図書の家選書11 おどれ白鳥

図書の家選書13

白鳥の死〜初期短編集〜

あっ こ…これはママのトゥシューズ!!
そうだわ!! この靴をはいて踊ろう!
ママの靴をはいて全力をつくして踊るのだわ
             ───「白鳥の死」


「バレエ星」など“超展開バレエマンガ”で知られる谷ゆき子。表題作である1959年金龍出版社から発行されていた貸本短編誌『乙女の祈り』発表のバレエマンガ「白鳥の死」「幸せのほゝえみ」の他、「湖への招待」「蘇えった魂」「星かげの微笑(ほゝえみ)」、その唯一無二の魅力の片鱗を感じる初期短編5作を発表当時のカラーもそのままに一挙収録!

※本書は発表当時の書籍を底本として復刻しています。ノンブル表記を原本そのままにしている作品があります。
色についても現状の書籍の状態をほとんどそのままにしており、ページの傷みや破れ、シミなどを含んでいる場合があります。
本書には、現在の観点から見ると差別用語と取られかねない表現が含まれていますが、原文の歴史性を考慮してそのままとしました。


【目次】
白鳥の死(1959年)
幸せのほゝえみ(1959年)
湖への招待(1960年)
蘇えった魂(1960年)
星かげの微笑(1960年)

解説 貸本マンガとは/想田四
作品解説/図書の家

プロフィール
「図書の家選書」発刊にあたって

目次

「白鳥の死」扉

「白鳥の湖」のオーディションでみどりはライバルの真弓を蹴落としてオデット姫の役をつかみました。真弓は真面目に練習を重ねて美しく端役の白鳥を踊ります。(「幸せのほゝえみ」より)

著者プロフィール

谷ゆき子(谷悠紀子、谷ゆきこ)

マンガ家。1935年7月7日兵庫県生まれ。
高校卒業後、大阪のテレビ局で美術の仕事をしていたが、1958年に金竜出版社より貸本単行本『夕映の詩集』でデビューしマンガ家となる。同社発行の貸本短編誌『虹』『すみれ』にマンガ作品の他、カットや表紙イラストを長期間担当。センスの良さと画力の高さで人気作家となる。このころ、花村えい子、楳図かずお、高橋真琴らと知り合う。64年に講談社の誘いにより活躍の場を東京に移し『少女フレンド』に「スズラン天使」などの作品を発表。その後66年から小学館の学年雑誌に10年にわたり連載した『バレエ星』をはじめとする悲しいバレエマンガシリーズが大ヒットとなる。また、谷の美しいイラストが描かれた文房具は少女たちの人気を集めた。80年代にはマンガを描くのをやめて関西に転居した。99年、病気のため64歳で逝去。

企画・編集・制作

図書の家
https://www.toshonoie.net/

少女マンガに関する書籍の企画編集制作、デザイン、映像制作などを行っている。初出調査・作家検証は自己所有資料を含め実資料にあたることを信条としている。
立東舎では飛鳥幸子著『決定版!怪盗こうもり男爵』(2019)の他に『文月今日子の世界』(2023)、アンソロジー『マンガ化!世界文学 耽美とヒロイン』(山田英生と共同編集/2022)、『ザ・少女マンガ!忠津陽子の世界』(2021)、『かわいい!少女マンガ・ファッションブック』(倉持佳代子と共同編集/2020)、谷ゆき子著『バレエ星』他2作(2017-18)などを刊行。ほかに河出書房新社では少女マンガ家の仕事をまとめた『総特集シリーズ』(2015-24まで8冊)などを刊行している。


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