniversary『King's Rock'n Roll』2017年7月15日 大宮ソニックシティ|ギター・マガジン ライブレポート

Text by 藤井 徹(ギター・マガジン書籍編集部) Photo by 森島興一

"本物のロックンロール"を響かせた30th Anniversary Live!

RED WARRIORS 30th Anniversary『King's Rock'n Roll』2017年7月15日 大宮ソニックシティ

RED WARRIORSの30周年記念ライブが、彼らの地元でもある埼玉県の大宮ソニックシティで開催された。代表曲やファンが待ち望んだナンバーを次々と畳みかけ、ロックンロールの魅力を存分に見せつけてくれたステージの様子をお届けしよう。

 蒸し暑い。埼玉県の内陸部である大宮は開演時間の17時になっても、一向に気温が下がる気配が感じられない。だが、屋外の入場列に並ぶファンは一様に笑顔である。きっと"西武球場(88、89年開催)も暑かったわよね!"などと若い頃を振り返っているのだろう(今も皆さんお若いです!)。

 さて、オープニングアクトの栄誉を務めたのは氣志團! 「喧嘩上等」、「スタンディング・ニッポン」と続け、「One Night Carnival」の途中でブレイク。綾小路翔(vo)がRED WARRIORSへの熱い思いと感謝を語る。一旦ステージ袖に下がったかと思ったら、ダイアモンド☆ユカイよろしく派手な衣装に着替えて再登場。「バラとワイン」のメロディ、アレンジに乗せて「One Night Carnival」を歌い、早乙女光(Dance & Scream)が何十本ものバラを次々と客席へ投げ込むパフォーマンスで大盛り上がり。最後はなぜか星野源「恋」アレンジ&ダンスで「One Night Carnival」を締めくくってステージをあとにした。

 ステージ後方に"30th Anniversary"ロゴのバックドロップが降下され "そろそろRED'Sの出番が来たぜ(←わかる人は例の節回しでどうぞ)"という雰囲気で会場の熱気が充満していく。SEが止み木暮"shake"武彦(g)を先頭にkiyoshi=小川清史(b)、サポートメンバーの三国義貴(k)、西川貴博(d)が各々の持ち場につくと、shakeのリフがかき鳴らされる。ステージライトがバラ撒かれ、ピカピカのスーツ姿でユカイが勢いよく飛び込んでくるとツアー・タイトルでもある「King's Rock'n Roll」だ。"どうよ? これがロックンロールだぜ!"と言わんばかりの圧倒的なスタイル。この空気感はRED'Sにしか出せない! 立て続けに「バラとワイン」を投入すると、先ほどのバラの花束がステージに投げ入れられる。氣志團は本当にいい仕事するなと感心。エンディングではshakeがチョーキングを生かした長尺のリードを披露し、ユカイがスキャットで締めるという2017年型のアレンジを楽しむことができた。3曲目は「Wild and Vain」。乾いたサウンドの印象的なギター・リフ、ダル目なビートの隠れた人気曲では成熟したバンドの力量をまざまざと見せつける。

 「Old Fashioned Avenue」、「Monkey Dancin'」はどちらもワンナイト・ラヴをテーマにした2曲で、主人公を演じるユカイの表現力と情景が浮かぶアレンジが秀逸。ちなみに僕は2階から観ていたのですが、階下の前方でキレッキレのモンキーダンスを踊る女性3人組に釘付け。ユカイがアコギを手にしてジョン・レノンの「イマジン」をワン・コーラス歌い、「John」へと流れ込む。shakeのスライド・プレイはまさに"あの頃に戻れる"気分にさせてくれる名演だ。shakeがメイン、ユカイがサイド・ボーカルを取る「Shakin' Funky Night」、kiyoshiのベース・ソロが聴ける「野生の風」、メロトロンのしらべが優しい「Lady Blue」とメンバー個々の見せ場を織り混ぜつつライブは中盤を進んでいく。

 後半は"No Surrender, Keep on Rock'n Roll"の大合唱が起きる「Royal Straight Flush R&R」で勢いをつけると、2002年発表『7th』のエンディング曲「Back to Life」を披露。その力強いメロディ、サウンド、メッセージはデビューからの3年間を駆け抜けた頃の彼らとはまた違った魅力がある。ユカイが "意外といい曲があるんだよ"と語る再結成以降の楽曲を収めた『RED WARRIORS BEST 1999-2003』が7月に発売されたばかりなので、ぜひチェックしてもらいたい。

 続いて僕が勝手に"RED'S流ハードボイルド・ソング"と名づけている「Foolish Gambler」がここで投入された。ロックで天下を獲るための大博打を打つ"相棒"との友情物語は、ユカイとshakeが1本のマイクを分け合う姿と見事にシンクロする。恐らく会場の誰もが同じ想いでその姿を見つめていたであろう。そして本編ラストは「Casino Drive」。当時多くのギター・キッズがコピーしたイントロのリフ、 "誰にも負けやしねえぜ!"という歌詞が僕らティーンの背中をグッと押してくれた名曲中の名曲だ。客席の多くが中年と呼ばれる世代となった今も変わらず届く普遍のメッセージが込められている。ユカイがドリンクを口に含んでは何度も最前列へ向け豪快に吹きかけていく。"あの頃"はよく見たが、衛生面を気にするのか最近の若いバンドではあまりお目にかかれない光景だ。まあ、そういうところも含めてのRED WARRIORSであり、ロックンロールなのである。

 アンコールでは、まずshakeがクリーン・サウンドでフリーキーにフレーズを奏で始める。その指先はEmキーにピンときたファンの期待に応えるように「ルシアン・ヒルの上で」のイントロへとつながっていった。硬派なのにスウィートな名曲でオーディエンスの涙腺が緩んだところへ、ハードな「Wild Cherry」を叩き込む。shakeの手には青き1ピックアップのビル・ローレンス! 当時"俺は5万5千円のギターで日本武道館、西武球場のステージに立った"と語っていた愛器はshakeの手元にないと聞いていたのだが! あとで本人に確認したところ、ファンの方から"ぜひ使ってください"と託されたものだとのこと。ステージ上では特に触れられなかったが、会場の誰もが懐かしさに打ち震えたことだろう。

 ダブル・アンコールに応えた彼らが選んだのは「It's All Right」。ユカイのウクレレ、shakeのアコギを中心にパーティ終わりの独特な寂しさを表現しつつ、陽気に再会を待つといった最高のラスト・ナンバーだ。原曲では"まだまだ先は長そうだぜ〜"とあるところを、"まだまだ先はありそうだぜ〜"と歌ったユカイ。太く短く華やかに散ることを望んでいた若きバンドは、限定的な再結成をくり返して30年という月日を数えるまでに至った。

 shakeは昨今アコースティック・ギターでのインストゥルメンタル作品をリリースし、ピンク・フロイドのトリビュート・バンド原始神母や自身のバンド、木暮"shake""武彦 with Big Mountain Blueでも精力的に活動していて、両者でフジロックにも参戦する。ユカイはTVだけでなくミュージカルに出演するなどしてシンガーとして活躍の幅を広げている。kiyoshiは北海道の釧路で暮らしながら懐の深いベースをプレイしている。僕がこの日に感じたのは、三者三様に研鑽を積んできたことで、実はRED WARRIORSはとても"うまいバンド"になっていたことだ(失礼!)。今日観たのはデビュー時の危なっかしさとも、どこかイミテーションの香りを発していた全盛時とも違う、余裕あるホンモノの音を奏でてくれるロックンロール・バンド、RED WARRIORSの姿だった。懐かしいという感情よりも、先にその感情が生まれた以上は、ぜひとも30年目の新曲も聴いてみたいなと思ってしまった。shakeさん、ユカイさん、kiyoshiさん、期待しています! なお、9月2日(土)中野サンプラザにてファイナル公演が発表された。大宮公演を見逃したファンはぜひ!

Set List
1. King's Rock'n Roll
2. バラとワイン
3. Wild and Vain
4. Old Fashioned Avenue
5. Monkey Dancin'
6. John
7. Shakin' Funky Night
8. 野生の風
9. Lady Blue
10. Royal Straight Flush R&R
11. Back to Life
12. Foolish Gambler
13. Casino Drive

Encore
1. ルシアン・ヒルの上で
2. Wild Cherry
3. It's All Right


RED WARRIORS オフィシャル
Twitter:https://twitter.com/redwarriors30th
facebook:https://www.facebook.com/redwarriorsofficial/

木暮"shake"武彦 オフィシャルサイト
http://www.psychodelicious.com/

ダイアモンド☆ユカイ オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/diamondyukai/

小川清史 オフィシャルブログ
http://dokiyoshi.exblog.jp/