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ジャジー!アーバン!スタイリッシュ! かっこいいコード進行が108個つまった本でサクサク作曲できる。
Sound Sample & Text by 篠田 元一
「もっとジャズテイストのコード進行で曲を作ってみたい。でも自分の引き出しの中にはアイディアがないし......。」そんなアナタにぴったりの本が登場。その名も『かっこいいコード進行108』。タイトルの通り、"かっこいい"コード進行が108個詰まっています。そして本書は、最適なボイシングでプログラミングされたSMFデータをダウンロードで提供。お手持ちの汎用MIDIファイルプレーヤーソフトで再生したり、DAWソフト上に貼り込んで、曲制作の下地に利用までできちゃうスグレモノなんです! 今回は本に収録している108個のコード進行の中からメジャー系2種、マイナー系1種のサンプルをご紹介。本文の解説もそのまま掲載いたします。本を活用して、ゼヒ"かっこいい"曲を作ってください!
[Authentic Black] Take 64
Authentic Blackは、Cメジャーキー上で展開する66のコード進行です。書籍内132ページに掲載。
一時転調をめまぐるしく繰り返しながらも、機能的なコードの連結によってスムーズに流れていく、まさに80年代的なコード進行と言えます。2小節目のE♭/F→F7は3小節目のB♭M7をトニックコードと見立てると、Ⅱm7に当たるCm7を代理コードのE♭に置き換えた、見なしツーファイブからのドミナントモーションと解釈できます。E♭/FをCm7/FやE♭M7/Fのようなコードに置き換えてもいいでしょう。
4小節目は5小節目のGM7を導き出すための仕掛けです。まずC7sus4(9)を分数コード化したGm7/Cを全音上に平行させてD7sus4(9)を分数コード化したAm7/Dへと進み、これを5小節目のGM7のドミナント7thコード的に利用しているわけです。2~3小節目での新調用のツーファイブを用意した転調とはまた違った、転調テクニックの1つとして覚えておいてください。
6小節はGm7を代理コードのB♭M7に置き換えた見なしツーファイブです。後半C7(9,13)から7小節目A♭M7/B♭への進行は、分子コードのA♭M7をサブドミナントマイナーFm7の代理と見立てれば、C7はそのドミナント7thコード的な役割を果たしていると解釈でき、B♭音をベースに用いたのはサウンドの色合いを変化させたものと見ることができます。一方、A♭M7/B♭をB♭7sus4(9,13)として見立てると、若干変形したC7(9,13)からの平行と解釈できます。また、A♭M7/B♭から8小節目E♭m7への進行は、ベースがルートへ完全4度で動くドミナントモーション的な連結になります。
[Authentic Black] Take 66
Cメジャーキー上で展開するコード進行。書籍内136ページに掲載。
プログレ色が強いコード進行です。基本的には歌モノ向きというよりイントロやブリッジ、ソロ展開用ですが、これにゆったりとしたメロディラインを組み合わせれば独特の世界も作れるでしょう。
前半はルートが半音でどんどん上行するのに合わせてコードも変化していきます。ここでおもしろいのはコードネーム表記からだけだと伝わりにくいのですが、1~4小節目のコードのすべてにドファソというCsus4の構成 音が含まれていることです。SMFでは、この間のボイシングはルート以外すべてドファソの形をキープするようにしてあります。つまりCsus4の下に加えるベース音を変えることによって、コードサウンドは万華鏡のごとく変化させられるわけです。ちなみにルート以外のボイシングを、完全4度音程のソドファにしてみると印象が変わりますが、ここではファとソの音が隣り合い、全音でぶつかっている響きの方を選択しました。いずれにしても、Csus4以外のコードに、ドファソ以外の音がベース音として用いられているのがポイントで、これが広がりあるサウンドと各コードの連結を可能にするカギとなります。
後半では、F(ファ)の音をペダルポイントとし、その上に分子コードが展開する形になります。こちらもSMFでは、Fadd9 omit3の上声部にドファソが保持されるボイシングにしています。また次のE♭add9では下からシ♭ミ♭ファソ、D♭(♯11)ではラ♭レ♭ファソとした結果、上声部のファとソが全音でぶつかっている響きが8小節間を通じて流れるという特異なサウンドになっています。
[Sentimental Blue] Take 64
Sentimental Blueは、Aマイナーキー上で展開する42のコード進行です。書籍内170ページに掲載。
テンションを多用した、シンプルながら都会的なムードが漂うコード進行です。
まず1小節目にはトニックマイナー、2小節目にはマイナーキーのツーファイブとなるBm7-5→E7が使われています。順当ならこのままツーファイブワンでAmに再度解決する流れですが、3小節目は予想に反してE♭6に進んでいます。このE♭6は、本来ならⅤ7に相当する2小節目後半のE7を裏コードの♭Ⅱ7に見立て、そこから半音下行で解決させたときに得られるコードです(E♭、E♭M7、E♭m7なども含みます)。このように、ドミナント7thコードは完全4度先だけでなく、半音下のコードにも解決できることを覚えておけば、コード進行の幅を広げる上で大いに役立つでしょう。
E♭6から半音下がって4小節目のD7に進み、さらにそこからドミナントモーションで5小節目のGm7に進行します。5~7小節目はFメジャーキーのツーファイブワンの流れを使った転調ですが、FメジャーキーでのⅠM7となる7小節目のFM7はAマイナーキーのⅥM7でもあるため、Aマイナーキーの重力圏内での展開と言えるでしょう。そして8小節目に置いた調性上のドミナント7thコードE7からのドミナントモーションで冒頭のAm7に解決し、Aマイナーキーに戻るわけです。
マイナー7thコードやメジャー7thコードには9thのテンションを加え、アダルトなムードを高めています。またドミナント7thコードにはサウンドの流れをスムーズにするためにオルタードテンションを使用しています。
(残りのコード進行105パターンは、『かっこいいコード進行108』にて!)
品種 | 書籍 |
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仕様 | B5変形判 / 240ページ / SMFデータダウンロード対応 |
発売日 | 2017.10.20 |