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この冬のニューミドルマン養成講座は、 「超実践アーティストマネージメント編」だ!
2015年9月に刊行された『新時代ミュージックビジネス最終講義』(山口哲一著)、2017年9月に刊行された『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』(脇田敬著/山口哲一監修)は、ともにNEW MIDDLEMAN BOOKSの1冊。これは、山口哲一氏がオーガナイズする「ニューミドルマン養成講座」という実践的なセミナーの内容を書籍化したものだ。
そして2018冬期の「ニューミドルマン養成講座」では、『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務』に準拠して、さらにアーティストマネジメントを掘り下げていく予定とのこと。著者である脇田氏をコーチに、豪華ゲストも招きながら、2018年2月1日〜3月1日の間に開催される、全5回のシリーズとなっている。
本講座の特徴や意義、そして書籍との関係などを、山口氏に伺っていこう。
ニューミドルマン養成講座
http://tcpl.jp/archives/3164
既存の職域にとらわれない、新しい職業が生まれてくる
----------そもそも、ニューミドルマンというのはどういう意味を持った言葉なのでしょうか?
山口:僕が尊敬する田坂広志さんというスーパー経営コンサルタントで哲学者の方が提唱された概念です。インターネットの発展で、様々な職業が「中抜き」されるようになるけれど、消費者と生産者が直接結びつくというのは短絡的な発想で、生産者のサポートをする中間業者(ミドルマン)は消えていくけれど、消費者のためになるニューミドルマンが活躍するという考え方です。1999年にご著書『これから日本市場で何が起こるのか―【ネット革命】ニューミドルマンが資本主義市場を進化させる』で提唱されました。この本を読んで、「俺はニューミドルマンだったんだ!」といたく感動して、このセミナーを始める時に掲げました。田坂さんの了解もいただきました。
----------『新時代ミュージックビジネス最終講義』では田坂さんと対談されていますね。
山口:はい。感動的でした。やはり一つ一つの言葉が深い方です。
----------それを音楽業界に置き換えると、どういうことになりますか?
山口:従来型のレコード会社を中心とした音楽ビジネスの仕組みは壊れ始めています。でも音楽家や音楽ファンがいなくなった訳ではない。情報の流れ方やマネタイズの仕組みが変わるだけなのです。そこで活躍する、既存の職域にとらわれない、新しい職業が生まれてくるはずなんです。
「これからのアーティストマネージメント」について実践的に学ぶ
----------では、「ニューミドルマン養成講座」について教えてください。
山口:田坂さんの提唱された概念を音楽業界に置き換えて、新しいタイプの音楽ビジネスのプロを育てたいと思って2014年にはじめました。セルフプロデュースしたいアーティストも対象にしています。既に100人以上が受講しして、起業したり、音楽関連の仕事の転職して活躍する例も出てきています。
時代の変化に合った(できれば先取りした)
次世代の音楽ビジネス(という領域自体を疑いつつ)を
再構築する方法を考え、実践していくこと。
というのが、ニューミドルマン養成講座の目的です。
---------- そしてNEW MIDDLEMAN BOOKSとしては、2冊の書籍が刊行されています。
山口:はい。前述の『最終講義』は、国際的な視点も交えながら、日本の音楽業界の現在を総括、未来を予見した内容です。残念ながらと言いたいのですが、日本の変化が遅いので、まだ有効性を全く失っていない本だと思います。もう1冊は、僕の兄弟分的存在な脇田敬がアーティストマネージメントの実務についてまとめた本で、僕が監修しています。彼の細かい性格がよく現れた(笑)、ハンドブック的な本ですね。とても役に立つ本だと思います。
----------今回、養成講座でマネジメントを大きなテーマとして取り上げられた理由は?
山口:2014年10月のプレ講座から初めて、ニューミドルマンラボとして4年目になるので、少しブラッシュアップしようとしています。これまでは年2〜3回、8日間セットの講座としていたのですが、2018年からはその都度テーマを絞って、年4回やるような形にしようと思っています。同時にオンライン+オフ会を行なう、ニューミドルマンのコミュニティも立ち上げようと思っています。受講生相互のコミュニケーションももっと活性化して、日本の音楽、エンタメシーンに好影響を与えたいです。
そして、絞り込みテーマの第一回としては僕の本業に近い「アーティストマネージメント」が良いかな、と。脇田君は、レコード会社、ライブハウス、事務所などの音楽ビジネスのいろんな立ち位置を一通り経験しています。また、デジタルツールを使いこなしたPRについても精通しています。ニューミドルマン養成講座にプロデューサー的にずっと関わってくれているので、彼の著作も活用しながら、「これからのアーティストマネージメント」について実践的に学ぶ場にするつもりです。
人脈構築にも有益な、「場」としての講座
----------書籍と講座の関係はどのような感じになる予定でしょうか?
山口:『マネジメントの実務』は、いわば教科書と考えていただければよいかと思います。今回の講座では、最初の回で課題を出すつもりです。アーティストプロデュースについて、自分の事業プラン、活動計画を作るというようなテーマです。最終回では優秀作を発表して、みんなで議論して詰めていきます。ニューミドルマンラボの進め方は、
・インタラクティブ=一方的に受け取って何かを教わるのでは無く、一緒に考えていく
・クリエイティブ=ビジネス構造の変化を本質的に見抜いて、新しい方法を考える
・プラクティカル=机上の空論では無く、行動していく
の3つです。そのプランが実際にビジネスに繋がるように後押ししたいと思っています。
----------ゲストも豪華ですね。
山口:この講座の価値の一つは、普通にはお会い出来ない方から直接、本音を聞けるということです。毎回懇親会もやりますので、お酒を飲み交わして質問することもできます。人脈構築にも有益なんです。
中井(秀範)さんは、吉本興業でダウンタウンなどを手がけられた、バリバリの芸能マネージャーです。業界の大先輩なので、お招きするのを僕が緊張するような方です。ITなどにも明るく、これからのマネージメントビジネスにビジョンをお持ちの方です、日本音楽事業者協会という日本の芸能界の総本山みたいなところの専務理事をやられていて、保守本流でありながら、変化を見据えていらっしゃいます。僕とは違う視点から大いなる刺激をいただけると、僕自身が楽しみにしています。
荒川(祐二)さんは、これまでも何度もお世話になっているのですが、著作権ビジネスの現場を誰よりわかり、未来を切り拓いている方です。YouTubeは現在、最大の音楽リスニングツールになっているのに、使用料回収が不十分として問題になっている。そこに再生回数に応じた徴収という、素晴らしい仕組みを導入した荒川さんの話をこのタイミングで聞けるのは、今後の日本の音楽ビジネスにとって、とても貴重だと思います。
----------ちなみに本講座は、どのような方の参加を想定していますか?
山口:バンドに喩えるなら、ビジネス担当の人が受講してもらうと良いという説明をしています。昔ならドラムとベースとギターとキーボードでバンドを組むのが正解でしたが、おそらく今は、音楽を作る人、パフォーマンスする人、VJ、そしてビジネス担当みたいな組み合わせで、バンドのように同じ目標を持って活動する方が成功確率は高いでしょう。スタッフ側から見れば、アーティストとイコールパートナーになるという言い方もできます。そのくらい音楽を作ることと、広めること、マネタイズすることがセットになっている時代だし、自分たちでやれるツールが充実している時代だとも思います。
----------これまでのニューミドルマン養成講座はどんな方が受講していたのですか?
山口:音楽業界の人の参加はすごく少ないんですよね(笑)。ですから、もっと来てほしいです。音楽ビジネスに興味がある人、音楽業界に転就職したい人、音楽関連サービスを立ち上げたい起業家、そして、きちんとセルフプロデュースしようと思う音楽家などが対象になります。
----------この講座に参加することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
山口:アーティストマネージメントというのは音楽ビジネスの根幹であると同時に、元手がなくても始めやすい事業でもあります。若くて熱意がある人には良い入り口ですから、現場感のある情報を得ることは意味があるはずです。受講生のネットワークもできてきているので、人脈形成にも役に立ちますね。僕はマネージメントが出自なので、こう見えて、面倒見はいいですよ(笑)。人生相談にも乗っています。
広がりという意味では、僕が実行委員長を務めるエンタメ系のスタートアップ支援のアワード「START ME UP AWARDS」とも連携しているので、ビジネスアイデアを起業に結びつけることがしやすいですね。
また、作曲家育成の山口ゼミとも近いので、音楽家とのネットワークもできますし、ミュージシャンズハッカソンやクリエイターズキャンプ真鶴に集う、音楽好きのプログラマー、タッチデザイナーと使うクリエイターなどとも繋がれます。これからの音楽シーン、音楽ビジネスに携わるには、必要なものが全部揃っていると言えると思います。是非、門戸を叩いてみてください。
クリエイターズキャンプ真鶴
https://youtu.be/1glMRLSGtxo
START ME UP AWARDS
https://youtu.be/k786VX768D4
ニューミドルマン養成講座
http://tcpl.jp/archives/3164
ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務
品種 | 書籍 |
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仕様 | A5判 / 176ページ |
発売日 | 2017.09.15 |