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2018.02.09

【Special】日本の気鋭ビート・メイカー〜Sweet William|サウンド&レコーディング・マガジン2018年3月号より

Text by Kentaro Shinozaki, Photo by Hiroki Obara

 伝統的なブラック・ミュージックへの愛情を持ちつつ、そこへカラフルなポップ・センスを掛け合わせ、独自路線をひた走るSweet William。昨年、唾奇(つばき)×Sweet William名義の『Jasmine』がスマッシュ・ヒットし、ソロ・アーティストとしても新作『Blue - EP』をリリースするなど、ますます注目を集めている人物。さらに、1月31日には彼が所属するクリエイター集団Pitch Odd Mansionと、多数のラッパーを輩出してきたMS Entertainmentによるコンピ『Pitch Odd Mansion & MS Entertainment Presents "2 HORNS CITY #2 -Rain Library-"』も発売される、ますます活動の勢いを増している。

【Profile】名古屋出身のトラック・メイカー。ソロ作をフリー音源からCDまで幅広い形態でリリースするほか、アーティストへの楽曲提供やリミックス、2017年4月には沖縄のラッパー唾奇とのダブル・ネーム・アルバム『Jasmine』がリリースされ、耳の早いリスナーたちの間で話題に。

MPC2000XLを経てMaschineとの出会いが大きかった

■キャリアのスタート

 僕は3人兄弟で、一番上の兄貴がダンス、真ん中の兄貴がDJをやっていたので、小さいころから家にヒップホップが流れていて、自然と興味を持つようになったんです。一番上の兄貴は独学でジャズ・ピアノもやっていたため、僕もピアノを教えてもらいながら、自分でも曲が作れたら面白いなと思うようになって、中学生のときにビート・メイクを始めました。同時に大学のころはダンスもやっていて、そのショウケース用のトラックをつないで編集する"音編"もやっていましたね。大学を卒業してからは名古屋で普通に働いていたんですが、音楽の無い生活サイクルになってしまって......音楽と仕事を両立できる人はもちろん居ると思うんですが、僕は音楽で勝負したかったので、仕事をやめて上京しました。今、映像作家をやっている(Kunieda)Shintaroとほぼ同時期に上京したんです。名古屋で活動をしようとも考えたんですが、環境を変えたいと思ったんですよね。とはいえ、東京のシーンなどは特に意識せずに、自分のやりたい音楽を作るということは決めていました。ヒップホップには自分の地元をレペゼンする文化がありますけど、僕にはあまりそういう意識が無くて......もちろん名古屋はホームなんですが、どこに居ても、自分の音楽の芯はブレないようにしたいなと。そうやってソロ曲を作ってSoundCloudで発表したり、イベントに出るようになったりして、東京に来てから3年経ったころ、唾奇と『Jasmine』を作ったんです。唾奇とは大学時代に沖縄に遊びに行ったときに初めて会って、それからコンタクトは取り続けてきたんですが、お互いにやりたい音楽が一緒にできるタイミングがそのときだと思ったんですよね。作品を増やしていくごとに少しずつですが、ビート・メイカーとしての立場も認知してもらえるようになった気がします。

■機材の変遷

 ビート・メイクは中学生のときにYELSI Ejayっていうソフトを触ったのがきっかけでしたね。ループを組み合わせて簡単に曲を作れるソフトで、僕はヒップホップ・バージョンを買って。その後、高校生のときにAKAI PROFESSIONAL MPC2000を購入してから本格的にビートを組み始めました。好きなアーティストがPVでMPCを使っていて、ずっとあこがれていたんですよね。ただ、買って1週間で壊れてしまって(笑)。その後はROLAND SP-404で簡単なシーケンスを組んだりしながら、大学生のときにMPC2000XLを友人に譲ってもらいました。同時に、さっき話したショウケースの音編でAPPLE Logicを使い始めましたね。機材として大きな転換となったのは、ShintaroがくれたNATIVE INSTRUMETS Maschine Mikro。それまでは基本的にMPC2000XLだけの超アナログな環境でビートを作っていたんですが、Maschine Mikroを手にしたときは機能と拡張性に感動しました。作業のスピードが速くなったし、いわゆるDTMにあこがれもあったので。その後、今メインで使っているMaschineをハードオフで見付けて......店内に3,000円で転がっていたんです(笑)。制作でもライブでもそのMaschineを使っているので、そろそろ新しいものをもう一台買おうと思っていますね。

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2018年3月号にて!)


サウンド&レコーディング・マガジン 2018年3月号

品種雑誌
仕様B5変形判 / 260ページ
発売日2018.1.25