内容
知らなかったビートルズが、ここに。
ビートルズの名曲を徹底分析し、今まで知られていなかった革新的な作曲法を明らかに! キーボード・マガジン主催で行われたUstream配信の公開セミナーが1冊の本となって登場。数多くある名曲の中から、その作曲法の特徴が盛りだくさんの5曲ピックアップ、メロディ/コード進行/アレンジ/構成という視点から、深く切り込んでいきます。"メロディそのもの"を解剖したり、歌詞との密接な関係に言及するなど、これまでの類書にない分析の仕方で、今まで知られていなかった作曲の秘密を解明します。音楽理論に詳しくない人でも、ビートルズの楽曲を思い浮かべながら読めば、その裏に隠された"ロジック"にたどり着くことができるでしょう。ビートルズの優れた作曲法に知ることは、必ずや自身の作曲/アレンジ力アップにつながるはずです!
【CONTENTS】
■第1章:ヘイ・ジュード
◎1.構成の技法:多面的な楽曲構成が強い説得力と大きな高揚をもたらす
◎2.メロディの技法:ペンタトニックと長旋法 複数の旋法を自由に行き来
◎3.メロディの技法:"しりとり"と"あたまとり"でスムーズにつながるメロディ
◎4.構成の技法:強い開始とあいまいな終止
◎5.コード進行の技法:シンプルなコード進行で複雑なサウンドを実現
◎6.アレンジの技法:歌を引き立てる低音域中心のピアノ 言葉を浮かび上がらせる字ハモ
◎7.アレンジの技法:ゴスペルを思わせるアレンジが慰めを祈りへと昇華する
■第2章:ストロベリー・フィールズ・フォーエバー
◎1.構成の技法:セクションそれぞれに印象的な導入部分を配置する
◎2.メロディの技法:下行するフレージングによるリラックスした感覚
◎3.構成の技法:歌詞とメロディの繰り返しが重層的な意味を作る
◎4.メロディの技法:ブルーノートの多重使用によりどこまでも落ちていく
◎5.メロディの技法:逆ブルーノートによりあっけらかんとした非現実感を表出
◎6.コード進行の技法:ブルーノート・コードによりオーソドックスな機能和声の外へ
◎7.コード進行の技法:イレギュラーなコードと滑らかで穏やかな進行の併存
◎8.メロディの技法:自由な拍子と音符の長さ ジョン独特の伸び縮みする時間
◎9.アレンジの技法:バンド演奏にさまざまな楽器が加わったカラフルなサウンド
◎10.アレンジの技法:現実感の喪失が彼方へといざなう
■第3章:イエスタデイ
◎1.構成の技法:繰り返されるAセクションが深い感慨を呼び起こす
◎2.コード進行の技法:倚音を利用して複雑なサウンドを実現
◎3.メロディの技法:同じ音形(モチーフ)を活用して有機的に楽曲を構成する
◎4.メロディの技法:上行と下行、順次進行と跳躍進行 性格の対照による構築的なメロディ
◎5.コード進行の技法:柔らかなアーメン終止とブルーノート・コードの併用
◎6.コード進行の技法:長調と短調の間を揺れ動く調性
◎7.アレンジの技法:ポピュラー音楽の文脈と異なるストリングス・アレンジ
◎8.アレンジの技法:クラシカルな弦楽四重奏でビートルズ的フレーズを演奏する
■第4章:ヘルプ
◎1.構成の技法:初期ビートルズらしいオーソドックスな構成
◎2.アレンジの技法:メンバーを次々にフォーカスしバンドの存在感をアピール
◎3.メロディの技法:3人のボーカリストを活かした多彩なコーラス・ワーク
◎4.アレンジの技法:今も新鮮さを失わない絶妙のテンポ感とグルーブ
◎5.メロディの技法:同音を繰り返すひたむきで切実なメロディ
◎6.コード進行の技法:ブルーノート・コードと下行音階進行 シンプルだがすでにビートリー
◎7.メロディの技法:コード外音など複数の技法がバンド・サウンドと密接に結び付く
■第5章:ヒア・カムズ・ザ・サン
◎1.構成の技法:奇数小節や変拍子を含む自由かつ高度に完成された構成
◎2.メロディの技法:ウラ拍の多用と弱拍からの開始 ジョージ独特の優しいメロディ
◎3.構成の技法:ギターならではのフレーズと一体になった構成
◎4.コード進行の技法:ビートルズで多用される低音の下行音階進行
◎5.コード進行の技法:ベースに同じ音を保持することでスケールの大きなサウンドに
◎6.アレンジの技法:当時最新鋭のシンセサイザーから最良のサウンドを引き出す
◎7.構成の技法:ギターのアルペジオを発展させてクライマックスを演出する
編集担当より一言
きっかけは、打ち合わせ後のおしゃべりでした。本書著者の高山博さんには、キーボード・マガジンでの原稿執筆もよくお願いしています。特集の原稿を書いていただくときなどは、実際にお会いして打ち合わせをさせてもらうのですが、いろいろな分野で知識が豊富な高山さんは、打ち合わせ後にいつも興味深いお話をたくさん聞かせてくれるのです。
その中の1つに、“ビートルズの曲ってね、しりとりになってるんだよ”というものがありました。それがどんな内容かはぜひ書籍を手に取って(できれば購入して/笑)確認していただきたいのですが、そういった会話が発端となり、ビートルズの有名曲を題材に公開セミナーを行うことになりました。そして熱心な参加者の皆さんと、Ustreamを視聴していただいた方々からの反応の後押しがあり、そのセミナーは『ビートルズの作曲法』という1冊の書籍としてまとまり完成するに至ったのです。
そう考えると最初のおしゃべりから足かけ2年近く経っていますが、ビートルズ・デビュー50周年の年に、本書を出せたことはとても感慨深いです。(キーボード・マガジン編集長:山本奈緒)