DISC 2
13Good Night
グッド・ナイト
1968年6月28日、7月2日、22日、アビイ・ロード第2スタジオで録音
ジョンの別の顔が表れた曲
ジョンが5歳のジュリアンのために書いた子守歌。おそらく離婚を決意していたジョンが罪ほろぼしのような気持ちで書いたのだろう。ジョンは最初からリード・ボーカルはリンゴと決めていた。リンゴの憂いを帯びた声が曲に合うからである。だが、実はロックン・ローラーとしてのジョン自身がこんなに優しさがあふれ、優雅で上品な子守歌を歌うということに照れがあったのだろう。
もし、ポールが書いた曲だったら、ジョンはボロクソにけなしていたような甘い曲だ。ジュリアン当人はこの曲が書かれた数週間後に父ジョンと母親のシンシアが離婚したために、自分を思って書かれた曲だということは、ジョンのインタビュー記事を読むまで知らなかった。
レコーディング当初、ジョンがアコースティック・ギターを弾いて、リンゴが歌って録音されたが、そのときの音は使われず、新しくオーケストラでレコーディングされた。
ポール「〈グッド・ナイト〉はとてもソフトでメロディアスな曲だから、僕の作品だと思われるのも無理はないよ。でもジョンがリンゴに曲を教えるために歌っているところを聴いたんだけど、とても優しく歌ってたんだよね。ジョンは優しい面を見せることは滅多になかったけど、僕の中のジョンの大切な思い出はすべて優しいものばかりだ。普段は隠された彼の一面が表れた曲だと評価してるんだ。ジョンのボーカル・バージョンは録音されたことはないと思うけどね」。
ジョンはジョージ・マーティンにハリウッド映画のようなオーケストラにしてほしいと注文した。マーティンのアレンジによるオーケストラの他、マーティンが弾くチェレスタとピアノが加えられた。コーラスは「アイ・アム・ザ・ウォルラス」以来二度目になる、4人の男子と4人の女子から成るマイク・サムズ・シンガーズによる合唱。アビイ・ロード・スタジオでこの人数のミュージシャンが入れるのは、第1 スタジオでなければ無理ということでビートルズは第1スタジオに入った。
エンディングにはささやき声で「Good night, good night, everybody, everybody, everywhere, Goodnight」と入っている。
<使用楽器>
ジョン:不参加
ポール:不参加
ジョージ:不参加
リンゴ:ボーカル
ジョージ・マーティン:チェレスタ、ピアノ
氏名不詳:バイオリン12 人、ビオラ3 人、チェロ3 人、ハープ1 人、フルート3 人、クラリネット1 人、ホ
ルン1 人、ビブラフォン1 人、コントラバス1 人
コーラス:マイク・サムズ・シンガーズ(イングリッド・トーマス、パット・ウィットモア、ヴァル・ストックウェル、アイリーン・キング、ロス・ギルモア、マイク・レッドウェイ、ケンバリー、フレディ・ルーカス)