MAGAZINES

サウンド&レコーディング・マガジン 2014年11月号

定価1,019円 (本体926円+税10%)
発売日2014.10.15
品種雑誌
仕様A4変形判 / 240ページ

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内容

エイフェックス・ツイン 電子音楽界における最重要クリエイターが、13年ぶりのニュー・アルバムを発表!

■巻頭インタビュー
エイフェックス・ツイン

1990年代、アンダーワールドやケミカル・ブラザーズといったUKのアーティストが“テクノ”をメインストリームへと押し上げた。その成功を横目に、通好みで過激な音を作り続けていたのが当時“コーンウォール派”“ドリルンベース”などとくくられたクリエイターたちだ。中でも代表格であるエイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムスは、耽美的なアンビエント・アプローチから狂ったような電子サウンドまで“奇才”と呼ぶにふさわしい数々の楽曲で、多くの耳を魅了。しかし2001年の『ドラックス』リリース以降、DJ活動や別名義でのリリースは行っていたものの、エイフェックス・ツインの新作については沈黙を続けていた。そんな中、13年ぶりとなる驚きのニュー・アルバム『サイロ』が突如リリースされた。文句なくカッコ良い直球のテクノ/エレクトロ・サウンドを全面に押し出し、彼がまだまだ現役であることを証明するのに十分過ぎる内容。ステレオ空間に丹念に配置された各音、そして深みのある低域などはまさに2014年のサウンドであり、懐古趣味抜きで楽しめる点も素晴らしい。今月はこの『サイロ』のサウンドを掘り下げるべく、リチャードへのインタビューはもちろん、大のエイフェックス好きとして知られるDE DE MOUSE×mito(clammbon)の『サイロ』対談も敢行。さらには、彼の1997年当時のインタビューも再録する。

■特集1
細い音&混ざらない音に効果絶大
サチュレーションでミックスが変わる!

プロのエンジニアの発言には、よく“ミックスでひずませて音を太くする”といった表現が出てきます。そこで彼らが言う“ひずみ”とは、ロック・ギターのディストーションのように“明らかにひずんでいると分かるもの”と違うことがしばしばあります。サチュレーションとも言われるこうした“ひずみ”は、アナログ機器の温かみある音の根元でもあります。そんなひずみ=サチュレーションにはどんな効果があるのか、そしてこれをDAWソフトの中だけで扱うことができるのかを考えていくのがこの特集。音を太くしつつ、バラバラな音をひとまとめにするといった魔法のような効果をエンジニアの飛澤正人氏の解説と作例で体感しながら、自分自身のミックスに応用してみましょう。

■特集2
インディー・シンセ・ポップにくびったけ!

昨今はリーズナブルかつ高機能なDAWソフトが普及し、自宅でもハイレベルな音源制作が行えるようになった上、SoundCloudやbandcampなどのWebサイトが出現したことで作品発表の門戸が拡大。そうした中で、インディー・アーティストたちによるシンセ・ポップが盛り上がりを見せている。しかし、個性的な作品が世界中で同時多発的に生み出されているため、全容をとらえにくいのが現状だ。本特集では、Pヴァインから作品をリリースしているPHOTODISCO、蓮沼執太フィルに参加するほか自身で曲作りを手掛けている小林うてな、MALTINE RECORDSからのリリースで話題のTomggg(トムグググ)という3人のアーティストに、“あなたの思うシンセ・ポップを2分前後の曲として制作してください”と依頼。その制作手法に迫ることで、インディー・シンセ・ポップの特徴を浮き彫りにしてみた。それでは本題へ入る前に、まずはシーンの現状を整理するとしよう。

■特集3
音作りを支える“マニピュレーター”の現在

「マニピュレーターの仕事とはどういったものですか?」と聞かれて正確に答えられる方はどのくらいいるでしょうか。「シンセサイザー・プログラマーとは違うの?」「ライブを影でオペレートする人でしょ?」といった具合にさまざまな声を聞けそうですが、言ってしまえばそのどれをも含みます。“マニピュレーター”という言葉がなかった時代を経て、いかようにも応用の利く音楽知識を備え、豊富な現場経験を積み、熱い姿勢で音楽に向き合ってきた職人たち。その仕事ぶりに信頼関係を深めていったアーティストの多くは、次第に音楽制作に関するプロセスを彼らと共にしたいと望むようになりました。そして、そのどれにも対応できたことでプロフェッショナルとして実績を残したマニピュレーターに課せられた仕事は、さらに多様化してきています。今回はその中でもトップのスペシャリスト4名に、現在に至るまでの仕事の全容について話を聞くことができました。読み終えるころには、マニピュレーターという仕事についてそれぞれにステキな結論を出してもらえるとうれしいです。
≪取材マニピュレーター≫
美島豊明/飯田高広/草間敬/ゴンドウトモヒコ

■コンサート見聞録
KREVA@日本武道館

名実共に日本のシーンを代表するヒップホップMC/トラック・メイカーのKREVA。今年はソロ活動10周年を記念しベスト・アルバム『KX』をリリースしたばかりだが、その勢いをとどめることなく日本武道館で完全ソロのコンサートを敢行!! 本稿ではその模様を機材とサウンドの面からレポートしていくとしよう

■Cross Talk 本間昭光×★STAR GUiTAR
大容量サンプル~物理モデリングまで
ピアノ音源が登場し続ける“理由”

楽器の王様とも呼ばれるピアノは、クラシックに始まりジャズ、ポップス、ロック、そして現代ではEDMにまで、すべてのジャンルに使われていると言っても過言ではない、一番ベーシックな音色だ。PCM系のシンセサイザーが登場すると、このピアノ音色は常に“再現”の目標とされてきたし、今ではテクノロジーの発展により、大容量のサンプルを扱うものから物理モデリングまで、多くのソフトウェア音源が登場してきた。今回のCross Talkでは、最新のピアノ音源6機種を集め、音楽プロデューサー/キーボーディストの本間昭光と気鋭のクリエイター★STAR GUiTARの二氏に試してもらい、今なお登場し続けている理由について探ると共に、それぞれの視点からピアノ音源の使いどころを指南していただいた。

≪登場機種≫
◎BIG FISH AUDIO Silver:Concert Grand Piano
◎GARRITAN Abbey Road Studio CFX Concert Grand
◎NATIVE INSTRUMENTS High-Definition Acoustic Pianos
◎MODARTT Pianoteq 5 Pro

■ミックス解剖学
マイケル・ジャクソン「ラヴ・ネヴァー・フェルト・ソー・グッド」
by デヴィッド・ペンサド

海外のトップ・エンジニアに、自身の手掛けたヒット曲のミックス手法を直接解説してもらう本連載。今回登場していただくのはデヴィッド・ペンサド。ペンサドはロサンゼルスのララビー・スタジオにて長らく作業を行い、メアリー・J.ブライジ、ビヨンセ、クリスティーナ・アギレラ、ブラック・アイド・ピーズ、ジャスティン・ティンバーレイク、ピンクなど多くのアーティストたちを手掛け、グラミー賞も多数獲得している。しかし、2010年に健康を損ねて以降、ペンサドのキャリアは大きく一変。完全復帰を果たすものの、「それまでにやったことのないようなプロジェクトをやってみたくなった」という思いから、多くのインディー・プロジェクトも手掛けるようになった。2011年にララビーを離れて以降、さまざまな場所で作業を行っており、インディー・プロジェクトのほか、大レーベルからオファーされるポップ/R&B楽曲も適宜扱っている。そして今回、ペンサドはマイケル・ジャクソンの前作『MICHAEL』の制作に携わったL.A.・リード、ジョン・マクレーン、ジョン・ネットルスビーらに強く推薦され、新作『エスケイプ』のオープニング・トラックかつ1stシングル「ラヴ・ネヴァー・フェルト・ソー・グッド」のミキシングを任された。ここでは、その手法についてペンサドに語ってもらおう。

■Classic Tracks
AC/DC「バック・イン・ブラック」

オーストラリア出身のバンド、AC/DCは、1973年の結成から幾度かのメンバー変更を経て、1979年に出世作となる6枚目のアルバム『地獄のハイウェイ』を発表。このときのメンバーは、ボーカルのボン・スコット、リード・ギターのアンガス・ヤング、その弟でリズム・ギターのマルコム・ヤング、ベースのクリフ・ウィリアムズ、ドラムのフィル・ラッドの5人であった。確実に手応えを感じていたメンバーだったが、翌年の1980年2月、スコットが33歳という若さで深酒の果てに急逝したことによりバンド解散の危機に見舞われる。しかし翌月の3月にはバンドの存続を決意。新しいボーカルに、1978年までグラム・ロック・バンド、ジョーディーのフロントマンとして活動していたブライアン・ジョンソンを迎え、7枚目となるアルバム『バック・イン・ブラック』を制作。ボンへの追悼アルバムとされた本作の1曲目「地獄の鐘の音」の冒頭では、もの悲しく荘厳な鐘の音が印象的に続く。しかし、アルバムに見える悲しみの色はこの部分のみで、アルバム・タイトル曲の「バック・イン・ブラック」をはじめ、ジョンソンの甲高く力強い声と、印象的なギター・リフとともに明るく元気な曲によって展開されていく。世界的なヒット作となった同アルバムだが、加入からたった1カ月後にレコーディングへ参加することとなったジョンソンの葛藤(かっとう)と、名作をサポートしたエンジニア、トニー・プラットの活躍を振り返っていこう。

■behind the scene~映像を音で彩る作曲家たち
市川淳

映画やドラマ、CM、アニメなど、映像作品を音で彩る作曲家の音楽人生に迫る本連載。今回登場いただくのは、市川淳氏。東京音楽大学の作曲科映画・放送音楽コース出身の市川氏は、大学卒業後CM音楽に始まり、Jポップの歌モノの作編曲、TVドラマ、アニメの音楽担当と、幅広いフィールドで活躍している。代表作は、柴咲コウ「Gritter」、CHEMISTRY「キミがいる」、TVドラマ『冬のサクラ』『美男ですね』『同窓生~人は、三度、恋をする~』などが挙げられ、現在は映像音楽の作曲を軸に、日々制作活動を行っている。ここでは、市川氏がどのような経緯でそれぞれのフィールドの作曲家として活躍してこれたのか、その振り幅の広い音楽人生に迫るため、プライベート・スタジオにて話を聞いていこう。

■Beat Makers Laboratory:マインドデザイン

■people
◎久石譲
◎80KIDZ
◎tofubeats
◎クリストファー・ウィリッツ
◎ティム・ウィーラー
◎渋谷慶一郎
◎marter
◎TWO TRIBES

■report

◎My Favorite UAD-2 Plug-Ins~Ena
◎音のプロが使い始めたECLIPSE TD-M1~フェルナンド・アポンテ
◎アーティストがUNIVERSAL AUDIO Apollo Twinを選ぶ理由
◎AUDIO-TECHNICA AT5045を最速レビュー!
◎SONY HDR-MV1の活用法を高野寛が語る
◎ライブ・スペース訪問:下北沢WAVER

■new products
◎NATIVE INSTRUMENTS Komplete 10/Komplete Kontrol S-Series
◎STEINBERG Groove Agent 4
◎DAVE SMITH INSTRUMENTS Pro 2
◎WAVEDNA Liquid Rhythm
◎OVERLOUD Rematrix
◎FERROFISH A16 MK-II
◎MANLEY Core
◎ROLAND Mobile UA
◎ELECTRO-VOICE ETX-15P-EU

■LIBRARY
◎SINGOMAKERS SUPERCHARGED EDM
◎IMPACT SOUNDWORKS VOCALISA:SLAVIC WOMENS CHOIR

■DAW AVENUE

◎STEINBERG Cubase 7.5

◎ABLETON Live 9

◎APPLE Logic Pro X

◎AVID Pro Tools 11

◎TASCAM PROFESSIONAL SOFTWARE Sonar X3 Producer

◎PRESONUS Studio One 2

■column

◎音楽クリエイターのためのイメージ・トレーニング! 中脇雅裕【新連載】
◎Bedroomで逢いましょう。 Neat's

◎サンプル大学グルー部ビートメイ科 SUI

◎ツナガル ロクオン 草間敬

◎MUSIC SAFETY RESEARCH 奥田泰次

◎oscillator lover yukihiro

◎THE CHOICE IS YOURS 原雅明

◎素晴らしきビンテージの世界 三好敏彦

◎祐天寺浩美のお部屋一刀両断

◎音楽と録音の歴史ものがたり 高橋健太郎
◎俺のモジュラー・シンセ~エフデミン

◎Independent Cities

◎私の手放せない一品~DJ BAKUのNATIVE INSTRUMENTS Maschine Studio

■sound&recording review

◎NEW DISC

◎ENGINEERS' RECOMMEND

◎BOOKS

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