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【プライベート・スタジオ】橘慶太(w-inds.)|サウンド&レコーディング・マガジン2018年1月号より
Text:Tsuji. Taichi
センシティブなまでの音へのこだわりを
心ゆくまで追求するための創作空間
本誌10月号の「ポストEDM特集」でもお伝えした通り、今w-inds.が熱い。2001年にダンス&ボーカル・ユニットとしてデビューした彼らだが、メンバーの橘慶太が自らトラック・メイクやミックスを手掛け始めてから、より一層クリエイティブな様相を呈しているのだ。そのサウンドは、トロピカル・ハウスやフューチャー・ベース、インディーR&Bなどを横断するユニークなもの。今回は橘のプライベート・スタジオを訪れ、創作の源泉を取材した。
FLUX:: Pure Analyzer System を使って
各帯域の"広がり具合"をつぶさに見る
ABLETON LiveやAPPLE Logic、AVID Pro ToolsのDAWシステムを据えた橘のプライベート・スタジオ。コンピューターを設置したメイン・ルームは10畳ほどの広さで、隣接する部屋はギターや電子ドラムを収納する"楽器庫"だ。メイン・ルームのコンピューター・デスク前にはドラム椅子が認められる。「前は普通の椅子を使っていたんですが、背もたれによる反響が気になって(笑)。それでドラム椅子に替えてみたところ、随分マシになったんです」と橘。反響が気になるほどラウドにモニターしているのだろうか?
「部屋が揺れるくらい大きな音を出しますね。特に最終的なミックスのチェックの際は、それくらいやらないと鳴りを体感できないので」
再びデスク周りを眺めると、液晶ディスプレイが2台用意されている。「下の方がDAW用で、上の方がFLUX:: PureAnalyzer Systemのためのものです」と、橘は続ける。
「Pure Analyzer Systemは、ミックスのときに必ず使っています。最も気に入っているのは、どの周波数帯域がどれくらい左右に広がっているのか視覚的にチェックできるところ。最近のダンス・ミュージックを研究していると、特定の帯域を広げた曲が多いんです。アンチ・フェイズ(位相ズレ)を活用した音作りが目立ち、ベテランのエンジニアの方から"こんなに逆相成分を入れるのは良くない"と言われそうなことを数多くのトラック・メイカーがやっている。だからもう、今までとは勝手が違い過ぎるというか。極端な言い方をすると、ダンス・ミュージックは広げることでかっこよくなる音楽だとも思うので、出音が良ければ従来は禁じ手だった手法も"アリ"に更新されるのではないかと思いますね」
(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2018年1月号にて!)
サウンド&レコーディング・マガジン 2018年1月号
品種 | 雑誌 |
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仕様 | B5変形判 / 308ページ |
発売日 | 2017.11.25 |