MAGAZINES
内容
特集:プライベート・スタジオ2011~音楽が生み出される空間を探る!
■巻頭インタビュー
ダニエル・ラノワ
ニール・ヤング新作と新バンドBlack Dubで
名プロデューサーが起こす音空間のマジック
ニール・ヤングの新作『ル・ノイズ』は、爆音ディストーション・ギター1本での弾き語りというインパクト十分の作品だ。そのプロデュースを担ったのが、U2やピーター・ガブリエル、ブライアン・イーノらとの仕事で知られるダニエル・ラノワ。丁寧で繊細な仕事ぶりで知られる彼は、この『ル・ノイズ』でヤングのギターにディレイやフィルターを加えて音場を操り、エネルギーを一点に集中させるかのような爆発的な音を生み出した。他方、ラノワは自身のバンド“Black Dub”を結成。バンドのデビュー・アルバム『Black Dub』ではブルースやレゲエ、ロック、ソウルなどさまざまな音楽を軸にしながらシンプルな演奏に徹しつつ、不思議な定位で浮遊感ある世界を描いている。今回は、ラノワ本人と、両作で彼と共に作業した片腕的存在であるエンジニア、マーク・ハワードにインタビューを敢行。これまでよりもずっと粗削りでありながら、誰にもまねできない音空間を生み出すラノワの制作に迫っていく。
■特集
プライベート・スタジオ2011
著名アーティストのプライベート・スタジオを訪れ、多数の写真とともにお送りする人気企画もいよいよ18回目を迎えた。今年はアメリカ、ドイツ、UKの海外組を中心に8組のアーティストに取材を敢行し、世界のリアルな録音事情に迫ってみた。彼らの使用機材はもちろん、インテリアやスタジオの活用法など、多種多様なプライベート・スタジオの形をご堪能あれ。
◎OMD ~ポール・ハンフリース/Bleep Works
◎ジェイ・グレイドン/Garden Rake Studios
◎エドウィン・コリンズ/West Heath
◎ノー・エイジ ~ランディ・ランドール/N.A.P.S.
◎エクササイズ・ワン/10-0-10 Studio
◎デーモン・ダッシュ&スキー・ビーツ/DD172 Studio
◎シャックルトン/Private Studio In Berlin
◎TOMISIRO/mog studio
■Cross Talk INO hidefumi×松前公高
~受け継がれるMS-20の遺伝子
1978 年に発売されたKORGのモノフォニック・シンセ、KORG MSシリーズ。中でもフィルター部に強烈な特徴を持つMS-20は、生産中止になった現在でも根強い人気を誇り、各世代のクリエイターたちの創作意欲を刺激してきた。またこれまでの同社のアナログ・シンセの歴史を総括するようなモデリング・ソフト音源=KORG Legacy Collectionでは、MS-20をモデリング・ソフト音源がパッケージ化される上に、発売当初は専用コントローラーとしてMS-20のデザインをほぼ再現したMS-20 Controllerも付属した。さらにニンテンドーDSにてそのMSサウンドを体感できるAQインタラクティブDS-10がリリースされが話題を呼ぶなど、ハードウェアの進化に順応する形で進化を遂げ、ユーザーのニーズに応続けてきた唯一の楽器と言っていいだろう。そしてこの度、そのMSサウンドは APPLE iPad用アプリiMS-20へと進化。基本構造やサウンドの完全再現はもちろん、iPadならではのフィジカルな操作感も付加されることとなった。そこで今回は、時代の変容にフレキシブルに対応しながらそのサウンドを脈々と受け継いでいくMSシリーズをズラリと並べ、その進化の様子を一望。MS- 20/iMS-20両方を使いこなす松前公高と、MS-20を所有するINO hidefumiに試奏してもらった。
≪登場機種≫
◎KORG iMS-20
◎KORG MS-20(参考出品)
◎KORG Legacy Collection MS-20/MS-20 Controller(参考出品)
◎AQインタラクティブ Korg DS-10(参考出品)
■特別企画
開発者に聞く「録音機器のモデリング方法」
プロのレコーディング現場で目にするビンテージと呼ばれる機材たち。それらが持つ独特の質感に魅了され、今なおエンジニアのこだわりとして音作りに使われることも多い。そんなビンテージ機材だが一般には高価であることや設置スペースの問題などさまざま理由から所有するのが難しいのもまた事実。しかし、近年ではこれらをモデリング(再現)したプラグインが多数発売されており、ユーザーも手軽にビンテージ・サウンドや名機と呼ばれる音が体験できるようになり人気を博している。何よりモデリング技術の向上によるサウンド・クオリティにこそ人気があるのだろう。その秘密を探るべく本企画では、モデリング・プラグインという現代のDAWには欠くことのできないソフトを作っている、主要プラグイン・メーカーの開発者たちの声に耳を傾けてみることにした。そこには、科学的な演算推理や数学的な厳密さだけでなく、豊かな発想力や創造性がユーザーを満足させるサウンドに仕上げていることが伺えるだろう。
■ミックス解剖学
フィル・コリンズ「ヒート・ウェイヴ」
by イヴァン・ビング
海外のトップ・エンジニアに自身の手掛けたヒット曲のミックス手法を直接解説してもらう本連載。今回登場していただくのは、バークリー音楽大学にてエンジニアリングを学んだ経歴を持つスイス在住のミックス・エンジニア、イヴァン・ビング。今年初めに、フィル・コリンズが自らのキャリアを振り返る意味も込めてリリースした8thソロ・アルバム『ゴーイング・バック』には、往年のモータウン・ナンバーが29曲収められている。1960年代~1970年代当時のモータウン・テイストとコリンズの独自性が融合した本作のエンジニアリングを手掛けたのが、このビングなのだ。AVID Pro Toolsをベースに、手持ちの機材だけでイメージする音像を追求するビングのスタンス。この秘けつを解剖していく。
■CLASSIC TRACKS
トーキング・ヘッズ「ロード・トゥ・ノーウェア」
アコーディオンの鳴り響く意気揚々とした曲調が印象的なトーキング・ヘッズの「ロード・トゥ・ノーウェア」は、清々しいアカペラ・コーラスで幕を開ける。実はこのイントロ部の歌詞は本作の持つ陽気で快活なイメージとは裏腹に、我々の人生には意味も目的もないという寂寞としたテーマがつづられている。メランコリックなテーマを扱った歌詞にキャッチーかつアップ・ビートなアレンジを施し、ダンサブルでありながらも説得力ある曲へと仕上げられるアーティストはそういない。1980 年代半ばに広がりを見せたヤッピー・ブームや大量消費主義を痛快に批判した本作を見事に全英トップテン入りさせたトーキング・ヘッズは、そうした離れ業をやってのけた希有なバンドのひとつと言えよう。本稿では当時、彼らを手掛けたレコーディング・ミキシング・エンジニアのエリック“E.T.”ソーングレンに、その制作背景をたっぷりと語ってもらうことができた。
■US Beat Makers Lab.
マーク・ド・クライヴロー
■people
◎DREAMS COME TRUE
◎LITTLE CREATURES
◎unsuspected monogram
◎Dragon Ash
■report
◎日米韓・作曲家セッション~WORLD PITCHING CONVENTION
◎ フェア・レポート:Inter BEE 2010
◎コンサート見聞録:いきものがかり@横浜アリーナ
◎コンサート見聞録:大貫妙子&坂本龍一@昭和女子大学人見記念講堂
◎ライブ・スペース訪問:www
■new products
◎AVID Pro Tools 9
◎ABLETON The Bridge
◎MAGIX Vandal
◎LINE6 Pod Farm 2
◎SHURE KSM42/SG
◎TC・ HELICON VoiceLive Touch
◎BRAINWORX BX_XL Native
◎SOFTUBE Tube-Tech PE1C
◎BLUESKY MediaDesk MK II 2.1
◎ZOOM Q3HD
◎PIONEER CDJ-850
■LIBRARY
◎LOOPMASTERS FAZE ACTION/THE NU SOUND OF DISCO
◎BIG FISH AUDIO CLASSIC ROCK
■DAW AVENUE
◎STEINBERG Cubase 5
◎ABLETON Live 8
◎AVID Pro Tools 9
◎CAKEWALK Sonar X1
■seminars
◎[新連載]ヒップホップ ビート・メイク道場/SUI
◎[新連載]サンレコ打ち込み手帖/木本ヤスオ
◎[新連載]カンガルー・ポーの『マイク1年生』/中村公輔
◎[新連載]エフェクターの基礎知識/渡辺正人
◎ シューゲイザー・サウンド入門/NARASAKI
◎作曲に悩む人のためのプログラミング講座~エレクトロ編/Watusi
◎シンセで作るオレ流サウンド/H2
◎Q&A
■column
◎Independent Cities
◎Max for Liveで作る自分専用デバイス
◎THE CHOICE IS YOURS/原雅明
◎新連載・素晴らしきビンテージの世界/三好敏彦
◎ そこのにいさん どこ向いてんのよ/戸田誠司
◎祐天寺浩美のお部屋一刀両断
◎私の手放せない一品~大野由美子のMOOG Minimoog
■sound&recording review
◎NEW DISC
◎ENGINEERS'RECOMMEND
◎RE-ISSUE
◎VIDEO
◎BOOKS
◎NEWS