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最強プレイヤーズ・コンテスト2011【ギター部門】

“最強”の称号は誰の手に?「最強プレイヤーズ・コンテスト2011」

今年もまた恒例の『ギター・マガジン』誌上ギター・コンテストの季節がやってきた!楽器フェア特設ステージでのライブ・パフォーマンスが最終審査となる“最強プレイヤーズ・コンテスト2011”。今回の課題曲を制作してくれたのは本誌でもお馴染みの名手、DIMENSIONの増崎孝司。実にトライしがいのある2曲に仕上がっている。ギター・プレイの完全再現を目指す“完コピ部門”、課題音源をバックに自由にフレーズを創作してもらう“クリエイティブ部門”、どちらを選んでもOK。最強ギタリストを目指して思いっきりチャレンジしてほしい!

最終審査ダイジェスト動画 審査結果発表

judge

課題曲「Pressure」

  • 大塚澄生(44)
  • 稲田尚士(39)
  • 山口涼也(21)

課題曲「Empty Heart」

  • 下村尚由(36)
  • 西尾智矢(26)
  • 田中裕右(23)

第三次審査通過者

課題曲「Pressure」:3名

●山口涼也(21) ●稲田尚士(39) ●大塚澄生(44)

課題曲「Empty Heart」:3名

●田中裕右(23) ●西尾智矢(26) ●下村尚由(36)

第二次審査通過者

課題曲「Pressure」:6名

★クリエイティブ部門
●稲田尚士(39)●太田聖也(14)●大塚澄生(44)●鈴木佑太郎(24)●根津甫(28)●山口涼也(21)

課題曲「Empty Heart」:5名

★クリエイティブ部門
●下村尚由(36)●白須賀悟(29)●田中裕右(23)●西尾智矢(26)

★完コピ部門
●井田義昭(48)

GM編集部審査コメント

 毎年“今年はレベルが高い”と感じながら審査していますが,今回ほどそれを痛感したことはありませんでした。激戦となった一次を通過した作品群は,テクニック的にはそれほど差があるわけではなく,あとは音楽としてキラリと光る何かがあるかが勝負の分かれ目だったと思います。「Pressure」は特に腕達者が集中しました。他を圧倒する構成力を持った大塚さん,エディ・ヴァン・ヘイレン的リズム感でスペイシーに弾ききった14歳の太田君,そしてスリリングにドライブする山口さんなどが心に残りました。「Empty Heart」は,頭ひとつ抜き出た作品は見あたらないのが少々残念でした。それでも曲に合ったギターを弾いた白須賀さん,下村さん,田中さんが健闘しています。全体を通じて言えるのは,人に聴かせることを忘れずにプレイした作品が残ったということ。果たしてライブ審査に臨むのは誰か? 楽しみです。 

(野口広之/本誌編集長)

 毎年,読者ギタリストのレベルの高さに驚愕します。一体どうしたらそんなにうまくなるんですか! 「Pressure」はコード進行と拍子の高めのハードルがあったにも関わらず,それを軽くクリアしたうえでメロディやフレーズを歌わせていた作品が残りました。14歳の太田聖也くんのエネルギッシュな演奏に唸り,鈴木さん,根津さん,山口さんという20代のギタリストの確かなテクニックと溌剌としたメロディ・センスに悶絶しました。うまい!「Empty Heart」のゆったりめのテンポと転調は,クライマックスを速弾き一辺倒で押し通すタイプのプレイヤーにはかなり難しかったのではないでしょうか。ごまかしが効かないので,決定的なリズム感が必要になったと思います。その中で伸び伸びと歌い上げていた白須賀さん,西尾さんのプレイはとても印象に残りました。全員のライブを観てみたかったというのが本心です。

(鈴木伸明/本誌副編集長)

ギタリスト審査コメント

 応募者の皆さん,お疲れ様でした! 毎回のことながら実力伯仲で審査は悩みまくりでした。今回は課題曲が2曲とも難しいコード・チェンジが山盛りの難曲でしたが,そんな関門もこの第2次審査に残った応募者の皆さんは難なくクリアされていました。改めてGM読者のレベルの高さ,そしてギターにかける情熱を感じた次第です! さて審査についてですが,ギタリストとしての腕前はもちろんですが,クリエイティブ部門では楽曲としても楽しめる構成感のある作品,という点にも留意して選考させていただきました。中には,トーンの切り替えはもちろん,発音のニュアンスやイントネーションの絶妙な起伏といったようなレベルで聴かせてくれる作品もあり,唸りました。完コピ部門もレベルが高く,ほとんどの応募作がしっかりと原曲のフレーズを摸写していました。微妙な差が付いたのは,リズムの切れやイントネーションなどのプラス要素でした。

(安東滋)

 課題曲「Pressure」は,コード進行と拍子が変化に富んでいて,ハードルは相当高かったと思います。それでも皆さん凄いクオリティのプレイを繰り広げていました。評価を分けたのは全体の構成力です。テクニックを魅せるためのシュレッド満載だと,後半辺りには食傷気味になります。印象的なメロディをきっちり作り込んで歌い上げ,ここぞという時に電光石火のプレイ,そんなセンスのある演奏には,やはり引き込まれました。課題曲「Empty Heart」もまた,スケールの選択など一筋縄ではいかなかったようで,転調のたびにフレーズが分断されたようなソロが多かったように思います。そんな中でも一貫性をもって歌い上げたプレイがいくつかありました。完コピ部門は2曲とも超難易度の中,みなさんがんばっていたと思いますが,課題は音の強弱やリズムの安定,音色を可変させながらの歌い上げでしょうか。参加された皆さん,本当にお疲れ様でした!

(宮脇俊郎)

第一次審査通過者

課題曲「Pressure」

★クリエイティブ部門 16
●稲田尚士(39)●太田聖也(14)●大塚澄生(44)●熊川博靖(29)●酒井孝之(27)●酒井秀彰(32)●鈴木博之(20)●鈴木佑太郎(24)●田辺康平(17)●戸梶和希(16)●西村裕(49)●根津甫(28)●樋口征宏(28)●宮地裕太(24)●村上裕明(39)●山口涼也(21)

★完コピ部門 3名
●近藤聡一郎(32)●布田潤(35)●荻原秀文(27)

課題曲「Empty Heart」

★クリエイティブ部門 8名
●加藤洋平(26)●加納淳嗣(26)●佐久間礼(23)●下村尚由(36)●白須賀悟(29)●田中裕右(23)●西尾知矢(26)●宮田潤(29)

★完コピ部門 5名
●天沼一明(27)●井田義昭(48)●小林宏至(36)●塩谷順哉(40)●副島俊樹(19)

編集部からのコメント

 最強プレイヤーズ・コンテスト2011に多数のご応募をありがとうございました。Guitar Magazine Championshipと合わせれば9回を数えますが,すでに多数のプロを輩出するなど音楽シーンに一定の足跡を残すまでになりました。これも読者の皆様のチャレンジ精神のたまものです。さて,今年の傾向ですが,また一段レベルが上がったなという印象です。一次審査の段階から最終審査並みの厳しい基準で臨まなければなりませんでした。特に「PRESSURE」は変拍子と転調が鍵の難曲ですが,あっさりと自分のものにして軽々と弾ききっている作品が多数見受けられました。この曲の合否を分けたのは,いかに弾いたかではなく,いかに弾かなかったか,だったと思います。休符こそが重要だと熟知し,全体を音楽として構築した人が残っています。

(野口広之/本誌編集長)

 メロディアスでとても聴きやすい課題曲ですが,転調あり,変拍子ありで実際にプレイしてみるとなかなか手強かったのではないかと思います。しかし,毎年感じるのですが,今回もハイレベルの演奏がたくさん送られてきて,とても驚きました。最終審査となるライブ演奏をイメージしながら,ギターがしっかり歌っている方を選びました。また,ぜひ来年もチャレンジしてほしいと思わせるプレイを聴かせてくれた小学生と女性ふたりに,奨励賞を贈らせてもらいました。今回参加を見送った小中学生や女性の方はぜひとも次回は気軽に挑戦してほしいと思います。低学年層や女性ギタリストが増えれば,ギター業界がさらに活気づいて楽しくなるはず!という編集部の思いがこもった賞です。

(鈴木伸明/本誌副編集長)

【奨励賞】惜しくも一次審査からは漏れたものの、実に生き生きとした演奏を聴かせてくれた3名の方へ編集部より贈ります。
●明石歩(27) Pressure クリエイティブ ●鷲見玲旺(11) Pressure 完コピ ●須賀妙子(50) Pressure 完コピ

応募要項

応募要項

『ギター・マガジン 2011年6月号』の付録CDに収録されている課題曲「Pressure」「Empty Heart」のどちらか1曲を選び、さらにクリエイティブ部門/完コピ部門を選択して下さい。そのうえで応募用のカラオケ音源に合わせてギターを演奏・録音し、同号付録のエントリー・シートに必要事項を記入のうえ応募券を添付し、ご応募下さい。年齢、国籍、プロ/アマは問いませんが、特定のレーベルに所属しているアーティストの方は参加をご遠慮下さい。応募の締め切りは、2011年8月10日(当日消印有効)。多数のご応募をお待ちしています!

最終審査までの流れ

最終審査までの流れ

第一次審査 『ギター・マガジン』編集部にて行ないます。
審査通過者は2011年10月号誌上、当ページにて発表します。
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第二次審査 本誌で執筆するライター/ギタリスト数名によって行ないます。
審査通過者は11月号誌上、当ページにて発表。
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第三次審査 増崎孝司によって最終審査に進む6名(各曲3名ずつ)を選出。12月号誌上にて発表します。通過した6名には10月上旬に編集部より連絡を取らせて頂き、最終審査への参加意思を確認させていただきます。最終審査会場への交通費/宿泊費は自己負担となりますのでご了承下さい。
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最終審査 ●2011年11月5日(土)
2011楽器フェア[会場:パシフィコ横浜]にてライブ・パフォーマンスを行なって頂きます。当日はプロ・ミュージシャン、大手レコード会社制作担当者、各誌編集長などが審査にあたる予定です。
課題曲制作ギタリスト、増崎孝司からのメッセージ

課題曲制作ギタリスト、増崎孝司からのメッセージ

Profile画像◎Profile:増崎孝司(ますざきたかし) 80年代中期よりプロ活動を開始,数多くのアーティストのライブ/レコーディングに参加。92年結成のDIMENSIONのリーダーとして活躍する傍ら、活動再開したB.B.クイーンズを始め、現在も多くのアーティストのサポートに関わる。待望の最新ソロ・アルバムがいよいよ完成、夏頃リリース予定。

課題曲音源の試聴はこちら!

※各サウンドは、試聴用に圧縮・エンコードされておりますので、実際の付録CD音源より音質が劣化しています。また、再生開始から45秒でフェイドアウトしています。

◎課題曲「Pressure」
以前の柴崎浩くんや田川伸治くんの課題曲を聴いて、やっぱりギター・キッズに向けたテクニカルなエッセンスが入っていて、自分もやったほうがいいのかなってプレッシャーがあったんですね。それを曲名にしました(笑)。僕はイングヴェイとかガスGとか、派手なリックで様式美を追い求めるタイプではないんで、自分の中のスピード感のあるリフは何かと考えたら、5/8や6/8のプログレッシブなリズムなんですね。ロック・ギターならではのリフだと思うんで、読者の皆さんにもぜひ弾いてほしいという気持ちもありました。プレイしがいがあって、ギタリスト冥利につきる拍子と言えると思うんです。自分も含めてなんですけど、一生懸命練習して身につけてほしいリズムですね。

◎課題曲「Empty Heart」
ソロ・アルバムに入れようと思って作ったんですが、自分の中でジャジィ過ぎる気がして採用しなかった曲がもとになってます。こういうジャズ・フュージョンのリズムの中でのギターも、ぜひ弾いてほしいと思ったんです。エッセンスとしてはラテン・フィールが入ってたりして好きな雰囲気なんです。メロディを変えたり、速弾きリックを入れたり、凝った作りになっています。ソロは移調をくり返してちょっと難しいんですけど、これは僕がいつも課題にしているところなので、そのまま採用させてもらいました。

◎ソロ・プレイのアドバイス
どちらの曲のソロもひとつのキーでは弾けないコード進行になっているんですね。ジャズ・ギタリストのエッセンスを引用したんですけど、キーが変わる時にいかに音を連結させながら聴かせていくか。始まる音と終わる音をどうもっていくかが大事になる。このコードの中でいろいろトライしてほしいと思います。例えば,速弾きを聴かせたいとして、コード・フォームが変わっていく中でどこで聴かせるべきかを考えてほしい。僕自身もそれをやってみたくてあえてこういう曲にしました。ちょっと苦しんでほしいですね(笑)。アルペジオでもいいですし、最初に裸のコード進行だけを聴いてどの音が頭の中で鳴っているか感じるといいと思います。とはいえ極端な移調はしてないので、トーナル・センターを見つけてしまえば弾きやすいと思います。コード・フォームの移り変わりでどの音を伸ばすか、そこに注意して弾くとうまくいくんじゃないかな。

◎最終審査を目指す上での注意点
譜面をなぞって弾くのではなくて、メロディを自分の中に入れてしまって、自分の歌いまわしで弾くことが大きなポイントになると思います。僕のニュアンスと違ってかまわないので、自分なりのメロディで弾いてほしい。コンテストに限らずどんな場面でも自分の中で1回消化して、自分のイントネーションで歌うことが一番大事です。それができるようになったらスピード感を失わないように注意して下さい。テクニックはあるけど、グルーヴに乗れてないパターンってけっこうあると思うんです。グッと抑える、バンっと出るというところを考えてダイナミックスをつけるとスピード感が出てくると思います。ぜひとも思い切ったチャレンジをしてほしいです。

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