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角銅真実×石若 駿───最先端をいく若き打楽器奏者達
取材&文:編集部、撮影:表 萌々花
マリンバやピアノをはじめ、さまざまな楽器/モノ、歌や言葉で音楽を表現する気鋭のミュージシャン、角銅真実。ceroのサポートなどでも知られる彼女が去る1月、メジャー1stアルバム『oar』(オール)をリリース。リズム&ドラム・マガジン20年4月号では、同作にも参加し、大学時代の打楽器専攻では後輩でもあった石若 駿を対談相手に迎え、当時の音楽活動からニュー・アルバムの制作について語ってもらった。ここではその一部を抜粋して、お互いの打楽器に対する思いが語られるセクションをお届け。
角銅さんの学年は
みんな個性豊かというか
カッコ良くて面白い人達がたくさんいた
(石若)
●今回の対談は、角銅さんがリリースされた新譜『oar』の話はもちろん、石若さんにもお話がうかがえるので、打楽器のこと、歌のこと、いろいろお聞きしたいです。ということで、まずは初めて出逢った頃のお話から......。
石若 (出逢ったのは)僕が高校1年生のときの入学式で、角銅さんは......。
角銅 大学1年生でした。
石若 同じ日に入学式があって、高校(東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校)と大学(東京藝術大学)が同じ敷地内にあって、院生の先輩が「彼らは高校に入ってきた新入生4人です」って角銅さんにつないでくれたんです。僕は当時、大学の打楽器科の演奏会をよく観に行っていて、僕が大学1年生のとき角銅さんは4年生だったので、大学からは一緒に演奏したりもして。とにかく僕はずっと角銅さんの演奏を観ていました。
角銅 私も観てたよ(笑)。
石若 本当? 角銅さんの学年はみんな個性豊かというか、すごくカッコ良くて面白い人達がたくさんいたんです。
角銅 私も石若君の学年が大好きで。今はわからないですけど、打楽器科って普通は1学年2~3人なんですけど、私と石若君の学年だけレアで4人だったんです。4人ってバランスが良いのかアンサンブルもカッコ良くて。
石若 そうそう。演奏する曲も選択肢が多くて、打楽器4人の曲っていうのも結構多かったんですよね。しかも角銅さん達先輩が同じ編成でやってるから、「あ、あの曲はこういうことやってたんだ」って後々気がついたり。
●角銅さんの代が演奏していた打楽器アンサンブルって、どんな曲だったんですか?
角銅 ウェストレイクの「オンファロ・セントリック・レクチャー」とか、(ジョン)ケージの「サード・コンストラクション」とか、いろいろやりましたね。打楽器のカルテットって結構レパートリー多くて。
●角銅さんってドラム・セットは?
角銅 やらないですね......。やりたいと思いながらもこんな時間が経ってしまいました。
●そもそも角銅さんが音楽に触れ始めた時期というか、楽器に触るようになったのは、どういうきっかけだったんですか?
角銅 家にアップライト・ピアノがずっとあって、(ピアノは)押したら音が出るし、座ってドローイングのように演奏できるからずっと弾いてて。小学校のときにちょっと習っていた時期もあったんですけど、1人で勝手にやっていることが多くて、高校2年生になったときに"パーカッションやりたいな"と思って、マリンバを習い始めて......っていう感じです。
●なぜ、打楽器をやりたくなったんですか?
角銅 私はあまり学校に行ってなかったんですけど、ちょうどみんなが学校へ行ってる時間に、『ドレミノテレビ』っていうUAさんが歌のお姉さんをやっている番組があったんです。UAさんが好きだったのもあるのですが、服飾にも興味があって『装苑』をよく読んでいたんですけど、ひびのこづえさんが衣装をやっていて。いろいろ気になって番組を観始めたんです。そうしたらパーカッショニストの山口ともさんが出演されていて、すごい面白くて。高校2年生って"どんな大人になろう"って考える時期で、身の回りに、こういう大人の人(山口とも)はいなかったので、とても興味が湧いて。ライヴを観に行ったらすごくカッコ良くて、打楽器をやってみたい"と思ったんです。最初はマリンバの先生について、その後1浪して大学へ入学して打楽器を学び......、今にいたります。
●なるほど。石若さんは逆に、幼少の頃からがっつりドラムでしたよね。
石若 そうですね。僕は高校と大学でやっとドラム以外の楽器をちゃんと勉強したんですよ。だから高校のとき、杉山智恵子先生のレッスンで、「じゃあ今日はマリンバをやりましょう。4マレットで持ったことあるかな?」と 言われて「ないです、どうやって持つんですか......」みたいなところから始まったんです。グリップも知らなかったし、本当に何にもできなかったんです。でも、マリンバもティンパニもスネアも、大学に入ったら何ができるとか何が専門とか全然関係なくて、「あれ、スネアで大学に入ったけど、最近ずっと鍵盤しかやってない」とか、逆に「あの人、鍵盤で受験したけど、パーカッションやティンパニをすごく演奏している」って人もいました。逆に言うと、大学に入ってしまったら何でもやらなきゃいけないというか。だから自分の中で、いろいろな楽器に対する好奇心が一気に爆発していく感じはありましたね。やっぱり身の回りにすごい人達がたくさんいて、「トライアングルの一発の音はあの人には敵わないな~」みたいな人がいると、自分で練習したくなるし、僕らにとっての大学はそういう場所でしたね。
本誌では引き続き、角銅の歌や作曲、石若との音楽制作についてお伝えしていく。さらに、最新作の『oar』のレコーディング風景を特別公開! このインタビューの続きは、2月25日(火)発売の「リズム&ドラム・マガジン」2020年4月号にて!
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