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2017.09.04

リン・テイト本人が語る スカ〜ロックステディの創生秘話|ギター・マガジン2017年9月号より

Interview by 石井"EC"志津男 Photo by 小原啓樹, 菊地昇

リン・テイトをご存知だろうか。トリニダードの伝統音楽であるカリプソのスタイルをジャマイカに持ち込み、のちのRocksteady〜Reggaeの確立に多大なる貢献を果たした偉人中の偉人だ。彼なくして今日の音楽は語れないだろう。ここでは、SKAやRocksteadyの誕生を当時のジャマイカ・ミュージシャンの証言からたどったドキュメンタリー映画『ラフン・タフ』の関連書籍より、リン・テイトのインタビューを再掲載しよう。

スティール・パン奏者からギタリストへの転身

私の父親がギター職人だって? それは間違いだ。船の甲板で錨を修理する仕事をしていたからね。トリニダードに住んでいた頃は、私はスティール・ドラムの楽団でスティール・パン(以下、パン)を叩いていた。最初はギターじゃなかったんだよ。なぜパン奏者を辞めてギターを弾くようになったのかって? いい質問だ。私は当時、ソロのパン奏者としてナンバーワンだった。トリニダードでは私の右に出るものはいなかったよ。でも、極めるところまで行ってしまうと、その先がない。だからギターを始めた。パンを続けることもできたけけれど、ギターを練習したら弾けるようになったから、それが最終的に仕事になったというわけだ。ジャマイカに行く前にダッチ・ブラザーズというトリニダードのグループで、2曲レコーディングしたな。ジャマイカに移住したのは、当時私がいたバンドにふたつの仕事が来たことがきっかけなんだ。ひとつが南米、もうひとつがジャマイカに行く仕事。日程が重なっていたので、グループをふたつに分けて、私のほうはジャマイカヘ行くことになった。で、そのまま居ついてしまったのさ。トリニダードのバンド・マネージャーがギャラを全部持ち逃げしてしまい、"お金をくれるまでトリニダードには帰らない"と言い張ったのが居ついてしまった理由だよ(笑)。そうこうしているうちにバイロン・リー(b/当時ホテルなどで観光客相手に演奏をしていたロックステディ・バンド=ドラゴン楽団のリーダー)がやってきて、私をシークスへ、ドラマーをモンテゴ・ベイのスティル・ウェルへ、ベーシストをヴァガボンドへという具合に、当時ジャマイカにあったクラブにバラバラに突っ込んでくれた。おかげで私はキングストンのシークスで演奏することになった。それが62年、いや、ジャマイカ独立の翌年だったから63年のことだな。その頃のジャマイカの音楽はスカだ。みんな踊っていて、スカがのちにスロー・ダウンするなんて誰も考えていなかったと思うがね。最初のレコーディング・セッションは、えーっと......ババ・ブルックス&ヒズ・バンドの「シャンク・アイ・シェック」(1965年)かな。プロデューサーが誰だったか、もう覚えていないな。私がトランペットのババ・ブルックスとやったナンバーだよ。ヒットした曲という意味では「シャンク・アイ・シェック」が最初なんだ。もちろんその前にもレコーディングはしている。スカタライツに参加したりとかね。でもメインじゃなかった。スタジオではグラディ・アンダーソンとよく一緒にいたよ。私のトリニダード・アクセントの英語や話し方は、ジャマイカの人たちにとってはものすごくキュートだったらしく、うまく通じなくてね。グラディはいつも私の代わりにみんなに話をしてくれた。私がグラディに言ったことを、彼がバンドのメンバーに話してくれたり、一緒にシンガーのバックをやったりもしたりして、グラディとはとても親しくなっていった。彼とはデューク・リード(トロージャン、トレジャーアイルなどスカ〜レゲエの重要レーベルを立ち上げたプロデューサー)のセッションで出会ったんだ。そういえば、私を初めてデュークのセッションに連れて行ってくれたのはスカタライツのロイド・ニブ(d)だったね。

(続きは、ギター・マガジン2017年9月号にて!)


【イベント】

9/8(金)at 晴れたら空に豆まいて
『ジャマイカ、楽園のギタリストたち』特集記念 Guitar magazine JAMAICA Night!!

カリブの空と海が育んだ、楽園のギターを浴びろ!
ギター・マガジン2017年9月号『ジャマイカ、楽園のギタリストたち』の発売を記念し、スカ、ロックステディ、レゲエ、さらにはカリプソやメントといったカリブ音楽を、"ギター目線"で徹底的に掘り下げるイベントを決行! 特集で取り上げた名盤を聴きながらの考察トーク&編集ウラ話、古いカリプソ・カバーなどをレパートリーに持つWADA MAMBOのデュオ・ライブ、数多のジャマイカン・レジェンドたちと共演してきた秋廣シンイチロウ率いるスペシャル・バンドのライブなど。ジャマイカまわりのギタリスト多数出演のロックステディ〜カリビアン・ギター・ショウケース!熱い一夜になること間違いなしです!

【出演バンド】

マンボーロック・スペシャル・バンド:歌心を紡ぎ、ひたすらバンドをグルーヴさせるロックステディ・ギター職人、秋廣シンイチロウを中心に、そのスジの達人が集うセッション・バンド。

秋廣シンイチロウ(kodama and the dub station band、speak no evil、matt sounds):guitar
大和田"BAKU"誠(cool wise man、copa salvo、matt sounds):guitar
長久保寛之(exotico de lago、lake、tetsundo trio):guitar
リンテ伊藤(the eskargot miles、スキヤキス):guitar
ワダマンボ(Cassette Con-Los):guitar
小粥テツンド(TETSUNIQUES、TUFF SESSION、Matt Sounds):bass
ヤギー (TUFF SESSION、NISHIYARD、tetsundo trio、):drums

WADA MAMBO(guitar)+アンドウケンジロウ(clarinet) : 日本随一のカリプソ・バンドと呼ばれるカセットコンロスを率いて20年弱。古めのカリプソだの、アフリカだの、ブルースだの。そしてネコ、ギター、廃れ行く諸々をこよなく愛する。

【トーク・セッション】

ワダマコト(カセットコンロス)×河原賢一郎(ギター・マガジン副編集長)
誌面で紹介したレコード演奏&解説。ギターの奏法実演など。

【SHOP】

ピカント


【イベント概要】

9/8(金) at 晴れたら空に豆まいて

開 18:30/演 19:30 前 2,500円/当 3,000円 +1D 600円
(ギター・マガジン2017年9月号ご持参の方は500円引き!!)

問い合わせはコチラ


ジャマイカ特集の本誌と連動したAppleMusicのプレイリストが公開中!


品種雑誌
仕様A4変形判 / 258ページ
発売日2017.08.12