内容
クイーンズ大学におけるジャズ・ハーモニー講義1年分の履修カリキュラムをこの1冊に再構築
『ザ・ジャズ・ハーモニー・ブック』は、"単旋律にコードをつける"という観点からジャズ・ハーモニゼーションのテクニックを紹介していく中上級者向けの教則本です。著者であるデビッド・バークマン氏はニューヨークのクイーンズ・カレッジで教授を務めるピアノ奏者で、バークリー⾳楽⼤学、ミシガン⼤学卒という経歴の持ち主。その彼が実際に大学での講義に使用している履修カリキュラムをもとにして書かれた本書は、掲載譜例のほとんどがダウンロード対応のオーディオ・ファイル(MP3)と連動しており、その内容の素晴らしさは、原著である『The Jazz Harmony Book』の評価の高さで立証済みと言っても過言ではありません。また、翻訳は雲井雅人サックス四重奏団のアルト・サクソフォン奏者で、桜美林⼤学などでも教鞭を執る佐藤渉氏(シンシナティ⾳楽院にて学⼠号、ノースウエスタン⼤学⼤学院にて修⼠号を取得)。まさに、現役のジャズ・プレイヤー兼教育者である2人から生み出された、正統的なジャズ・ハーモニゼーションの実践的な理論解説書と言えるでしょう。
コンテンツ
Part 1 - 調性ハーモニーとその広がり︓Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ7コード/Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ7に対応する代理コード/セカンダリー・ドミナントと付随するⅱコード/ジャズ・ケーデンスとターンアラウンド/パッシング・コード/モーダル・インターチェンジ・コード/トライトーン・サブスティテューション/マイナー・キーにおけるハーモニー/6th/dim7thペアによる別視点からのアプローチ/深層構造、正しいコード進⾏とリハーモニゼーション
PART 2 - 調性的ハーモニーの先へ︓⾮調性ハーモニーのルール︓機能和声外コードの11の用法/同じルート、異なるコード・クオリティ/スラッシュ・コード/ベース・ラインによるハーモニゼーション/4度堆積/ジャイアント・ステップス/カラー・コード/正確なトランスポジション(プレーニング)/ペダル/コードを取り除く/"利⽤できない"テンション/不完全なコード/まとめ
Appendix A 作曲家のためのヒント/Appendix B ピアノの基本
付録ダウンロード
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そこにリストアップされているタイトルの中から「Jazz Harmony Book」を選択の上、ご利用ください。
編集担当より一言
翻訳者の佐藤さんからこの企画を持ち込まれたときにまず興味を持ったのが、アメリカの大学ではどんなふうにジャズ・ハーモニー理論を教えているのだろうという点でした。さっそく目を通してみると、解説の進め方にお国柄が出るというのか、ちょっとこれまで編集してきた日本の理論書とは違って、テンポが良いというか、進み方が力強く、グイグイ引き込まれていきました。もちろん理論の体系自体は世界共通ですが、こういう感じで説明されると、従来の理論書とはひと味違った理解のプロセスとなり、思っていた以上にすんなり頭に入ってきます。また借用による著者オリジナルのハーモニー理論にも1章が割かれており、この部分には目からウロコ的な面白さもありました。音楽大学のカリキュラムに則った内容ですので、“音階って何?”とか“音程ってどういうこと?”といったレベルの初心者には難しいと思いますが、メロディに対するハーモニゼーション、リハーモニゼーションをしっかり学びたいという中上級者にとっては、またとない良著だと思います。本国での評価の高さも納得です。
(編集担当/内山秀央)