立東舎文庫

ロック史

北中 正和(著)

定価990円 (本体900円+税10%)
発売日2017.10.20
品種書籍
仕様文庫 / 320ページ
ISBN9784845631292

内容

気軽にロックの歩みを一望できる、音楽愛に満ちた入門書

20世紀半ばに誕生したロックは、なぜ若者の心を捉え、発展していったのか。本書は、その歩みを丹念に追う「ロック入門書」です。しかし同時に、「音楽の変化も知りたいし、ミュージシャンの過激なエピソードものぞきたいし、レコード産業の裏側も見たいし、ロックを生んだアメリカ社会にも首をつっこみたい」という著者の思いそのままに、ロックを取り巻くさまざまな事柄にも触れている「欲ばりな本」でもあります。

ガイドとして未知のアーティストを見つけるのはもちろん、アーティストの意外なエピソードに驚くのもよし、音楽産業の変化を学ぶもよし、音楽を生み出した社会背景を知るもよし。ロックの歴史からは、さまざまなことが見えてくるはずです。

【目次】
■1. ロックンロールの誕生
熱狂と非難の中で──エルヴィスの登場
ロックンロールは、どこからどうして生れたか
歌より、誰がうたうかが問題だ
ルーツのひとつ、ブルース
レイス・レコードからR&Bに
カントリー&ウェスタンの黄金時代
「ロック・アラウンド・ザ・クロック」の大ヒット
エルヴィスの中で、黒人音楽と白人音楽は一体となった

■2. 反抗のエネルギー
ロックンロールの共通項
ロックの詩人、チャック・ベリー
「ぼく自身が生きた炎なんだ」
豊かな生活に背を向けたビート族
『乱暴者』『理由なき反抗』の青春
反逆のヒーローDJ、アラン・フリード
保守層の反発を買った黒人音楽への肩入れ
新しい消費者の出現
インディ・レーベルの活躍
45回転レコードの普及

■3. アメリカン・グラフィティ』の時代
なぜ一九五〇年代のヒット曲を使ったのか
ティーン・アイドルの全盛期
ロックンロールが死んだ年
オールディーズ・バット・グッディーズ
プロデューサーやソングライターの台頭
キャロル・キング、ニール・セダカら都会派の活躍
億万長者になったプロデューサー
「恋やセックス以外にも重要なものがあるんだ」
答は風に吹かれている

■4. ビートルズ・ブームとソウルの誕生
緊張気味のビートルズを待っていたもの
ビッグ・スターは辺境の地から生まれた
ビートルズの発見者、ブライアン・エプスタイン
ビートルズの宣伝作戦
一位から五位までが、すべてビートルズの曲に
〝反抗〟を売り物にしたローリング・ストーンズ
人の数だけ、ソウルの定義はある
新しい黒人のイメージを作ったモータウン
「黒人であることに誇りを持て」

■5. ウッドストック・ネーション
ボブ・ディラン、フォーク・ロックに転身
「サンフランシスコに行くときは......」
ロックンロールからロックへ
ライヴ活動を停止したビートルズ
「愛こそはすべて」
ウッドストック・フェスティヴァルの熱狂
次第に明らかになった〝ユートピア〟
巨大化への道を歩み始めたロック・ビジネス
〝三十歳以上の人間を信用するな〟

■6. ロックの成熟
次から次にヒーローは死んだ
「わたしの手の届くところにいてちょうだい」
「火と雨」の混乱をくぐりぬけて
伝統の再発見としてのカントリー・ロック
イギリスのロックの新しい展開
クールで都会感覚のグラム・ロック
黒人音楽の行方を占うヒット曲
ファンクのスーパースター
音のないタイトル曲「暴動」
クロスオーヴァーで、ロックは大人のものに
ロックはエンターテインメントの主流に
多彩な女性ロック歌手の登場
ディスコ・ブームを作った『サタデー・ナイト・フィーヴァー』
ロックと政治・社会問題
誰もがスーパースターになればいいのか

■7. パンクとレゲエ
パンクはアメリカで生まれた
きわどい演出が人気を呼んだ、セックス・ピストルズ
〝オレは暴動が欲しい〟
「決してロック・エスタブリッシュメントにならない」
レゲエの誕生
パンクとレゲエの交流
ニュー・ウェイヴとシンセサイザー
新しいタイプのインディ・レーベル
「いきのいい音楽を即レコードにする」
アメリカの不振の中で
パンクの手袋は完全に裏返った

■8. マルチ・メディア時代のロック
スーパースターの誕生を助けたMTV
「テレビ・ベイビーの感覚に訴えよ」
黒人ミュージシャンの活躍
バンドと聴衆を結ぶもの

■9. 世界音楽の中のロック
インディ・ロックの商業性
ヒップホップの変化と多様化
ダンス・ミュージックとロック
世界史の転換とワールド・ミュージック
社会の変化が音楽のリズムを変える

付録:参考音源リスト

編集担当より一言

ロックはどのようにして生まれ、なぜ20世紀後半にはあれほどまでに流行したのか?
本書は、エルヴィス・プレスリーから始まったロック(ロックンロール)の歴史を丹念に追いながらも、その誕生、発展、成熟、多様化といった各局面での社会背景や音楽業界の変化などにも触れることで、この特殊なポピュラーミュージックの不思議な生態をあらわにしてくれます。現在はワールドミュージックの分野での活躍で知られる著者が、なぜいまだにロックに惹かれ続けているのか。その理由も、ロックの特殊性にこそあるのです。
巻末には、192タイトルもの参考音源が著者のコメント付きで掲載されているのも、本書の大きな特徴。簡にして要を得た解説を読めば、「これも聴きたい!」「あれも聴きたい!」となること必至です。かくいう編集担当も、Spotifyで音源をあさりながらの楽しい編集作業でした!
ロックという文化現象の誕生から多様化までの一大サーガ、ぜひ、お楽しみください。(立東舎/山口)