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2021.07.30

新刊『30日で理想の声になれる本』より、著者・田中直人氏とUUUM竹川洋志氏の特別対談を公開!

25年のキャリアを誇るボーカルトレーナー、田中直人氏による新刊『毎日たった3分トレーニング 30日で理想の声になれる本』が発売中。ここでは本書内に収められた、UUUMの竹川洋志氏と田中氏による特別対談をお届けしよう。

動画コンテンツで活躍するために必要とされる
ボイス・トレーニングの重要性

HIKAKIN、はじめしゃちょー、フィッシャーズなど、多種多様な人気YouTuber(クリエイター)のマネジメント、サポートを手掛け、企業コラボや独自のコンテンツを次々と発信している企業がUUUMだ。そんなUUUMが所属クリエイターを対象に動画スキルを始め、学びの機会を提供するために設立したのがUUUMアカデミーである。今回は2020年より同アカデミーで田中がボイス・トレーニングを行なっている縁で、同社の執行役員である竹川洋志氏との対談が実現。YouTubeで活躍する方法や、シンガーだけでなく、パフォーマーとしても重要な、"声を磨くこと"など、さまざまな内容で語り合ってくれた。

撮影:星野 俊
撮影協力:UUUMアカデミー

UUUMアカデミーについて

田中 今日はお忙しい中、ありがとうございます。早速なんですがUUUMという会社と、UUUMアカデミーについて簡単なご説明をいただけますか?

竹川 はい。HIKAKINさんとウチの代表の鎌田(和樹)の出会いから始まって、「動画で活躍されている人をサポートするためには、どうすればいいんだろう」と考えたところから2013年に会社が立ち上がりました。当時はまだYouTuberという職業の認知も広がっていなかったですし、企業タイアップひとつ取り組むにしても、まさにイチから作っていったような生業になります。UUUMは動画クリエイターを始めとしたインフルエンサーのコンテンツ・カンパニーみたいな形ですね。YouTuberという仕事がそうであるように、「YouTuberを支える仕事」というのが認知されたのは、本当にここ2、3年だなと思っています。今はそれが広がっていますし、芸能界のほうからYouTubeに参画される方も非常に多い。さまざまなジャンルのさまざまな規模感のクリエイターさんがYouTubeの中には混在しているので、UUUMとしても、その中で世の中に発信して影響力を与えられるようなクリエイターさんを、僕らがご一緒しながら育てていきたいという思いで作ったものがUUUMアカデミーとなります。

田中 アカデミーができて、どれくらいたつんですか?

竹川 4年近くになりますね。アカデミー設立には、大きくふたつの目的がありました。YouTuberって基本的に自室でカメラに向かって「こんにちは!」っていうところから始めた職業なので、クリエイターさん同士の交流が少なかったんですよ。これをなんとかするための交流を図るイベントを積極的にやろうという目的がひとつ。もうひとつがクリエイターさん自身のアウトプットのスキルを上げることです。ここには照明を当てて撮影、編集をして映像を作っていく過程のスキルと、演者としてのスキルがあります。発声や立ち居振る舞いなどですね。

田中 今、アカデミーにはどのくらいのクリエイターさんが参加されているのですか?

竹川 のべ150~160名くらいですかね。当社の社員の中にもクリエイターがいて編集やCGスキルなどを学ぶために参加しています。

田中 その中で歌をメインにしている人数はどれくらいですか?

竹川 歌をメインとしてやっていらっしゃる方はまだまだわずかです。ただ、マルチも含めて他ジャンルで活躍しながら歌も出すというクリエイターさんを含めればもう少し多くなるかもしれないです。UUUMの中には音楽レーベル(UUUM RECORDSなど)も存在しているので、そこから歌を出しているような方もいらっしゃいます。

田中 コラボ企画みたいに、みんなで楽曲をリリースしていますね。

竹川 みなさん、やっぱり歌は好きで(笑)。普段YouTubeで活動していると、クリエイターの方がファンの皆さんと直接会うことってなかなかないのでイベントの機会が重要なんですが、ずっとしゃべっているわけにはいかないですし、歌があると非常に良いんですよね(笑)。武器を持つ意味でも「曲を作りたいです」とか「ちゃんと歌えるようになりたいです」っていうクリエイターさんは非常に多いんです。今はなかなか難しいですけど、「何ヵ月後かのイベントに向けてボイトレをしっかりやってみる」ということで田中さんの門下に入っていただいています。

田中 皆さんある程度歌えている部分はあるんです。だけど自分なりに何か反省点があったり、本当はこういう曲が歌いたいという課題をひとつずつクリアしていって、新しいジャンルに挑戦しています。ある程度歌えるようになったら動画として発表されている方もいて好評みたいですね。また、皆さん「もし次にイベントがあったらこういう風にしていきたい」という思いは持っていらっしゃるので、今の時点でもそこに向けて頑張っていますし、視聴者の方もクリエイターさんのスキルアップを応援している部分があると思います。

竹川 絶対値としてうまい歌を聴きたいのであれば、他に選択肢はたくさんあるはずですが、ボイトレを受けて少しずつうまくなっていく様子も含めて応援したくなるというファンは多いと思います。実際に2年前ぐらいまではオーディション形式の、「最後にライブに出られるのは誰だろう?」みたいな、ちょっと企画を入れたボイス・トレーニングの流れを作っていた時期もありました。コロナ禍が明けたら、またそんな面白いこともやりたいと思っていますね。

田中 今おっしゃったように、以前はグループ・レッスンでやっている時期もあったんですが、こういう時期でもあるので、現在は個人レッスンを中心にオンラインで一人一人の声を磨いています。また、ゲーム実況などをされる方で、歌じゃなく声そのものを磨きたいという人も多いですね。あとは子供たちもいて、滑舌とか言葉が重要なことが多いので、歌に限らず声全般を見ている感じです。

竹川 オンラインでやりづらい点はありますか?

田中 僕はもう今はオンラインのほうがやりやすいなと思っています。従来の対面レッスンだと、どうしてもレッスン会場まで移動して来てもらって、30分やってさようならという感じで、意外と慣れないまま終わるんです。一方のオンラインでは、レッスン前に30分くらい予習とウォーミングアップをして臨んでもらっています。レッスンが終わったあとに宿題も出せるんですよ。「このあと30分で、これやっておいてね」って。そうすると結局トータル90分くらいかけられる。翌日から自習をやるかって言ったら、あんまりやらないじゃないですか(笑)。そこだけ集中してやってもらうだけでも、伸びは大きく変わってきます。あとはレッスンを休むことが本当に少なくなるんですよね。車の中でも、どこでもレッスンできちゃうんで。みなさんレッスンの時間はうまく調整してもらっています。感染リスクもないですし、コロナ禍が明けてもオンラインをメインでと自分は考えています。

UUUMアカデミーでのボイス・トレーニング風景。歌唱力向上はもちろん、ゲーム実況者を始め、YouTuberにとって、声全般を良くすることで得られるメリットはとても大きいという。

UUUMネットワークについて

田中 UUUMアカデミーで講座を受けるには、具体的にどうすればいいんですか?

竹川 多くのクリエイターさんは、まだ広告収入で生活できるような状況にはないので、その段階においては月額ワンコイン=500円のUUUMネットワークに入会いただく形となります。ここは「この素材を使っていいよ」とか、「コンプライアンス上、こういうことには気をつけて」とか、「こんなイベントがあるよ」とか、インターネット上の学校、簡易組織みたいなものです。そこで育っていただく中で、UUUMと専属契約を結ばせていただいたり......という流れがあります。

田中 UUUMネットワークは誰でも入れるんですか?

竹川 審査はあります。主にはコンプライアンス視点で確認させていただいた上で、入会いただく形になっています。

田中 何人くらい会員さんがいらっしゃるんですか?

竹川 2021年2月末で、11,772チャンネルです。ここでは、ちゃんとネット上で権利処理がされた素材をお使いいただける環境が整っていますし、最初の一歩を踏み出したあとの、クリエイターとしての2歩目、3歩目......5歩目ぐらいまでのところはUUUMネットワークの中で、ご自身で習得できるようなシステムになっています。

田中 「YouTubeを始めるんだったら、これ絶対やっといたほうがいいよ」みたいなプログラムを、ほとんどユーザーに費用負担がかからない形で用意したイメージですか?

竹川 そうですね。専属契約後は、基本的に"バディ"という、いわゆるマネージャーをつけさせていただく流れになっています。

田中 「UUUMさんと一緒にやると、こういう可能性が広がるよ」という話も聞かせてもらえますか?

竹川 どうしても一人で活動していく中では出来得ないことってあるんですよね。イベントやグッズ制作、ファン作り、他のプラットフォームでのいち早い活動など、いろんなことがあるんですけど、一番は個人でクリエイターを始めて規模が大きくなってくると税務処理も大変ですし、炎上対策やコンプライアンス対策なども必要になってきます。なかなか個人の中でこういった知見を溜めていくのは難しいので、法令遵守という意味だけのコンプライアンスではなく、もう少し広い定義の、世の中にちゃんと受け入れていただいて、好意を持っていただくためのコンテンツ作りを通じて、クリエイターさんが余計な苦労なく成長いただくためのお手伝いというのは、ご一緒する中でいろんな形としてUUUMができるのかなと思っています。

田中 個人でやっていると、自分だけでは見えないことがたくさんあると思います。そこでパートナーでもあり、プロデューサーみたいな部分でもあり、「本当にやりたいことはこれなんだけど、どうしていいかわかんない」ってときにアイディアをくれたり、一緒にやったりという関係ですかね。

竹川 そうですね。例えば「撮影して編集して面白いものを考えて動画にすることが大好きなんだ」っていう方がいらっしゃったとしたら、他のことは全部UUUMが巻き取ればいいわけです。自分の好きなところに集中していただいたら、「面倒くさいところはウチがやりますから」ってスタンスです。逆に、一から十まで自分で行なえてセルフ・プロデュース力が抜きん出ている方だったら、UUUMはそんなに必要ないのかもしれないですね。

UUUMクリエイターのイベントは数多く開催されていて、大きなものになるとメジャー・アーティスト級の動員を誇るものも! そんなイベントに参加できる可能性があるのもアカデミーの魅力。

クリエイターとしての資質と声の重要性

田中 そうですよね。では、アカデミーに入る前に「まずこういうことを個人でやっておいてね」、「これくらいのことまでは基準としてあるよ」とか、クリエイターとして必要な資質みたいなものがあれば聞かせてください。

竹川 インフルエンサーというからには、ある程度は影響を与える人の母数が必要なので、そこはご自身の試行錯誤でまずは鍛えていただくというか、作っていただくしかないと思っています。その先は継続力というか......大変なんですよ。YouTubeに動画を上げるって、なかなかな労力がかかるので。最初のうちは毎日、もしくは毎日に近しい頻度でコンテンツを上げ続けないと習慣づいて観てもらうことはできないので、本当に忍耐力と継続力が必要な行為です。そこは前提として持っていただきたいとは感じますね。

田中 そのとおりですよね。うちの生徒さんで言えば、毎日路上ライブをするとか、夢があって他人任せじゃなく自分で努力できる子ですね。毎日動画をYouTubeに上げていけるような子が、その先の自分ではできないところをUUUMさんにサポートしてもらって、ガンと上がっていくみたいな。そういうイメージになりますかね。

竹川 そうですね。今はフィールドがYouTubeだとしても、その中で「歌で生きるのだ」と言って、ずっと歌の方面でやられる人は、それはそれで素晴らしいと思います。その一方で「諦めて違うことを始める」ことも決して悪いことじゃなかったりするんですよね。「自分にとって何をコンテンツとして発信するのが一番馴染むし、続けられるんだろう」とか、「人から受け入れられるんだろう」って、これは試してみないとわからないので。そういう意味では、僕は初志貫徹だけが答えじゃなく、その過程で"歌を捨てる人"もいれば、"歌を選ぶ人"もいていいと思います。その "歌を選ぼうと思った人"に可能性を見出だせるのであれば、僕らはそこに対して一助になりたいと思っています。

田中 それが本当にYouTubeの良さですよね。歌手でメジャー・デビューすると基本的には歌しかないんですけど、YouTubeだといろんな自分の好きなこととか、やりたいことをやっていく中でファンが増えていく可能性がある。その中に歌があってもいいし、なくてもいいっていうところですもんね。

竹川 そうですね。でも、やっぱり歌は聴いていて楽しいですね。特にお子さんって「歌手になりたい」とか「人前で歌いたい」と無邪気に夢を語ってくれるので、それは応援してあげたいなと思います。若者だと流行り歌を追っていくので、ちょっと昔の歌だと再生数が回らなくなるんですけど、お子さん向けの歌をお子さんが一生懸命歌ったミュージックビデオみたいなものをYouTubeに置くと、2~3年間、ずっと再生されるんですよね。気づいたら「再生回数が500万いってる!?」みたいなことも、ままあるんですよ。

田中 歌はもちろんですけど、声プラス音の重要性ってすごいと思うんですよ。もちろん画質もそうでしょうけど、同じくらいの比率で音質が悪いと視聴回数もあまり増えなかったりするのかなと。最後に、竹川さんが感じるボイス・トレーニングの重要性みたいなものについて聞かせてください。

竹川 やっぱり「声」ってコンテンツの魅力のひとつだなっていうのは強く感じます。顔出しをするクリエイターさんであれば、表情やルックスも人気の要素として大きいと思うんですけど、例えばゲーム実況者の方の配信はほぼゲーム画面なんですね。ゲーム実況者の実力の差ってゲームへの理解だったり、その語り口の面白さだったりしますけど、声の要素も大きい。すごく人気のあるゲーム実況者の方って大抵は声も魅力的なんですよ。自分も、朝にゲーム実況者のYouTube動画をかけて、何となく聞きながら出かける準備をしています(笑)。それこそBGMではなく、BGボイスみたいな感じですね。もうひとつは、ボイス・トレーニングをやっていくプロセスが、表情や表現力の向上と直結していると思うんです。そこはクリエイターさんとして、ひとつふたつ階段を上がるときに必要な要素だと思っているので、UUUMアカデミーにおけるボイス・トレーニングの重要性はすごく実感しています。

田中 テレビに出ている芸能人もそうですが、YouTubeに出ていて視聴回数が多い方はすごく良い声をされていますよね。また声が良いというだけでファンになっていったりする。そこを今回の本でもテーマとして書かせていただきました。今日はありがとうございました。

竹川 ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

ボイス・トレーニングをやっていくプロセスが、 表情や表現力の向上と直結していると思うんです。(竹川)

視聴回数が多い方は魅力的な声をされていますよね。 また声が好きという理由でファンになっていったりする。(田中)

UUUMネットワークに興味を持ったら、まずはアクセス!
https://entry.uuum.jp/

■書誌情報
書名:毎日たった3分トレーニング 30日で理想の声になれる本
著者:田中直人(ATOボーカルスクール)
定価:本体1,800円+税
発売:2021年7月16日
発行:リットーミュージック
商品情報ページ https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3120343009/

▼amazonでの購入はこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/4845636506