ギター・マガジン

ひたすら弾くだけ!超絶ギター・トレーニング

加茂 フミヨシ(著)

定価1,650円 (本体1,500円+税10%)
発売日2009.12.17
品種ムック
仕様A4変形判 / 96ページ / CD付き
ISBN9784845617623

内容

“速弾き=メタル系”という概念を砕く“オールジャンルな光速弾き”!  アウト感満点の刺激的プレイ! 初級~上級者まで“超絶”を体得!!

速弾きだけをレクチャーした超絶系教則本は多数あります。しかし、本書は"超絶"="リスナーが感じる聴覚的な要素"ととらえ、過激&複雑を増す21世紀の超速弾きに加え、速弾き以外の刺激的プレイをも網羅! 知的なフレージングのツボをマスターすれば、速弾きをしなくてもスリリングなプレイが可能になります。また、速弾きというとメタル系でしか使えない印象がありますが、本書ではあらゆるジャンルの超絶プレイが満載。技術至上主義の上級者はもちろん、初級者レベルのギタリストでも"超絶"プレイを楽しむことが可能です! アラン・ホールズワース、スティーヴ・ヴァイ、エリック・ジョンソン、スコット・ヘンダーソンのような"刺激的なプレイ"をマスターしたいギタリストは必読!!

※注:本書ではテンポ170の16分音符以上の速さを"速弾き"と定義しています。

【CONTENTS】
≪1章 基本&ハイテク技を駆使したスリル≫
■"ギター考古学=ブルース"で必須! チョーキング&ビブラートによる表現
◎Analyse1:"音程屈折率=チョーキング・コントロール"の考察
◎Analyse2:チョーキングにおける"融合"と"分離"

■トレモロ・ピッキングとストレッチの制御法
◎Analyse1:トレモロ・ピッキングのスピード理論
◎Analyse2:"指裂き解剖学=ストレッチ"! そのカギは左親指の位置

■複雑なコード進行でのソロを"和音造形学=コード・フォーム"で乗り切る!
◎Analyse1:難解コード・フォームの公式的な暗記法1
◎Analyse2:難解コード・フォームの公式的な暗記法2

■幾何学的なスウィープ・ポジションでジャジィなコード進行を弾く
◎Analyse1:Am7フォームとスウィープ・ポジションの共通項
◎Analyse2:A7フォームとスウィープ・ポジションの共通項

≪2章 天下無双のアイディアを駆使したスリル≫
■脱・古典的ソロ! ペンタトニックに潜む刺激効果の究明
◎Analyse1:駆け上がり&横移動による現代的フィンガリング
◎Analyse2:滑らかな"うねり"の方程式=上下行+スライド移動

■"リズム"と"音程差"が作る違和感による心理学的アプローチ
◎Analyse1:"リズムの二重構造=ポリリズム"に挑む
◎Analyse2:音程差の臨界点! 大幅スライド&ピッキング・ハーモニクス

■"音のパラレル・ワールド=異弦同音"を使い、不思議なニュアンスを構築
◎Analyse1:開放音と押弦音の異弦同音が作る小宇宙
◎Analyse2:ストレッチ&異弦同音で音を液状化

■解剖学的な限界に挑戦! ストレッチ"でキーボード風コード・サウンドを創造
◎Analyse1:"手のひらヨーガ=ストレッチ・コード"で脱力の研究!
◎Analyse2:"ストレッチ・コード+タッピング"による算術

≪3章 衝撃的スケール&過激な音使いを駆使したスリル≫
■音程差の方程式! 計算された音跳びにチャレンジ
◎Analyse1:弦跳びを用いた音跳びの構造を解明
◎Analyse2:A7に対し、なんちゃってアカデミック奏法で対応

■フレーズの半音ずらしで、"調性の重力から脱出=アウト"する
◎Analyse1:イン⇔アウト自在! お手軽アウト術の定理
◎Analyse2:フレーズのベクトルを半音ステップでシフトさせよ!

■ペンタトニックの共通項から、さまざまなスケールを導き出せ!
◎Analyse1:ペンタのDNAに潜むリディアン・スケールを抽出
◎Analyse2:ペンタのDNAに潜むオルタード・スケールを抽出

■数列的な音配置?! 異色のスケール、ホール・トーン
◎Analyse1:ホール・トーンが指板上に描く幾何学模様の研究
◎Analyse2:ホール・トーンとナチュラル・マイナー+♭5th音の共通項

≪4章 一撃必殺の光速弾きを駆使したスリル≫
■速さの臨界点に挑戦! 人体の仕組みをも考慮した超速弾き
◎Analyse1:人間工学に基づくポジショニングでの速弾き
◎Analyse2:左手優先の意識を養う心理学的アプローチ

■乳酸との戦い! 高速メタル・リフで必須の右手の持久力を養う
◎Analyse1:ロクリアンに潜むメタル遺伝子が、ダウン・ピッキングを覚醒
◎Analyse2:連続ダウンとオルタネイトの対比によるスピード感の検証

■"音の流体力学=レガート奏法"による流麗な速弾き
◎Analyse1:左手の最終進化系=4ノート・パー・ストリングス
◎Analyse2:4ノート・パー・ストリングスで弾く最先端レガート奏法

■"ピックのベクトル的運動=スウィープ&エコノミー"で音の自由度をアップ!
◎Analyse1:エコノミーによる意識の制御とピッキング・アングル
◎Analyse2:ジョイント&スウィープが譜面に描く三角関数的ライン

付録ダウンロード

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編集担当より一言

編集担当者よりひと言×10倍界王拳

◎音楽こそ科学が重要
男と女、正義と悪、ボケとツッコミ……一見すると真逆の性格同士が、実は密接な関係にある場合を見受ける。“抽象的な価値観が支配する音楽”と、“絶対的な尺度を持つ科学”もそうだ。さらに古来より、科学と音楽の繋がりは深い。特に、音楽理論は科学者の貢献を無視することができない。例えば、ピタゴラスは“ピタゴラス音律”を考案し、のちのスケールやハーモニーに影響を及ぼした。このように、時として音楽は、科学の力を借りて発展していったのだ。本書の表紙に科学者が描かれている理由は、このような歴史的な背景を受けての結果である……かは微妙だが、まぁ、上記の事実を頭の片隅にでも置いて本書を読んでいくと、意外な発見ができるだろう。

◎日本で最も著者にふさわしい男
本書の執筆も科学者的思考を持つ男、加茂フミヨシ氏に執筆依頼した。氏は東京理科大学のOBで、分析能力に長けた逸材だ。さらに、これまで数千人を音楽学校で教え、プロを輩出してきた実績を合わせ持つ。つまり、科学者的な思考回路と、ギター指導で得た十分なサンプル数を持ち合わせている人物なのである。本書の著者として、これほどまでに適した人物は日本に存在しないだろう。

◎“大リーガー養成ギブスをやめ、プロテインを飲む星飛雄馬”の 時代??
近年、スポーツの世界では“根性”指導は終焉を迎え、代わりに“科学的トレーニング”が台頭するようになった。これをスポ根アニメ『巨人の星』で例えると、“大リーガー養成ギブスをやめた星飛雄馬が、筋トレ後にプロテインを飲む”といったイメージだ(注:『巨人の星』にプロテインを飲むシーンなどない。あくまでも例え話だ)。まあ、強引な例だが、歴史の浅いエレクトリック・ギターも、そろそろ科学のメスが入ってもおかしくない時代ではある。と言っても、誤解をしないでほしい。本書は“ひたすら弾くだけ!”を提唱した教則本である。紹介している題材は著者が“超絶=スリル”を解析し出来上がったものだが、それを“ひたすら”弾いてもらうのに適した形にエディットしてある。

◎“義理人情”と“光速弾き”出会うはずのない2つが起こした奇跡
さて、超絶と言えば速弾きを連想するだろう。本書では『速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』を超える速弾きが収録されている。理由は、著者は読者の声を大事にする義理堅い人間だからだ。本書には、『速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』の読者の「もっと速く弾けるようになりたい」というリクエストが反映されている(つまり『速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』の続編としての側面も持っている)。テンポ200を軽く超える超光速ピッキング、4ノート・パー・ストリングスで弾く最先端レガート奏法を始めとした、人間の限界に挑んだかの如く繰り広げられる超絶プレイ。そして、そのコツを“ひたすら弾くだけ”で身につくように掲載。「“義理人情”と“光速弾き”……出会うはずのない2つが出会ってしまったために起きた奇跡」をお楽しみあれ。

◎悪魔の誘惑か?神の福音か??初級者から上級者までが“超絶”を堪能できる驚愕の書
ボケだけの漫才、驚かすシーンだけのホラー映画、速く走るだけのジェットコースター……何を言わんとしているのか想像がついたかもしれないが、終始、速弾きに徹するソロほどつまらないものはない。超絶プレイの要素のひとつに速弾きがあるのは確か。だが、超絶プレイには速弾き以外の要素が必要不可欠となる。実際、テクニカル・ギタリストと称される人たちは、速弾き以外のプレイも魅力的だ。それが、“速さに依存しないフレージング・センス”である。具体的に言うと、異弦同音、音跳び、インパクトのあるスケールなどを用いた刺激的なフレーズだ。本書ではそこにも焦点を当てているのが大きな特徴だ。音楽理論的に難解なアプローチも含んでいるが、それを“ひたすら弾くだけ!”のシンプルな形にまとめている。なお、“速さに依存しないフレーズ”は初心者でも弾けるのも魅力。また、上級者がこれを身につければ、緩急を自在にコントロールできる無敵のギタリストへと進化するだろう。このように本書は、初級者から上級者までが“超絶”を堪能できる驚愕の書なのである。

◎スケールの大きな人間へといざなう“ハーモニック・メジャー・スケール”
スティーヴ・ヴァイ、イングヴェイ・マルムスティーンなど、シーンを席巻してきた超絶ギタリストたちは、目新しいスケールを世に知らしめる役割をも担ってきた。そのような背景により、本書には刺激的なスケールが多数登場する(もちろん基本スケールもレクチャー)。その中でも、“ハーモニック・メジャー・スケール”に着目してほしい(ハーモニック・マイナーではないぞ!)。このスケールをトレードマークにしているギタリストは今のところいない。やはり、他人のやっていないことを行なってこそ“スケールの大きな人間”と言える。他人のやっていないことをが大好きな“スケールの大きな人間”は、“ハーモニック・メジャー・スケール”をチェックすべし!

◎神秘の力を宿すための呪文=“ひたすら弾くだけ!”

一番最初に述べたように、一見、音楽と科学的は水と油のようだが、実は密接な関係にある。そもそも、音はエネルギーであり、波動である。さらに、人間の耳は音を対数的に演算処理している。しかし、音楽には科学では説明できない神秘の力があるのだ。その力を利用し、時として音楽は、神と関わり合うためにも使われてきた。そして、音楽の持つ神秘の力は現在も失われていない。本書のテーマは“超絶”である。だが、面白いことに、それを論理的に理解できなくても“超絶”を奏でることは可能だ。世に名を馳せた天才ミュージシャンの中には、論理性より感覚を優先し、“ひたすら弾くだけ”のタイプの者も多い。これこそが音楽の持つ神秘の力ではないだろうか。本書でも、本来、高度な理論を必要とするフレージングがあるが、それも“ひたすら弾くだけ”の形で紹介している。また、本書はフォームの言及をあまりしていないが、合理的でないフォームで“ひたすら”弾いていると弾くと疲れてしまうだろう。さらに、極限的なストレッチの場合、合理的でないフォームでは押弦すらままならない。つまり、“ひたすら弾くだけ”で合理的なフォームを身につけることも可能。このように“ひたすら弾くだけ”は、さまざまな面で神秘の力を発揮する。楽器演奏者にとって“ひたすら弾くだけ”は、10倍界王拳に匹敵する奥義とも言えよう。(担当/出版2部・プーさんの赤シャツ)