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シンディ・ブラックマン・サンタナが語るトニー・ウィリアムス|リズム&ドラム・マガジン2017年11月号より
Photo:Jimmy Bruch
リズム&ドラム・マガジン2017年11月号では、"the JAZZ DRUMS"と銘打って、"ポミュラー・ミュージックの原点"と言える最高にスリリングで踊れる音楽=ジャズに迫る。そして燦然と輝くジャズの歴史において、今日に至る世界中のドラマー達に多大なる影響を与えた10人の巨人にスポットを当てたい。ここではシンディ・ブラックマン・サンタナに、その巨人の1人、トニー・ウィリアムスについて語ってもらった。
シンディ・ブラックマン・サンタナ(Cindy Blackman Santana)●1959年、アメリカ・オハイオ州生まれ。幼少の頃より、ドラムを始め、8歳でストリート・パフォーマンスを開始。バークリー音楽大学でアラン・ドーソンに師事し、アート・ブレイキー、エルヴィン・ジョーンズ、トニー・ウィリアムスらと交流を深め、04年までレニー・クラヴィッツのツアー・ドラマーを務める。自身のソロ・アルバムもリリースするなど、現在も精力的に活動中。2010年にカルロス・サンタナと結婚。
太く大きなサウンドだけどトーンはものすごく美しかった
小さな音量でも大きな音量でも自由自在に演奏できる人
(そもそもシンディがトニー・ウィリアムスを知ったきっかけは......?)_姉の友達だったギタリストから、「ドラマーになりたいのなら、史上最高のドラマーを聴かなきゃ。明日僕の家に来たら、聴かせてあげるよ」と言われて、聴かせてもらったレコードに圧倒されてしまったの。当時15歳くらいだった私はトニーのことを全然知らなくて、始めはかなり年長の人だと思っていたのだけれど、最初に聴いたそのレコードはマイルス・デイヴィスの『In Europe』で、トニーが16〜17歳頃の演奏だと言われて、びっくりして。それで、「もっとびっくりさせてあげるよ」と言って聴かせてくれたのは『Four & More』。もうその日から私はトニーに首ったけで、会う人みんなに私が聴いたレコードとトニーの話をするようになったわ。
Recommend Albums
❶『Miles Smiles』Miles Davis(1967年)、❷『Emergency!』Tony Williams Lifetime(1969年)、❸『Supertrios』McCoy Tyner(1977年)
それから2〜3ヵ月経って、ある友達が「あなたが言っていたドラマーがクリニックをやるそうよ」と教えてくれたの。私はどうしても参加したくて「そのクリニックを受けなきゃならないの、何でもするからお願い!」と母に言って連れて行ってもらったわ。クリニックにはトニーとベーシスト......確かバニー・ブルネルだったと思うんだけど、どんな演奏をしても素晴らしかった。サウンドもコンセプトも、テクニックはもう圧倒的だし。デモ演奏は確かジャズ・ロック風で、ベースとギタリストが2人いて、今から思えば『Believe It』や『Million Dollar Legs』のスタイルだった。私はそのとき、"自分もこうなりたい"と決心したわ。私にできるかどうかはわからないけれど、"これを目指さなきゃドラムをやる意味がない"とさえ思ったの。演奏が終わってトニーが「何か質問は?」と言うので、私が最初に手を挙げたんだけど、一言も口が利けなくて(笑)。みんなは"何てバカな娘だろう"と思ったでしょうね(笑)。それでもクリニックが終わってから、彼に会いたいと思って、みんなが帰った後も私は残っていたの。トニーはパイロットが着るような茶色い皮のジャケットを羽織って、大きな革製のカッコ良いスティック・ケースを持ってた。私は自己紹介だけでもしようと思ったけど、また言葉が出てこなくて(笑)、「ハーイ......」と言うのが精いっぱいでした。トニーは「ヘイ!」と応えて行ってしまって。私とトニーの最初の会話はそれで終わり(笑)。
リズム&ドラム・マガジン 2017年11月号
品種 | 雑誌 |
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仕様 | A4変形判 / 168ページ / DVD付き |
発売日 | 2017.09.25 |