• トップ
  • PICK UP
  • 【Interview】トレヴァー・ホーン|サウンド&レコーディング・マガジン2017年11月号より

PICK UP

  • サウンド&レコーディング・マガジン

2017.10.18

【Interview】トレヴァー・ホーン|サウンド&レコーディング・マガジン2017年11月号より

Text by iori matsumoto, Interpretation by Mariko Kawahara

 バグルスやイエスのメンバーを経て、イエス、アート・オブ・ノイズ、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、シール、バンド・エイド、t.a.T.u.などのプロデュースを手掛け、数々のヒットを放ってきたトレヴァー・ホーン。近年はライブ活動にも精力的で、この8月にはビルボード・ライブ東京での単独公演と"SUMMER SONIC 2017"への出演で来日を果たした。そんなトレヴァー、アメコミ界の巨匠スタン・リー氏と、長濵博史氏を中心とする日本チームがタッグを組んだアニメ『THE REFLECTION』のサントラを手掛けている。意外にもトレヴァー初のソロ名義作品となる本作。特に「Sky Show」というトレヴァーのボーカル曲は、"主人公が歌っている1980年代にヒット曲"という設定のため、劇中でも大フィーチャーされている。本誌では、来日していたトレヴァーに、本作の制作はもちろん、プロデュース・ワークの変遷や制作システムについて話を聞いた。

制作の中心はPro Tools MIDIは精度に欠けるので使わない

─プロデューサーとして長く活躍されてきましたが、現在はどんなツールを使って制作しているのですか?

トレヴァー AVID Pro Toolsが中心だ。1991年の、DIGIDESIGN Sound Toolsのころから使っているから、あらゆるバージョンを持っている。オーディオを扱うソフトとしてはこれが最高だ。MIDIはあまり使わない......精度に欠ける。MIDIプログラミングが必要なときは、AKAI PROFESSIONAL MPCを使う。これもあらゆるバージョンを持っているよ。MPC博物館を建てられるくらいだ。最新のMPC Liveも最近手に入れた。

─ ソフト・シンセは使わないのですか?

トレヴァー そうだ。あまり好きではない。僕はKORG KronosやTritonの大ファンなんだ。ほかには、MOOG Minimoog VoyagerとTaurus 3、ROLAND JX-8P、Juno-106といったものを使っている。2006年にペット・ショップ・ボーイズ『ファンダメンタル』を手掛けたが、彼らはソフト・シンセでトラックを作っていたので、1週間かけてハードに差し替えた。単純に、そっちの方が音がいいからね。ソフト・シンセは"ソフトにしては素晴らしい"が、どんな音もほんの少しだけ良くするためには本物のシンセを慎重に扱うべきだ。

─ Pro Toolsでは、MIDIシーケンスは全く使わないのですか?

トレヴァー  多少は使うが、精度に欠けるんだよ。オーディオは簡単にエディットできるし、MIDIよりずっと正確に記録できる。MIDIよりもCV/Gateの方がずっと精度が高かったよ。ハンス・ジマー(編註:映画サントラの作曲家として有名だが、キャリア初期にバグルスのサポートをしていた)は、映像の編集に併せて曲を調整するからMIDIで元の状態に戻って、尺を調整する。でも僕は4分の曲しか作らないから、MIDIのセッティングは必要無いんだ。『THE REFLECTION』の楽曲は、"こんなシーンで使う曲"という指定しかなかったので、自由にやらせてもらった。

─ 今回サントラの作曲は、あなたのLAのスタジオで行ったと聞きました。

 トレヴァー コントロール・ルームのドアを開けると、とても美しい渓谷の風景が広がっていて、ゲティ美術館が見えるんだ。そこから、「Sky Show」のアイディアが湧いたんだよ。毎晩、"今夜のスカイ・ショウを見てみようじゃないか!"と言ってドアを開けているんだ。空が本当に素晴らしいんだよ。

─ ロンドンにもあなたのスタジオがありますよね。

トレヴァー 以前はサーム・ウェストがあったんだが、スタジオを取り壊すことになった......僕はまだそのビルの所有者なんだけどね。それでスタジオを新しい場所に移転して、サーム・ミュージック・ビレッジとした。9部屋あるけれど、どの部屋もコンパクトだ。生楽器の演奏を録る機会は今どき少ない。ほぼすべての人には小さな部屋があればそれでいいんで、以前のままで運営を続けるのは経済的ではなかったんだ。

─ ミックスやダビングはロンドンのスタジオを使われたと聞きました。

トレヴァー そのサーム・ミュージック・ビレッジと、ロンドンの自宅の地下にもスタジオがあって、そこも使った。今はこの自宅スタジオか、LAの家でほとんど作業している。ロンドンにいることの方が多いかな。

(続きとスタジオ写真はサウンド&レコーディング・マガジン2017年11月号にて!)


品種雑誌
仕様B5変形判 / 332ページ / CD付き
発売日2017.09.25