DISC 1
16I Will
アイ・ウィル
1968年9月16日、17日、アビイ・ロード第2スタジオで録音
まるで本物のようなポールの口ベース
メロディは前からできていたものにリシケシュで詞を考えた。月をテーマにしたものなどいろいろ考えた結果、すべてボツにして、ストレートなラブソングにした。ポールのフェイバリット・ソングのひとつ。
マーク・ルイソンの『レコーディング・セッションズ』のデータによると、ジョージは参加していない。9月16日午前7時~午後3時の間でレコーディング、全部で67テイクを録音してベストを選んだ。
未完のテイクやアドリブでのメロディなどのテイクもかなりあった。
ポールがレコーディング中にアドリブで作ったタイトルのない曲がアルバムに収録されている
歌アタマから、ポールのアコースティック・ギターの弾き語りに、ジョンが金属片を木片で叩いてビートを刻んだ。リンゴはウッド・ブロックとドラムのリム・ショットとトップ・シンバルを軽く叩き、バスドラを軽く小節のアタマに入れている。「♪ Love you forever and forever ~」からリンゴはボンゴをオーバー・ダビングした。エンディングのぎりぎりに「ン・ド・ド・ド、タカ・トコ・トン・トン」とタムのフィルを入れている。マラカスもリンゴが演奏した。
翌日、ギターのダブル・トラッキングと口でベースの音を真似したスキャットおよび、リード・ボーカルとハーモニーのすべてをポールがオーバー・ダビングした。2番と3番の歌のアタマの「♪ For if」の「if」と「♪ And when」の「when」のバックでギターの「A」の音が単音で弾かれている。そこだけ一瞬ポールがハモったように聴こえる。
アコースティック・ギターは2本聴こえているが、これは2回レコーディングしている。1本はコード・ストローク、もう1本はリード・ギターでこちらのギターはADTによるダブル・トラッキングで12弦ギターのように聴こえている。
ポールは口でベースの音を出して、最後まで本物のベースのように歌っている。実はこれはやってみると実に難しいのである。これほど音程をきちんと出し、ノリも良く歌うのは、本物のベースを弾いているのと同じ感覚でベースのフレットが見えているようだ。ポールの口ベースはステレオ・バージョンではアタマから入っているが、モノラル・バージョンでは1コーラス目の終わりの「♪ I will」から入ってくる。
この「アイ・ウィル」の第19テイクの中に、アドリブで歌われた、タイトルがなく著作権登録されていない曲があった。「♪ Can you take me back where I came from, can you take me back」と歌われていて、その抜き出して編集されたものが「クライ・ベイビー・クライ」と「レボリューション9」の間に挿入された。
<使用楽器>
ジョン:パーカッション(金属片を木片で叩いたもの)
ポール:マーティンD-28、口によるベース
ジョージ:不参加
リンゴ:シンバル、マラカス、ボンゴ、ウッド・ブロック