中牟礼貞則

孤高のジャズ・インプロヴァイザーの長き旅路

久保木 靖(編著)

定価3,520円 (本体3,200円+税10%)
発売日2021.06.25
品種書籍
仕様A5判 / 224ページ / CD付き
ISBN9784845636303

内容

「日本のジャズ」を体現するギタリストの88年の歩み
ジャズ史に衝撃を与える歴史的な発掘音源CDが付属!

プロ活動70周年を迎える日本ジャズ界の重鎮、中牟礼貞則。戦後間もなくからモダン・ジャズに取り組み、1958年にはスイング・ジャーナル批評家選出のオールスターに選抜。1963年には伝説の"銀巴里セッション"にも登場。1960年代後半には渡辺貞夫らと日本にボサ・ノヴァのムーヴメントを巻き起こし、88歳を迎えた2021年現在も精力的にライヴ活動を行なっている。

本書は、計30時間を超える中牟礼へのインタビューを中心に、中牟礼貞則の88年の歩みを描き出す書籍。渡辺貞夫、稲葉國光、渡辺香津美、後藤芳子といった国内外で活躍するレジェンドたちの証言も盛り込み、中牟礼の活動を多面的に掘り下げていく。

さらに、このたび発掘された1956年&1997年録音の、完全未発表音源を収録したCDも付属。1956年の録音は、"銀巴里セッション"以前に日本に存在した先進的なジャズを伝える大変貴重なもの。1997年の録音は、2020年に逝去したリー・コニッツとのデュオ演奏で、両者の息吹を間近に感じることができる。本書のための録り下ろしとなる、ソロ・ギター演奏2曲も収録。

<コンテンツ>
◎中牟礼貞則〜略歴〜
◎こだわり抜いた愛器たち
◎本編
●[第1章]鹿児島でキャッチしたジャズの魅力
●[第2章]キャバレーや米軍キャンプでの奮闘
●[第3章]徳山陽との出会い、そして音楽的な飛躍
●[第4章]高柳昌行との切磋琢磨と銀巴里セッション
●[第5章]渡辺貞夫の帰国とボサ・ノヴァ旋風
●[第6章]リーダー活動の充実/ハーモニーの深化(1970年代)
●[第7章]スタジオ仕事やジャズ系セッションへの取り組み
●[第8章]近年のリーダー活動(1990年代〜2020年代)
●[第9章]インプロヴィゼーションの核心。さらにその先へ

◎共演者・関係者からのコメント
◎ディスコグラフィ
●主要作品/客演作品

◎CD収録曲
1.Feather Bed(Live at Club Fantasia 1956)
2. Kary's Trance(Live at Club Fantasia 1956)
3. All Of Me(Live at Club Fantasia 1956)
4. Froggy Day(Live at Club Fantasia 1956)
5. Stella By Starlight(Duo with Lee Konitz 1997)
6. These Foolish Things(Duo with Lee Konitz 1997)
7. All The Things You Are(Duo with Lee Konitz 1997)
8. Body And Soul(Duo with Lee Konitz 1997)
9. Close Enough For Love(Solo Guitar 2020)
10. Never Let Me Go(Solo Guitar 2020)

編集担当より一言

「今はジャンルを越えて演奏できることが良いとされているけど、僕は音楽として素晴らしければジャンルなんて関係ないとは思っていなくて、ジャズ・ギタリストとして向上していくことしか興味が向いていないんです。」
……中牟礼さんが取材の休憩時間でポロっと口にした言葉です。日本でのボサ・ノヴァ・ブームを牽引したギタリストとして知られ、ロックやポップスのスタジオ仕事も多数こなしてきた中牟礼さんが、こんなことを言うのは意外に思う方が多いのではないでしょうか。本書を読むと、少年時代の中牟礼さんは音楽全般に惹かれたのではなく、ジャズに、特にジャズ・ギターに強く惹かれて音楽の道を志したことがわかります。根っからのジャズ・ギタリストというわけです。
そんなエピソードが満載のインタビューはもちろん、キャリア七十年の間に録音された膨大な作品を集めたディスコグラフィなど、中牟礼さんの記録を可能な限り追いかけた、編著者・久保木靖氏の熱意が詰まった一冊となりました。取材現場には、中牟礼さん本人すらリリースされていることを知らなかった珍盤、ピーター・シムカスという変名での企画盤レコードも持ち込まれ、中牟礼さんが驚愕する一幕も……。
(編集担当/橋本修一)