内容
「プレイバックPart2」、「木綿のハンカチーフ」、「少女A」……
名編曲家・萩田光雄がつづるヒットの秘密。
編曲家、それは楽曲の伴奏を作る人のことである。インパクトのあるイントロをひねりだし、曲に合った伴奏をつける。ヒットするかどうかはその出来にかかっていると言っても過言ではない。時は70〜80年代の歌謡曲黄金時代、何人もの編曲家がしのぎを削った。その中でも、ひときわ抜きん出た存在が萩田光雄である。総編曲数4,000以上。「プレイバックPart2」「ロックンロール・ウィドウ」(山口百恵)、「木綿のハンカチーフ」「赤いハイヒール」(太田裕美)、「少女A」(中森明菜)、「異邦人」(久保田早紀)、「待つわ」(あみん)、「シクラメンのかほり」(布施明)などの大ヒット曲のアレンジはどのようにして生まれ、時代にどのような影響を与えたか。本人の証言、関係者のインタビューなどで、そのアレンジの手法と魅力を明らかにしていく。昭和〜平成の歌謡曲の現場のうねりが体感できるエキサイティングな書。
【目次】
◎萩田光雄半生記
◎アレンジャー鼎談
萩田光雄×川口真×船山基紀
◎インタビュー
太田裕美
川瀬泰雄
クリス松村
小池秀彦
佐藤剛
◎論考
萩田アレンジの音楽的特徴と歌謡界への貢献
◎萩田光雄編曲作品リスト
編集担当より一言
1970年代から80年代いっぱいまで……昭和で言えば45年頃から平成になんなんとする頃まで、世はまさに歌謡曲の黄金時代でした。そんな古き良き時代、歌謡曲は主に職業作家によって作られていました。作詞家が歌詞を書き、作曲家が曲を作り、編曲家がアレンジして歌手が歌う。それが基本のシステムでした。
それでは編曲家とは何をする人なのでしょうか。一言で言えば伴奏を書く人です。なかったイントロをひねり出し、曲を引き立てる絶妙な伴奏を創造するのが編曲家の仕事です。萩田光雄は、4000を超える楽曲をアレンジし、長年にわたって多くのヒットを生み出してきました。山口百恵、太田裕美、久保田早紀、中森明菜、南野陽子、郷ひろみ、布施明などなど、手がけた歌手は枚挙にいとまがありません。多くの日本人が萩田のアレンジに触れ、カラオケで歌ったことでしょう。萩田アレンジは日本人の体に染みついていると言っても過言ではありません。この稀代の編曲家の魅力を本書を読むことで再認識していただければ、編集担当として望外の喜びです。(野口広之)