内容
ジャズでは伴奏もアドリブ! 歴史的名演からコンピング・メソッドを学ぶ究極の練習法
ジャズのセッションなどに参加すると、自分のソロが回ってくる順番などが気になってしまい、圧倒的に時間が長いはずの伴奏(コンピング)への意識が薄くなってしまうことが多いのではないでしょうか。しかし、ほかのソロイストを引き立てるのは、あなたのコンピングの良し悪しなのです。良いコンピングがソロイストのアドリブを後押しし、セッションの質も上がっていきます。それにも関わらず、ジャズではコンピングも完全にアドリブで行われるためか、実践的なコンピングの手法について書かれた教則本は多くありません。本書では名演を徹底的にリスニングすることで、実際に使われた手法を探っていくという方法を採っています。名手たちはどんなタイミングで、どんな音色で弾いているのか、それはコードに対してどんな音なのか、何を狙っているのか......名演から可能な限りの情報を読み取り、方法論に落とし込みました。ジム・ホールやバーニー・ケッセルといった往年のレジェンドはもちろん、マイク・モレノやピーター・バーンスタインといった現代のジャズを代表するギタリストの伴奏も取り上げているので、この一冊で幅広いスタイルのジャズをカバーすることができます。本書の特徴はそれにとどまりません。ジャズは理論だけで学ぶことはできないと言われますが、「実際の演奏から学ぶ」とはどのようなことなのか? 本書ではそれを知ることができます。本書を実践することで、ジャズという文化の根幹に触れることができるでしょう。
Chapter 1バーニー・ケッセルの「Honeysuckle Rose」
参考音源とスコアのアナライズ
Method❶バーニー・ケッセルに学ぶ"1、2拍目のコンピング・リズム"
Method❷バーニー・ケッセルに学ぶ"3、4拍目のコンピング・リズム"
Method❸バーニー・ケッセルに学ぶ"2小節のリズムとペダル・ポイント"
Chapter 2エド・ビッカートの「I'm Old Fashioned」
参考音源とスコアのアナライズ
Method❶エド・ビッカートに学ぶ"ルートレス・コード"
Method❷エド・ビッカートに学ぶ"ソリストのスペースへの反応"‥
Method❸エド・ビッカートに学ぶ"ツー・ファイヴのコード・ワーク"
Method❹エド・ビッカートに学ぶ"クラスター・ヴォイシング"
Chapter 3ジャック・ウィルキンスの「Smoke Gets In Your Eyes」
参考音源とスコアのアナライズ
Method❶ジャック・ウィルキンスに学ぶ"4度堆積和音"
Method❷ジャック・ウィルキンスに学ぶ"ペダル・ポイント上のコード・ワーク"
Method❸ジャック・ウィルキンスに学ぶ"アプローチ・コード"
Chapter 4ジム・ホールの「All The Things You Are」
参考音源とスコアのアナライズ
Method❶ジム・ホールに学ぶ"ハーモナイズド・ベース・ライン(刻み編)"
Method❷ジム・ホールに学ぶ"ハーモナイズド・ベース・ライン(コード・ワーク編)"
Method❸ジム・ホールに学ぶ"拡張ルートレス・コード"
Chapter 5マイク・モレノの「I Remember You」
参考音源とスコアのアナライズ
Method❶マイク・モレノに学ぶ"デュオ演奏のコンピング・リズム"
Method❷マイク・モレノに学ぶ"もう1つのハーモナイズド・ベース・ライン"
Method❸マイク・モレノに学ぶ"susコードと分数コード"
Chapter 6ピーター・バーンスタインの「Someday My Prince Will Come」
参考音源とスコアのアナライズ
Method❶ピーター・バーンスタインに学ぶ"3拍子のコンピング・リズム"
Method❷ピーター・バーンスタインに学ぶ"音域を移動するコード・ワーク"
Method❸ピーター・バーンスタインに学ぶ"2ノート・コンピング"
巻末付録 プレイヤー目線でのリスニング・ガイド
Part 1 パット・メセニーに学ぶ"ソリストの魅力を引き立てるコンピング"
Part 2 ジョー・パスに学ぶ"ピアニストとの共存"
Column
■ジャズ・ギタリスト御用達の極上オープン・コード
■とりあえず4つ刻みしていませんか?
■上手くいかない時期を乗り越える方法
■コード進行をロストするのが怖いです。
■コード進行が覚えられません。
付録ダウンロード
本書に対応したデータはこちらからダウンロードできます。
編集担当より一言
“ちょっとかじってみたい”というレベルを超えて、本気でジャズ・ギターに取り組みたい人に向けた教則本です。脱初心者を目指してジャズの耳コピにチャレンジしたことがある方は知っていると思いますが、シングルノートのラインを耳コピするのも大変だけど、コードを聴き取るのはさらに難しい! スロー再生しても、まったく聴き取れないこともあるほどです。そこで本書のように、プロが採譜、解説を行なった教則本の出番です。本書に掲載されている楽譜を眺めながらCDを聴けば聴き取れるのは当然ですが、そこから抽出されたメソッドを練習したあとに別の演奏を聴いてみると、あら不思議。なんと少しだけ聴き取れるようになっているのです! ジャズには、一朝一夕で急に上達する練習法はありません。しかし、方向性を示してくれるメソッドは必要です。本書をもとに、数年間かけるつもりで練習に取り組めば、必ずやコンピングが上達し、引いてはジャズ全般の理解を深めることになるでしょう!
(編集担当/橋本修一)