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UNISON SQUARE GARDEN鈴木貴雄インタビュー/ドラム・ソロ動画&手書き譜面公開!|リズム&ドラム・マガジン2018年4月号より
Interview&Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Taichi Nishimaki Hair&Make:Masato Nakai
甘いメロディと攻撃的なサウンド、目まぐるしく変わる展開や変拍子を織り交ぜたキメの嵐などを武器に、国内ロック・シーンの最先端を走り続けるUNISON SQUARE GARDEN(以下USG)が7作目となるフル・アルバム『MODE MOOD MODE』をリリース。リズム&ドラム・マガジン2018年4月号では、テクニカルかつ華のドラムでアグレッシヴに攻めるUSGのドラマー、鈴木貴雄の初となる表紙特集を掲載しています。
ここではアルバム『MODE MOOD MODE』初回盤付属のライヴ映像から抜粋したドラム・ソロを、鈴木貴雄本人が自ら採譜した直筆譜面と共に公開。当初は限定公開の予定でしたが、鈴木氏の好意により永久的に公開が決定しました。ドラム・ソロを楽しんだあとは、最新シングル『春が来てぼくら』をチェック!
基本的に"やりやすくない"感じがUNISONの魅力だと思いますね
─UNISON SQUARE GARDEN(以下UNISON)は、今年でメジャー・デビュー10年になるんですね。ドラムは始めてどのくらいになります?
鈴木 中3くらい......14歳の頃だから17年になりますね。自分の生い立ち的なところになりますけど、勉強は本当にできなかったし、そもそも何のために生きているのかもわからないし、小、中学生あたりは"人生の迷い期"に入っていて......。学校内でも居場所がなかったし、ずっとストレスを感じて生きてきたんです。でも、「自分の好きなものはこれです」と言えるものが何か1つあると、周りと差別化......個性というのか、それを唯一の拠りどころにして生きることができるなぁと思って。
─それがドラムだったと?
鈴木 何もパッとしないけど、ドラムだけは周りよりちょっとだけうまかったというか。それでも学校内で"ちょっと"ってレベルで、今ほどいろんな人に評価していただけるほどではまったくなかったんですけど、何というか、ロック・バンドとかドラムにすがって生きてきたなぁというのはすごくあるんですよね。
─最初はギターも弾いていたんですよね。
鈴木 そうなんです。ロック・バンドというものに夢を見ていたんですよね。当時はTHE BACK HORNに心酔していたんですけど、彼らをファン目線で見ると、音楽をするために身を削ってやっている人達......というか。そのギリギリの生き様が、少し自分に通じるようなところがあったんですよね。とにかくそういうところから音楽をスタートしたんです。
─鈴木さんのドラムというと、アグレッシヴな手数の多いスタイルというイメージが強いのですが、それは当時から?
鈴木 最初にドラムをコピーし始めたのは黒夢でしたけど、当時コピーしていた音楽が今のスタイルに関係しているのかどうか......。でもやっぱりUNISONに育てられたのかな。彼らとは16歳の頃からバンドを組んでいて、田淵(智也/b)が持ってくる曲は当時から速かったですね。そういう中で"曲を良くしよう"と思ったときに手数が増えていって、バンドの編成も少なかったからドラムのやるべきことが多くて、(ドラムで)華やかにしていかないと"3ピースとしてカッコ良くないな"って思ったことがスタートだと思います。"良くしよう"って思うほど、どんどん手数を入れていって、気づいたら「次の曲はもっと入れよう」とかなって、3人がギリギリまで詰め込んでいくうちに、今にいたる......みたいな感じですね。思えば結成当初は、曲もドラムも今より全然シンプルだったと思います。いわゆる"歌モノ"みたいな曲を最初に2曲作って。それは世に出てないんですけどね。
─メイン・コンポーザーの田淵さんが持ってくる曲は、ドラムも入っているんですか?
鈴木 最初はなかったんですけど、段々と彼の頭の中のものをちゃんと伝えた方が良くなっていって、あるときからすべて打ち込んでくるようになりましたね。その方がこっちも汲み取りやすいし、変えやすいですから。ドラムのキメだったりフィルだったり、"タカタカタカ"なのか"タカトントン"なのかとか、細かいところまで全部入れてきてますね。
─それは忠実に再現してますか?
鈴木 僕はどっちでも良いと思っていて。でもはじめは、"自分らしさをきちんと乗せないといけない"と思い過ぎるあまり、彼が作ってくるドラムに対してすごく反抗していた時期もあったんですけど......。もちろん、それはそれで大事なことなんですけど、今はもう32歳ですから大人になりまして(笑)、無理に自分を出そうとしなくても、"彼が出そうとしている鈴木貴雄のドラム"も同時に愛せるようになったというか、それも正解というか。ただやっぱり、心が呼ぶ方だったり、良くなる部分を整えたりはします。例えばガシャガシャと手数を入れているけど、"ここは間引いた方がもっと良く聴こえるな"という部分は整える。彼がやろうとしていることをもう一段上げたいというのは常に意識していますね。もちろん自分がやりたいことを全部やるってことも大事にしていて、求められていることって、やりたいことをやればやるほど応えられると思うんです。だから、やりすぎるくらいやった方が......ちょっといびつになるくらいの方が、僕らとしては逆にポップでキャッチーになるんです。
─でも"エグい"と言ってもいいくらい本当に手数が多くて、テンポも速い、曲中の展開も多い、それでもポップなところに着地しているのは、本当に絶妙なバランスですよね。
鈴木 そうですね。基本的にやりやすくはないと思います。でも、その"やりにくい感じ"が、UNISONの魅力だと思いますね。まあ、それでもちゃんと引くべきときは引いているつもりではあるんですけど(笑)。
─(笑)。悩んだ時期はありましたか?
鈴木 もちろん! そっちの方が圧倒的に長いですよ。30歳を超えている方は何となく共通するかもしれないですけど、20代まではライヴでテンションを上げ過ぎてバンドが崩れたり、逆にバンドを崩さないよう引き過ぎてつまんなくなったりとか、そんなことを行ったり来たりを繰り返して段々と自分の軸がわかってくるというのがあるなと思うんです。バンドが3人になってからは14年、UNISONのデビューは2008年ですけど、その頃は全然整っていないというか、曲を作るのも大変だったり殺伐としてましたね。だけど、自信を持って"いける!"と思うまでにも、デビューしてから4年くらいはかかっているから、結成からだと7年。ようやくお互いの個性を邪魔なものと思わずに認め合って、良いものを1から持ち寄って作るってことができるようになるまで、本当に時間がかかったなと思いますね。
リズム&ドラム・マガジン 2018年4月号
品種 | 雑誌 |
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仕様 | A4変形判 / 156ページ |
発売日 | 2018.2.24 |
【リリース情報】
UNISON SQUARE GARDEN
14th Single『春が来てぼくら』
2018年3月7日発売
UNISON SQUARE GARDEN
7th Album『MODE MODE MODE』
発売中
UNISON SQUARE GARDEN
オフィシャルWEBサイト