リットーミュージック

DISC 1

9Martha My Dear

マーサ・マイ・ディア

1968年10月4日、5日、トライデント・スタジオで録音

ポールが愛犬マーサを歌った曲

 ポールがピアノの練習中に出来上がった曲。

 ポール「ピアノを練習するときは自分がどこまでできるのか試してみるんだ。この曲は両手を駆使した、僕にとっては難しい、ちょっとした作品だ。僕のピアノの演奏レベルを超えた曲だったので、僕が弾いているのを見て、驚いた人もいたくらいだった。弾きながら、口から音を出していると何か言葉が出てくることがあるんだ。このときは“ マーサ・マイ・ディア” という言葉が出てきた。みんなはマーサという女の子の歌だと思っているだろうけど、マーサは犬なんだ。僕らの関係はプラトニックだよ」と言っている。

 オーバー・ダビングしたオーケストラを除くと、ポールのワンマン・レコーディング。10月4日にトライデント・スタジオでピアノ、ドラムス、ガイド・ボーカルを録音。その後ストリングス、ブラス・セクションをオーバー・ダビングした。このセッションでジョージ・マーティンがミュージシャンにスコアを渡しているということは、アレンジのために事前にマーティンには曲が渡っていた。

 歌アタマから、3拍子、2拍子が1小節ずつあるのだが、「♪ Martha my dear」を3拍で歌い、次の2拍で「♪ though I(1)、spend my(2)」までを歌い、「♪ days in conversation」で普通のリズムに戻る。

 もう一箇所、歌いにくいところがあるのだ。「♪ look what you’ve down,when you find yourself in the thick of it」の部分で、ここは4分の4拍子なのだが、ポールの歌の伸ばしによって変拍子風に聴こえている。ポイントは「♪ look what you’ve down ~」の伸ばしが普通は2拍になるところをポールは3拍半にして、次の小節の2拍目のウラのリズムから「♪ When you findyourself in the think of it」を歌いだしている。そのためにリズムのアタマがとりにくいのである。ここはリズムに乗って、歌いだしのウラのリズムを意識して歌うことが大事である。

<使用楽器>
ポール:ピアノ、リッケンバッカー4001S、フェンダー・エスクワイア、ドラムス、ハンド・クラップ
ジョン:不参加
ジョージ:不参加
リンゴ:不参加
バイオリン:バーナード・ミラー、デニス・マッコネル、ルー・ソフィア、レス・マドックス
ビオラ:レオ・バーンバウム、ヘンリー・マイヤスコフ
チェロ:レジナルド・キルビー、フレデリック・アレクサンダー
トランペット/フリューゲル・ホルン:レオン・カルバート
トランペット:スタンリー・レイノルド、ロニー・ヒューズ
フレンチ・ホルン:トニー・タンストール
トロンボーン:テッド・バ