サウンド＆レコーディング・マガジン 2012年6月号

■巻頭インタビュー
マイ･ブラッディ･ヴァレンタイン
『LOVELESS』再び……
あの名作が20年ぶりにリマスターで蘇る
1990年代初頭のUKで起こったシューゲイザー・ムーブメントの中心バンド、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。彼らの代表作である『LOVELESS（ラヴレス）』（1991年）が20年の時を経てリマスターされた。作業を行ったのはメンバーのケヴィン・シールズで、DATとアナログ・ハーフの各マスターから起こしたリマスター2枚組という仕様。ということで、まずはケヴィンに今回のリマスターについて語ってもらい、続いてオリジナルの『ラヴレス』でエンジニアを務めた名匠アラン・モウルダーへ当時の制作に関してインタビュー。さらにオリジナルと今回のリマスターの音質比較記事に加え、極め付けは『ラヴレス』収録曲「I ONLY SAID」のバンド・アレンジ譜も掲載！

≪CONTENTS≫
◎ケヴィン・シールズ・インタビュー
◎アラン・モウルダー・インタビュー
◎NARASAKIがリマスター盤を徹底分析！
◎「I ONLY SAID」バンド・スコア

■CD-ROM連動特集(1)
UAD搭載の次世代オーディオ･インターフェース
Apolloで録る。Apolloで落とす。
The 2012 NAMM Showで発表されるやいなや世界中で大きな話題となったUNIVERSAL AUDIOのオーディオ・インターフェースApollo。その一番のアドバンテージは、UAD-2と同等のSHARCプロセッサーを本体に内蔵し、プロフェッショナルの間でも評価の高いUADプラグインをリアルタイムで使用できることだ。このプラグインはミックスだけでなくレコーディングにも使用可能。つまり、立ち上げるUADプラグインによってApolloが1176LNのようにもEMT 140のようにもなり、それらを“かけ録り”できるのだ！　本特集では、この次世代オーディオ・インターフェースの実力を徹底検証するため、UADユーザーであるエンジニア甲斐俊郎氏にApolloを使ってマルチトラックのレコーディング＆ミックスを依頼。素材となる「Just Can't Wait」は、KARA、AAA、E-Girlsなどへの楽曲提供から編曲まで幅広く手掛けるクリエイターArmySlickが作曲／プロデュースを手掛けたオリジナル曲。本人が演奏するベースに加え、ドラム、ギター、キーボード（アコースティック・ピアノ、エレクトリック・ピアノ、オルガン）、ボーカル（女性）、コーラス（女性）、ラップ（男性）というバラエティ豊かな構成で、これらの生演奏をApolloを使ってパートごとに順次録音していった。付録CD-ROMには、セッションで録音されたApolloの素のマイクプリの音に加え、UADプラグインを“かけ録り”したマルチ素材を封入。さらに甲斐氏がこれらの素材をUADプラグインのみを使ってミックスした完成版も収録しているので、目と耳でApolloの実力をガッチリ感じ取っていただきたい。

■CD-ROM連動特集(2)
Ozoneで始める自宅マスタリング！
トラック制作のみならず、近年はクリエイターが自らの楽曲を“自宅マスタリング”して、CDプレス業者への納品や音楽配信サイトなどへのアップロードを行うケースが増えている。その背景にあるのが、価格を抑えつつ高度な処理が行えるツールの登場だ。その筆頭に挙げられるのがIZOTOPE Ozone。そこで、本企画では世に出回るメジャー作品を多数手掛けるマスタリング・エンジニアの木村健太郎氏をナビゲーターに迎え、Ozoneでの自宅マスタリングに挑戦。Ozoneの機能を使いながら、実際に課題曲をプロセッシングする様子を付録CD-ROMの参考音源とともにお見せしていこう。

■Cross Talk　飛澤正人×葛西敏彦
オープン･エア型ヘッドフォンは
ラージ･モニターの代わりになるのか？
密閉型に比べ、開放感のあるサウンドでモニタリングできるオープン・エア型ヘッドフォン。外の音が混入してきたり、再生音が外に漏れたりする構造なので、レコーディングでの使用が難しく、あくまでリスニングを楽しむためのものとして使用されてきた。しかしAKGやSHUREなどから、音楽制作に向けたサウンドを出力するモデルが次々と登場しており、ミックス／マスタリングなどでも使用されることが多くなっている。そこで今回は、飛澤正人氏、葛西敏彦氏という普段よりもオープン・エア型ヘッドフォンを愛用するエンジニアに、制作向けのオープン・エア型ヘッドフォン5機種を試していただいた。その有効性はいかに？

≪登場機種≫
◎AKG Q701
◎AUDIO-TECHNICA ATH-AD1000
◎SENNHEISER HD 650
◎SHURE SRH1840
◎SHURE SRH1440

■Classic Tracks
ホイットニー･ヒューストン｢素敵なSomebody｣
「ホイットニーが初めてシーンに登場したとき、彼女のようなシンガーはかつて見たことがないと思った」。こう語るのはドラマー、プロデューサーとしても有名なナラダ・マイケル・ウォルデンだ。1987年にウォルデンがメイン・プロデューサーとして手掛けたホイットニー・ヒューストンの2ndアルバム『ホイットニー
II ?すてきなSomebody』は、全米アルバム・チャート初登場1位を記録した大ヒット作。さらに「すてきなSomebody」をはじめ全米チャート・ナンバーワンに輝くシングルが4曲も収録されたこのアルバムが、快挙を成し遂げるまでの過程をウォルデンのインタビューを通して明らかにしていく。

■インタビュー
ポール･ウェラー
ザ・ジャム～スタイル・カウンシルを経て、現在ではソロ・アーティストとして活動する英国屈指のロック・ミュージシャン、ポール・ウェラー。35年ものキャリアを持つ彼だが、2008年発表作の『22ドリームス』が話題となり、新たなピークを迎えつつある。そんな矢先にリリースされた『ソニック・キックス』では、これまでの彼の音楽性を覆すかのような実験精神に満ちたサウンドを聴かせてくれる。ここでは新作のコンセプトを中心に語ったポール・ウェラーのインタビュー、さらにはミキシング・エンジニアを務めたスタン・カイバートのインタビューの2本立てでお届けしたい。

■イベント・レポート
ガンダムフロント東京のサラウンド音響に迫る！
1979年に放映開始されたテレビ・アニメ『機動戦士ガンダム』の世界を、さまざまなアトラクションで体感できる“ガンダムフロント東京”。去る4月19日に、東京の台場でオープンしたこの施設には直径16mのドーム・スペースDOME-Gが用意され、『機動戦士ガンダム』を基に新たなアニメとして制作されたサイド・ストーリーが上映されている。そして、その映像とともに革新的なサラウンド音響が体験可能だ。その響きとは、どのようなものなのだろう？　これまでショート・フィルム『GUNDAM EVOLVE』や富士急ハイランドのアトラクション“GUNDAM THE RIDE”など、ガンダム関連のコンテンツを手掛け、今回は会場の音回りを担当した音響監督／サウンドデザイナー、百瀬慶一氏とミックス・エンジニアの佐藤忠治氏に話を聞いた。

■Beat Makers Laboratory
バックワイルド

■people
◎THA BLUE HERB
◎Kindness
◎ブラント･ブラウアー･フリック
◎EA
◎中島ノブユキ
◎渋谷慶一郎

■report
◎スタジオ・レポート：Sound Inn アーカイブ・ルーム
◎音楽制作を手軽に実現するハンディ・レコーダーOLYMPUS LS-100
◎コンサート見聞録：サカナクション × フィッシュマンズ＠さいたまスーパーアリーナ
◎ライブ・スペース・レポート：LOOP ANNEX

■new products
◎VERMONA PerFourMer MKII
◎ROB PAPEN Blade
◎FXPANSION Tremor
◎UVI Electro Suite
◎SAMPLE MODELING Ms. Sax S.
◎ROLAND Jupiter-50
◎TOONTRACK EZ Mix 2
◎RUPERT NEVE DESIGN Portico II Channel Strip
◎TELEFUNKEN M81
◎CAD E100S
◎AKG Perception Live Series
◎AUDIO-TECHNICA AT-HA70USB

■LIBRARY
◎LOOP MASTERS RASMAS FABER PRESENTS LIVE ORGANIC HOUSE ELEMENTS
◎SM101 VOCAL SHOUTS

■DAW AVENUE
◎STEINBERG Cubase 6.5
◎ABLETON Live 8
◎AVID Pro Tools 10
◎CAKEWALK Sonar X1

■seminars
◎  ヒップホップ ビート・メイク道場～ヒット・メイカー編／SUI
◎カンガルー・ポーの『ミックス1年生』／中村公輔
◎Q＆A

■column
◎Independent Cities
◎牛尾憲輔のうちこみ!!学園
◎THE CHOICE IS YOURS／原雅明
◎そこのにいさん どこ向いてんのよ／戸田誠司
◎素晴らしきビンテージの世界／三好敏彦
◎祐天寺浩美のお部屋一刀両断
◎私の手放せない一品～巻上公一のBIG BRAIR Etherwave Theremin

■sound＆recording review
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