内容
木工、フレット打ち、塗装、配線まで
エレキ・ギターの作り方が丸ごとわかる!
"いつか自分の手でギターを作ってみたい"......長年ギターに触れてきた人なら、きっとこの思いに共感してくれることでしょう。有名なブライアン・メイの"レッド・スペシャル"やエディ・ヴァン・ヘイレンの"フランケンシュタイン"といった自作ギターも、そのような思いから誕生したに違いありません。
正直、ギター製作には必要不可欠な工具がたくさんありますし、決して一筋縄ではいきませんが、大型ホームセンターやインターネット通販が充実している今の時代なら、根気と時間さえあれば、"自力"でエレキを作ることは決して夢ではないのです。
本書では、大きな専用工具を用意できないギター作り素人が、自宅のベランダでオリジナル・ギターを作るために編み出した創意工夫や苦肉の策を多数紹介。たとえ、実際に作業しなくても、設計意図や製造工程を理解することで、普段何気なく弾いているギターへの愛着もより深まることでしょう。
各章に登場するギターの設計図は、こちらからダウンロードして下さい。以下のPDFデータは、すべて100%サイズで使用することができます。
◎P25-LapSteelGuitar設計図(STEP1)
◎P25-LapSteelGuitar指板(STEP1)
◎P25-LapSteelGuitarキャビティ(STEP1)
◎P85-CigarBoxGuitar設計図(STEP3)
◎P125-CigarBoxGuitar指板(STEP3)
◎P125-OriginalElectricGuitar設計図(STEP4)
【CONTENTS】
■STEP0 ギター作りの下準備
エレキ・ギターの構造とパーツ
ギター作りに必要な工具を揃えよう
ギター工具&パーツを取り扱うショップ・ガイド
フレット計算の方法
設計図を描く手順
■STEP1 ホームセンターの角材がラップ・スティールに変身!?
目標:電気工具を使った木工作業をマスターする。
ラップ・スティール・ギターの設計案(設計図付き)
自作ラップ・スティールの材料
ラップ・スティールの作り方〜完全版
1 設計図を切って木材にトレース
2 クランプで固定してボディ外周を切り出す
3 キャビティ用のテンプレートを作る
4 ヘッドのスロット、ピックアップ・キャビティをザグる
5 ヘッド角の成形
6 ペグの取り付け
7 ブリッジとナットの取り付け
8 コントロール・プレートを作ろ
9 ピックアップ&コントロールの取り付け(実体配線図付き)
10 塗装前にサンディングで下地を作る
11 指板とフレットの位置を決める
12 オイルステイン塗装でアンティーク家具調に
13 ナット幅と指板デザインの変更、そして完成へ
■STEP2 ネットオークションで落札したジャンク品を再生
目標:ラッカー塗装をマスターする。
ジャンク・ギターの再設計案
再生ジャンク・ギターの材料
ジャンク・ギターが再生されるまで〜完全版
1 ボディの塗装を剥がしてみる
2 ネックの下処理
3 ボディとネックを仮ジョイントする
4 ボルトオンの生命線!ブリッジの位置決めと装着
5 ピックアップの仮組
6 ギターのデザインを決定づけるオリジナル・ピックガード
7 塗装前の生地作り
8 たかがマスキング、されどマスキング
9 塗装1 (木部プライマーで下地作り)
10 塗装2(着色、クリアラッカーの噴射)
11 バフがけ 〜車用コンパウンドで鏡面仕上げに
12 バック面のコントロール・プレートを作る
13 パーツを組み込んで完成(実体配線図付き)
■STEP3 物置で見つけた木箱がシガーボックス風ミニ・ギターに
目標:フレット打ちをマスターする。
シガーボックス風ミニ・ギターの設計案(設計図付き)
シガーボックス風ミニ・ギターの材料
シガーボックス風ギターの作り方〜完全版
1 最重要パーツ、スルーネック材を切り出す
2 ボディの基礎工事
3 指板の下地作りとナットの仮着
4 フレットの溝切り
5 ポジションマークの穴開け
6 スルーネックを木箱ボディに装着
7 指板とポジションマークの接着
8 ナット作りとフレットの打ち込み
9 ブリッジの装着
10 ボディの穴開け作業
11 ピックアップの装着
12 ネックシェイプの成形
13 ヘッド成形とペグの穴開け
14 パーツの仮組(実体配線図付き)
15 サンディング
16 ペンキ缶で派手に塗装
17 パーツの組み上げ、完成へ
■STEP4 "本気"で作る世界に1本のシグネチャー・モデル
目標:
・トラスロッドを自力で仕込む。
・セットネックに挑戦する。
・ギター作りの全工程を学ぶ。
"本気"で作るシグネチャー・モデルの設計案(設計図付き)
"本気"で作るシグネチャー・モデルの材料
世界に1本だけのシグネチャー・モデルができるまで〜完全版
1 ボディ材の外周をラフカット
2 ネック材の粗加工
3 ローズウッド指板の加工とフレットの溝切り
4 トラスロッドの溝掘り
5 ヘッドの落とし込み加工
6 トラスロッドの接着
7 ポジションマークの穴開け
8 指板とネックを合体
9 コントロール・キャビティを掘る
10 ピックアップ・キャビティを掘る(その1)
11 コード溝を掘る
12 コンター&エルボーカットの加工
13 ネックの厚みと幅を整える
14 難関!ネックポケットの加工
15 ポジションマークの取り付け
16 ネック仕込み角の調整
17 ネックシェイプの成形
18 運命のセットネック・ジョイント
19 ピックアップ・キャビティを掘る(その2)
20 ネックヒールの加工
21 ネックシェイプの最終調整
22 オリジナル・ピックガードの切り出し
23 指板のアール出し
24 フレット打ちでトラブル発生!
25 フレットのすり合わせ
26 塗装前のサンディング
27 サンバースト・カラーに着色
28 ツヤ消しラッカー塗装
29 ペグの取り付け
30 テイルピースの取り付け
31 ブリッジの取り付け
32 アース線を確保せよ!
33 導電塗料でノイズ対策
34 ピックアップの搭載と取り付け位置の微調整
35 ピックガードの仕上げと取り付け
36 コントロールの配線(実体配線図付き)
37 最終調整 〜世界に1本のオリジナル・モデルが完成!
■Column
・筆者のギター製作環境
・エディ・ヴァン・ヘイレンの "フランケンシュタイン"とブライアン・メイの"レッド・スペシャル"
・フィルム・コンデンサも自作してみた
・ピックアップも自作してみた
編集担当より一言
2017年3月に発売した『フェンダー解体新書』で20種類以上のギターを文字通り解体したのですが、ネジ1本までバラバラになったあの姿を見て、こう思い立ったのです。“あれ? ギターの構造ってけっこう単純かも。もしかしたら、頑張れば自分の手でも作れちゃう?”と。思えば、多重録音を発明したレス・ポールさんの自作ギターが、その後のギブソン・レス・ポールになったわけですし、ブライアン・メイの“レッド・スペシャル”や、エディ・ヴァン・ヘイレンの“フランケンシュタイン”も、ギタリストが“自分の手”で作った世界に1本だけのギターなのです。
そんなこんなで憧れだけを胸に企画した本書ですが、やはり1本のギターを作るのは決して一筋縄ではいかず、失敗の連続でした(著者のエンドウ. さん、すいませんでした)。しかし、その1本が遂に完成した時の喜びと達成感は尋常じゃなく、普段自分たちが弾くエレキ・ギターがどれだけの工程と時間をかけて作られていたのかを知り、今まで以上にエレキ・ギターという楽器を好きになってしまったわけです。
全192頁、総写真点数2,000枚(推定)、総製作時間100時間以上(塗装乾燥込み)で、何の変哲もない木材が1本のエレキ・ギターに生まれ変わるまでの過程を完全実況中継しています。ギター好きの皆さん、ようやく手作りギターの時代がやってきましたよ。目指せブライアン・メイ!(ギター・マガジン書籍編集部:坂口和樹)