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サンダーキャット〜フラットに自身を音楽に投影するニュー・エラ・ベーシスト|ベース・マガジン 2017年7月号より
Text by 萩原じいの Photo by 西槇太一 Interpretation by 坂本信
どんな芸術においても、作者の"人となり"や"私生活"が投影された作品は素晴らしい。そうであればあるほど、産み落とされた作品にはより"生々しさ"が伴ううえに、人々に評価されたとき、作者が作品に込めた情念は報われるのだと思う。サンダーキャットは、ただの天才ベーシストではない。彼は今年2月に発表した『Drunk』において、人生で巻き起こるさまざまな出来事、趣味、愛猫すらも音楽に昇華したという。つまり、彼の音楽は自身の"人となり"や"私生活"そのものであり、それが彼を天才たらしめるゆえんだ。彼がなぜ"酔った(Drunk)"のか。そして、彼の"人となり"と"私生活"を聞いた。
あの頃のゲーム音楽たちには確かに影響を受けているよ。
─日本はどれくらいぶりですか?
1年ぐらいかな......。確か、フライング・ロータスと一緒に来たんだよね。2年ぐらい前だったかな? モノ/ポリーやテイラー・マクファーリン、マーカス・ギルモアも一緒だった。ブレインフィーダー・ナイトのイベントでね。
─どこかに観光に行ったりしましたか?
ウン。名前は覚えていないけれど、素晴らしいレストランへ行ったよ。あと、渋谷のショッピング・モールにも行ったね。
─あなたは日本のゲームやアニメが好きだとうかがいましたが、すでに何か買いましたか?
もちろん、買ったさ(笑)。
─今はどんなゲームにハマっていますか?
まず、『バイオハザード7 レジデント イービル』(カプコン/2017年1月発売)はすごすぎるね。あとは『タイタンフォール2』(エレクトロニック・アーツ/2016年10月発売)かな。『モータルコンバット』(1992年にシリーズが開始されたグロテスクな描写が特徴的な格闘ゲーム)はずっと大好きなゲームだし、『鉄拳』(1994年にシリーズが開始されたナムコ社初の格闘ゲーム)はワクワクするね。
─ゲームで流れる音楽については、どう思いますか?
とても重要だと思っている。創造力を発揮することなく、お決まりの音を当てているだけのゲーム音楽もあるけれどね。『モータルコンバット』も、もう少しダイナミックでメロディの良い音楽が付いていればもっといいのにと思う。この間も1作目を遊んだけれど、シーンの作りなんかは素晴らしいのに、音楽がイマイチだった。『モータルコンバット』の最新作も素晴らしいけれど、音楽に関しては注目すべき点は見当たらない。任天堂のゲームには、いつも良い音楽が付いていると思うし、音楽はとても重要だと思うけど、多くのゲームではバックグラウンド・ミュージックにあまり注意が払われていないんじゃないかな。
─『モータルコンバット』は日本における知名度はそこまで高くはないですが、"知る人ぞ知る格ゲー"という側面があるんですよ。
日本ではどんなゲームが人気なの?
─たくさんあるなかでも、特に『モンスターハンター』(カプコン/2004年シリーズ開始)などが大人気ですね。
ああ、ああいうフォーマットのゲームも好きだよ。ブリザード・エンターテインメント社の『ディアブロ』(1997年にシリーズが開始されたアクションRPG)や『スタークラフト』(1998年にシリーズが開始された"ゲーム内の時間経過がリアルタイムと同じ"という特徴を持ったリアルタイムストラテジーというジャンルのゲーム)、『ウォークラフト』(『スタークラフト』の姉妹作)みたいなやつだよね。
─新しくドロップした『Drunk』には、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(1991年にシリーズが開始され、シリーズ1作目は全世界で1500万本の売り上げを記録したアクション・ゲーム)に影響を受けた曲もあると聞いていますが、『ソニック〜』の音楽の一部を日本人が作曲していることは知っていましたか?
ああ、知っているよ。マサト・ナカムラ(中村正人/DREAMS COME TRUE)だよね。ただ、「Tokyo」のことを言っているなら、『ソニック〜』よりもむしろ『ロックマン』(カプコン/1987年にシリーズがスタートした世界的なアクション・ゲーム。さまざまな派生作品が存在し、海外では"MEGAMAN"というタイトルで親しまれている)だね。
─確かに、言われてみればプレイ中のバックグラウンド・ミュージックに近い音楽性を感じます。
あの曲の一部は、確かにスーパーファミコンの『ロックマンX』(シリーズの派生作品)の音楽に似ているね。でも、『ソニック〜』を含めたあの頃のゲーム音楽に大きな影響を受けているのは確かだよ。
─中村さん以外の日本人のミュージシャンで、ほかに知っていたり好きな人はいますか?
笠井紀美子(vo)や佐藤博(k, vo)、神保彰(d)、櫻井哲夫(b)なんかが好きだね。
─アメリカのテレビ番組に出演したとき、ベース・アンプの前にガンダムのフィギュアを置いていましたが、何か理由はありますか?
あれはもう、決まりだから(笑)。
─"お守り"みたいなもんですか(笑)。
そうそう(笑)。特別なひとときを過ごせるようにってね。
品種 | 雑誌 |
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仕様 | A4変形判 / 156ページ |
発売日 | 2017.06.19 |