内容
大滝詠一のエンジニア/サウンド・メイカーとしての側面を
時系列で追うプロダクション・レポート【1979-1982】
◎大滝をタイム・ラインで追うことで、点と点が線になる制作ヒストリー
希代の名ボーカリストであると同時に、多くのヒット曲を世に送り出したソングライター、大滝詠一。彼が<笛吹銅次>というレコーディング・エンジニア・ネーム、<多羅尾伴内>というアレンジャー・ネームを使い分け、音創りに対して並々ならぬこだわりを見せていたことは、ファンの間では広く知られているところだ。本書は、そんなサウンド・メイカーとしての足跡をダイアリー形式で追った記録である。
本書で焦点を当てるのは1979年~1982年までの4年間。その間に生まれた名作『A LONG VACATION』をはじめとする大滝作品を対象に、本人への詳細インタビューはもちろん、レコーディングを共にした名エンジニア=吉田保ら重要人物の証言を通して〈ナイアガラ・サウンド〉の謎に迫る。
【証言者】 吉田保、伊東俊郎、鈴木慶一、片寄明人、湯浅学、関口直人(ON・アソシエイツ)、斉藤文昭
◎主要楽曲のトラック・シート図を基にした、新感覚の大滝サウンド分析
『A LONG VACATION』『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』『NIAGARA SONG BOOK』といった、この期間に大滝が作り上げた作品の中から、数多くのトラック・シート図を掲載。どのトラックにどの楽器パートが録音されていったのか、コアなファンのみならず、当時のレコーディングに興味のある世代にも貴重な資料となるはず。またCM曲や他アーティストのプロデュース曲のトラック・シートも豊富に用意し、大滝ならではの録音マジックを分析していく。
また、本文の技術解説を補うため、当時のテープ・レコーディングなど基礎的な知識をまとめた「レコーディング用語解説」ページも収録。【ピンポン】【パンチ・イン/アウト】【作先】【リズム録り】【ハーモナイザー】など、本文で頻出する専門用語をカバーする。
◎当時のレコーディングの様子がうかがえるスナップ写真も豊富
<ナイアガラ・サウンド>と言われる、多数のミュージシャンを広大なスタジオに配置し、タクトを振るった大滝。ミュージシャンとのやり取りや、楽器に対するマイクの立て方など、当時の雰囲気がうかがえる写真も収録。
大ボリュームの392ページ仕様で、2022年3月21日にリリースされる『NIAGARA TRIANGLE Vol.2 40th Anniversary Edition』とともに、大滝サウンドの魅力にどっぷり漬かっていただきたい。
※本書のシリーズはこの「~Vol.2」のみとなります。(2022年2月時点)
【CONTENTS】
・Introduction 大滝詠一のエンジニア前夜
・1979年編
・1980年編
・1981年編
・1982年編
・トラック・シート&レコーディング・スナップ
・コラム① 大滝詠一が語る『ロンバケ』のころ
・コラム② 吉田保、『ロンバケ』セッションを語る
・コラム③ 伊東俊郎、『ロンバケ』セッションを語る
・コラム④ 2011年、『ロンバケ』のマスターを語る大滝とその後
・コラム⑤ 斉藤文昭が語るCBS・ソニー六本木スタジオ
・レコーディング用語解説
・曲名逆引きindex
編集担当より一言
構想10年、大滝詠一さんのサウンドについて長年研究を重ねてきたライター堀内久彦さんによる書籍がとうとう完成しました。大滝さんが日本の音楽シーンにもたらした功績を伝える素晴らしい文献は既に存在していますが、ズバリ本書は大滝さんのレコーディング面だけにフォーカス。音作りの細部に込められた意図について、生前の大滝さんや関係者の貴重なコメントをお楽しみください。
ところで、本書シリーズは“Vol.1”は存在せず、大滝さんの1979~1982年までを記録したこの“Vol.2”のみとなります。1978年以前と言えば、はっぴいえんど後、大滝さんが“福生45スタジオ”で自らレコーディングしていた時期ですね。果たして本シリーズはVol.2以外も出版していけるのか!?……そんなオトナの事情も踏まえ、本書をぜひともよろしくお願いします!
(編集担当/篠崎賢太郎)