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2018.02.05

【Special】日本の気鋭ビート・メイカー〜理貴|サウンド&レコーディング・マガジン2018年3月号より

Text by Kentaro Shinozaki&Susumu Nakagawa, Photo by Hiroki Obara

 異色の世界観でブレイクを果たしたラッパー、KOHH。フランク・オーシャンの作品への客演をはじめ、ポップス・フィールドでも宇多田ヒカルが彼をフックアップするなど、日本語ラップに詳しくなくとも、彼の名前を知る人は多いだろう。そんな彼のビートを支えているクリエイターの一人が、理貴(りき)だ。シンプルながら細部まで工夫を凝らしたトラック、そしてポップスにも通じる楽曲構成力を武器に、加藤ミリヤやANARCHY、AK-69らのプロデュースも手掛けてきている。次世代の中心を担うであろう、優れた才能を感じさせるビート・メイカーだ。

【Profile】加藤ミリヤ、ANARCHY、AK-69らにビートを提供する気鋭プロデューサー。「Junji Takada」や「貧乏なんて気にしない」などKOHHの名曲の制作にもかかわっている。

最初にKOHH君へ提供した「Junji Takada」がヒット

■キャリアのスタート

 中学時代に友達とバンドを組んで、ギターを弾くようになったのが最初の音楽活動です。SUM41などのメロコアが好きでコピーをよくしていました。そうやってバンドをやっていたころ、ビルボード・チャートの上位がヒップホップ一色になった時期があったんです。2002〜2003年くらい......ネリーの「ジレンマ feat. ケリー・ローランド」が1位になった辺りですね。そういう音楽を耳にして、"ヒップホップってすごくいいな"とインスパイアされたんです。ずっとコピー・バンドをやっていたので、すごくオリジナリティを感じました。メロコアって、指をずらせば弾けるパワー・コードが多いじゃないですか。でもヒップホップは全く違っていて。それで、高校時代は渋谷のHAZARDとかにもよく遊びに行くようになって、一緒にヒップホップをやる友達が増えていったんです。ちょうどAPPLE iMacを持っていたので、普通にYouTubeやiTunesで音楽を聴く延長で、付属のGarageBandでビートを作り始めました。"スネアはここ、ハイハットはここ"っていう感じで、好きな曲をコピーして。今考えると、バンドをやっていたから曲の構造がすぐに理解できたのかもしれません。

■ビート・メイカーとしての歩み

 最初はGarageBandで作っていたんですが、ネットで海外のビート・メイカーがいろんな機材を使っているのを見て、自分もLogic Expressに乗り換えたんです。その中の音源にニッキー・ミナージュとかが使っているような音色が入っていたりして。あと、TR-808系ベースはフリーのライブラリーをゲットして使っていましたね。とにかくLogic Expressに変えてから、ヒップホップやR&Bのグルーブがやっと作れるようになったんですよ。ちょっとモタった感じとか。そうやって自分が作った曲を周りに聴かせたら"結構良いね"って言われるようになって、HAZARDで出会ったJASMINEというシンガーに提供した曲が全国区でリリースされたのをきっかけに、ビート・メイカーとしてやっていきたいと思うようになりました。そのときはまだLogicの内蔵音源だけで作っていたんですけど、REFX Nexus2を買ってその時期はやってたビートの雰囲気を取り入れてました。それからR&Bのレーベルで1年半くらい制作のアシスタントをするようになって、LUNAさんやYORK(元LDH)さんなどにビートを提供していました。その後はアシスタントを辞めて、KOHH君がはやっていくのと同じタイミングでそっちの方の仕事が増えていった感じですね。

■KOHHとの出会い

 高校生のときにKOHH君と初めて出会ったんですけど、その後は会ってない時期もあって、連絡をまた取るようになったのはKOHH君が『YELLOW T△PE』(2012年)を出したころでした。最初にKOHH君へ提供した「Junji Takada」がヒットして、一緒にツアーにも行くようになって。その後も『MONOCHROME』(2014年)の「貧乏なんて気にしない」などKOHH君関連の仕事をしつつ、他のラッパーにも楽曲提供をし続けています。

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2018年3月号にて!)


サウンド&レコーディング・マガジン 2018年3月号

品種雑誌
仕様B5変形判 / 260ページ
発売日2018.1.25