一般音楽論

音楽理論、音楽史、音楽物理の総まとめ

清水 響(著)

定価2,750円 (本体2,500円+税10%)
発売日2021.02.19
品種書籍
仕様A5判 / 360ページ
ISBN9784845635894

内容

一家に一冊!
音楽にまつわる広範な知識を一気に学べる、“ありそうでなかった”音楽の教科書

音楽全般に関しての幅広い知識を独学で身につけるのは、意外と難しいものです。複数の専門書を選び出して読んでいくにしても、音楽についての百科事典をくまなく読むにしても、効率度外視の根気と時間が要求されてしまいます。

そこで、一般に知っておくべき音楽の知識を順序立てて解説しているのが、この『一般音楽論』です。音楽全体を俯瞰的に捉え、音楽理論から歴史や様式、音響物理など、音楽に関する項目を幅広くカバーしています。音楽を専門的に学ぶ学校のカリキュラムのうち、実技や演習を除いた"座学"における一般的な内容を取り扱っているため、この本に書かれている各項目を理解することができれば、広範な知識が十分身に付いていると言えるでしょう。

純粋な音楽理論から音楽の構造、宗教や歴史といった人文科学や社会科学、音響物理などの自然科学に至るまで様々な事項を取り扱っているため、知識を会得するだけでなく、読み進めていくたびに音楽に対する新しい視点を持てるようになり、これまでよりさらに深く音楽鑑賞や制作、演奏を楽しめるようになるでしょう。

◎コンテンツ
■第一編 旋律と和声
I 調の旋律
1 音階
2 音階の非対称性
3 音階の構成音

II 短調の旋律
1 短音階
2 和声的短音階
3 旋律的短音階

III 和音
1 三和音と短三和音
2 コードシンボルによる表記
3 ダイアトニックトライアド
4 ダイアトニックセブンスコード

IV 和声の基礎
1 和音の進行例 1
2 和音の進行例 2

V 和音の機能
1 トニック機能とドミナント機能
2 旋律内の非和声音
3 リハーモナイズ
4 短調の和声

■第二編 和声の拡張
I 調の選択
1 主音と調の関係
2 声域による調の選択
3 楽器の音域
4 楽器による調の選択
5 移調楽器

II 転調
1 調と短調の入れ替え
2 トニシゼーションによる転調
3 主音の移動による音楽的効果

III 調性外の音高を用いる和声
1 変化記号と非和声音
2 モーダルインターチェンジ
3 サブスティチュートドミナントとネアポリタンシックスス
4 オーグメンティドシックススコード

■第三編 拍と拍子
I 拍の連なり
1 拍

2 拍子
3 拍子の体感

II テンポ
1 音価と速度記号
2 BPM

3 速度感の決定

III 二拍子と四拍子
1 リズムパターンによる拍子の決定
2 伴奏による拍子の決定
3 歌詞による拍子の決定
4 二分の二拍子と四分の四拍子

■第四編 拍子の拡張
I 複合拍子
1 八分の六拍子
2 八分の九拍子

II 混合拍子
1 四分の五拍子
2 八分の七拍子

III 可変拍子
1 フレーズの縮小と拡張
2 連続する拍子の変化

IV ポリリズム
1 拍の奇数分割と偶数分割
2 複数拍子の同時進行
3 ヘミオラ

V 音楽ジャンルとリズムパターン
1 ヨーロッパの舞曲
2 ラテンアメリカのリズム
3 アングロアメリカのリズム

■第五編 音楽のテクスチュア
I 三種類のテクスチュア
1 テクスチュアの分類
2 テクスチュアの変化

II モノフォニーと教会旋法
1 カトリック教会とグレゴリオ聖歌
2 教会旋法
3 グレゴリオ聖歌の分析
4 非西洋圏の音楽と教会旋法との類似点

III ポリフォニーと対位法
1 オルガヌムとノートルダム学派
2 オルガヌムの分析
3 アルスノーヴァとアイソリズム
4 ルネサンスの音楽とカノン
5 対位法

IV その他のテクスチュア
1 バイフォニック・テクスチュア
2 ヘテロフォニック・テクスチュア

■第六編 音楽の形式
I 終止とフレーズ
1 終止
2 フレーズとピリオド

II 様々な形式
1 二部形式
2 二部形式の分析
3 三部形式
4 複合三部形式
5 ソナタ形式の構成
6 ソナタ形式の分析
7 ロンド形式
8 変奏曲形式

III ポピュラー音楽の構成
1 ヴァースとコーラス
2 プレコーラス、ポストコーラスとブリッジ
3 歌唱を含まないセクション
4 ポピュラー音楽の構成例

IV ジャンル別の楽曲構成
1 ロックミュージックの構成
2 ブルースの構成
3 ジャズの構成

■第七編 音楽の編成
I 小規模の編成
1 ポピュラー音楽の編成
2 独奏

3 室内楽の編成
4 二重奏
5 弦楽器を含む室内楽
6 管楽器を含む室内楽
7 ピエロアンサンブル

II 大規模な編成
1 弦楽合奏
2 オーケストラの編成
3 古典派期のオーケストラ
4 ロマン派期のオーケストラ
5 大規模編成による楽曲
6 吹奏楽

■第八編 音楽の様式
I 音楽の標題
1 絶対音楽
2 標題音楽と交響詩
3 イデフィクスとライトモティーフ
4 ナショナリズムの音楽

II ポストトーナルの音楽
1 トリスタン和音と調性からの脱却
2 印象派の音楽
3 新ウィーン楽派の音楽

III 新しい音楽の表現
1 原始主義
2 パンダイアトニシズム
3 デスメタルの技法

■第九編 音の正体
I 音の発生
1 疎密波
2 音の知覚
3 音速

II 音の大きさ
1 空気圧の変化量
2 知覚と実測値の相違
3 音の大きさの単位

III 音の高さ
1 音の高さ
2 等ラウドネス曲線

IV 音色
1 波形
2 弦の定在波と倍音
3 管楽器の倍音
4 噪音

■第十編 音律
I 音楽における周波数
1 音の高さの基準
2 うなり

II ピタゴラス音律とその変形
1 オクターブの分割
2 ピタゴラス音律の導出
3 ピタゴラス音律の性質
4 中全音律
5 純正律

III 平均律とセント
1 平均律の導出
2 平均律で生じるうなり
3 セント

編集担当より一言

大人になってから音楽を学ぼうと思っても、何から手をつけていいのかわからないことが多いのではないでしょうか? 音楽理論、音楽の歴史、音に関する物理などに特化したそれぞれの本はあっても、それらを通読しながらバランス良く学んでいくのは効率が悪いですし、本の選択も非常に難しいものです。この『一般音楽論』が目指したのは、大人のための音楽の教科書です。

楽器を演奏するにしても、曲を制作するにしても、音楽を観賞するにしても、「音楽の基礎を一通り学ぶ」ことで、より幅広く、深い楽しみ方ができるようになります(例えば、本書の第五編で取り上げた“テクスチュア”という要素に注目すれば、グレゴリオ聖歌とブラック・サバスの共通点を見つけることもできるでしょう)。本書の知識をどう活かすかは各々の読者次第ですが、一度通読しておくと音楽に対する視野がグッと広くなる一冊です!
(編集担当/橋本修一)