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2017.12.18

大井一彌[DATS、yahyel]Since 1992/U25-Drummers Vol.3|リズム&ドラム・マガジン2018年月1号より

Programmed by Rhythm & Drums Magazine

リズム&ドラム・マガジン2018年1月号では、U-25世代のドラマー4名をフィーチャーした特別企画を敢行。今回は、ミニマルなダンス・ミュージックをバンド・スタイルで体現する4人組DATSの大井一彌を紹介しよう。特異なメンバー編成で活動するyahyel(ヤイエル)でもドラムを務める大井は、パッドやトリガーを取り入れたエレクトロニックなセッティングで、ダブステップやフューチャー・ベースのパターンを人力で再構築。ライヴではロック的"熱さ"を纏った強靭なドラミングで、独創的なビートを生み出している。ここでは彼のルーツをはじめ、今後のドラマー的なトレンドを語ってもらった。

生演奏するときに再解釈/再構築することが大切で

ライヴでもDTMのビート・トラックを想起させる

ギミックを入れたいと思っている

─初の取材になるので、まずは大井さんがドラムを始めたところからお聞きしたいです。

大井 ギターを弾ける幼馴染みがいて、そいつに誘われて中学校を卒業した頃に始めました。それで高校は軽音楽部に入ったんですけど、60年代の音楽好きが集まっていて(笑)、僕は父親の影響でジャズもよく聴いていましたけど、高校時代はモッズやサイケデリック・ロックのバンドを組んでいました。

─卒業後は、音大へ進学されたんですよね?

大井 そうですね。当時は何となくスタジオ・ミュージシャンになりたくて、大学生の頃は"仕事"って言ったらたかが知れてますけど、ライヴ・サポートを引き受けたり、レコーディングを手伝ったりしていました。だから全然バンドマンになるつもりはなかったんですよね。DATSに加入したのは2015年で、個人的にはDAWソフトで打ち込みの音楽を作ったり、トリガーやサンプラー、電子ドラムを取り入れたり、生ドラム以上のものを求めて試行錯誤していた時期で。それこそ今のyahyelみたいな、スネアも使わず、パッドとトリガーで演奏するスタイルを研究していたので、タイミングよくDATS、そしてyahyelに出会い、自分のやりたい音楽とも合致した感じです。

─6月に1stアルバム『Application』をリリースされましたが、楽曲の制作方法は?

大井 ほぼラップトップ1台で完結します。ビート・メイクに関しても、ドラマーじゃない人の作るものが面白いことって多々あるから、メンバーの意見もどんどん取り入れますよ。ドラムを叩けると、どうしてもハイハットやスネアの位置関係を考えたり、こういうフォームで叩いてって想像してしまうから、その合理性の中でしかフレーズを作れないと思うんです。だけどビート・メイカーの場合、グリッド上に何を並べても、どういう順番に鳴らしてもいいわけだから、やっぱり突飛な面白いアイディアが出てくるんですよ。

─ライヴでの生演奏は、音源制作とは別ものということですか?

大井 そうですね。ただ別ものとは言え、打ち込みの音源を生演奏するときに、再解釈/再構築することが大切で、ライヴでもDTMのビート・トラックを想起させるギミックを入れたいと思っています。音源でカッコいいビート・トラックが入っているのに、ライヴでは生ドラムの音だけでビートが構成されているのは残念だし、もっと面白くする方法があると思います。そこでDTMとの相関を意識するというか、打ち込みのトラックをあらためて聴いて、何が重要なのか、そのビートにはどういう面白さが潜んでいるかを考えて、そこから生演奏で表現するにはどうすべきかっていうところで。例えば、生のキックには出せない低帯域が必要だったら、トリガーをつけてディケイやEQをいじったサンプルを重ねてみたりだとか、音源で使ったサンプルを電子パッドに取り入れて叩くとか。"サンプルを叩く"っていうのは、DTM的な言い方をすると、ベロシティとタイミングをヒューマナイズすることだと思うし、それはすごく意義があることで。あとは細かいんですけど、僕はハイハットを左右にセットして、LRにパンが振れるようにしています。エレクトロ音楽の面白味として、パーカッションやハイハットの定位が動いたりする仕掛けがあって、それを人力で再現したらものすごくDTM的だと思って。それとリズム・マシンの再現にはディケイのスピード、歯切れの良さが必要になるので、ハイハットは12″です。

(続きはリズム&ドラム・マガジン2018年1月号にて!)


リズム&ドラム・マガジン 2018年1月号

品種雑誌
仕様A4変形判 / 164ページ
発売日2017.11.25