内容
マネジメント会社としてキャリアをスタートしながらも、「山口ゼミ」で100名以上の作曲家や音楽プロデューサーを輩出し、2021年には卒業生がレコード大賞受賞曲Da-iCE「CITRUS」を作曲するなど多くの後進を育成、音楽ビジネスについて知り尽くしている山口哲一氏。そんな氏が、AI時代、Web3.0時代に音楽で自己実現していくためのサバイバル戦略とはいかなるものなのかを提言します。
AIによるさまざまな生成物が話題となり、人間によるクリエイティブを脅かす未来が盛んに喧伝される今、あえて逆張りで職業作曲家の進む道を指し示し、豊富な具体例や実践例を踏まえ、これからのクリエイティブについて考えていきます。特にChapter3「AIとの付き合い方」ではサウンドプロデューサーの浅田祐介氏をナビゲーターに迎え、歌声合成ソフトを始めとしたさまざまなソフトを実際に試してみました。AIを使った創作は、もう始まっているのです。
職業作曲家やクリエイターの未来は明るいのか。人間にやることは残されていないのか。そんな疑問は、テクノロジーが劇的に進化する際にはいつも問われてきたクリシェなのかもしれません。では、どうすれば良いのか。ぜひ本書を参考に考えていただけたら幸いです。
CONTENTS
はじめに これからの音楽家に必要な2つのこと
Chapter1 職業作曲家3.0とは?
1-1 職業作曲家1.0までの時代〜コンペに疲弊する孤独な戦い
1-2 職業作曲家2.0となった今〜コーライトの普及で作曲家側に比重が移る
1-3 職業作曲家3.0が生まれる必然性〜不可逆的な変化に乗り遅れるな!
Chapter2 作曲家が知っておくべきビジネス新常識
2-1 原盤権、著作隣接権をビジネスベースで理解する〜自分で権利をコントロールする意識を持つ
2-2 デジタルマーケティングとメタデータの重要性〜聴くこと、広めること、お金にすることが一体化
2-3 古今東西の音楽を聴きまくり続ける〜感動経験こそが職業作曲家の最大の原資
2-4 アーティストのイコールパートナーとして〜透明性を前提に個人的な繋がりを構築する
2-5 外国人とコーライティングする〜グローバルに稼ぐ時代の基本戦略
鼎談:伊藤涼+Kaz+山口哲一
インタビュー:her0ism
REPORT The Asian SongWriting Camp in BKK
2-6 クリエイターとしてのブランディング〜プロとしての自己演出を忘れずに
Chapter3 AIとの付き合い方 feat. 浅田祐介
3-1 AIを使った創作の近未来〜誰でもできるようになっていく作曲という行為
3-2 オープニング対談:山口哲一+浅田祐介〜クリエイターに必要なマインドセット
3-3 プロの制作を支援するAI〜マスタリングから劇伴づくりまで
iZOTOPE Ozone
HIT'N'MIX RipX DAW PRO
Sound Gen
AIVA
3-4 AIによる音声合成の可能性〜それぞれ特徴的な3つのソフト
Dreamtonics Synthesizer V
Techno-Speech VoiSona
YAMAHA VX-β
開発者アンケート
3-5 歌詞の作成支援ツール〜情報収集からアイデア出しまで対応
Diatonic code Shikaki
Jarvis
OPEN AI ChatGPT
3-6 映像制作はデスクトップでできてしまう〜作曲家もミュージックビデオを作ろう!
neural frames
runway Research Gen-2
3-7 クロージング対談:山口哲一+浅田祐介〜AI時代の天才は必ず生まれてくる!.
Chapter4 CASE STUDY 複業作曲家という生き方
4-1 長沢知亜紀+永野小織 OFFICE WORKER×SONGWRITER
4-2 安楽謙一 A&R×SONGWRITER
4-3 ペンギンス A&R×SONGWRITER
4-4 深谷天祐 ARTIST×SONGWRITER
4-5 山崎あおい ARTIST×SONGWRITER
4-6 米澤森人 ARTIST×SONGWRITER
4-7 にゃんぞぬデシ ARTIST×SONGWRITER
4-8 灰野一平 A&R Sony Music Labels
Chapter5 Web3時代の音楽の楽しみ方と稼ぎ方
5-1 これからデジタル市場が広がる日本〜著作権の「債権化」による価値の上昇
5-2 クリエイターエコノミーの時代の職業作曲家〜スマートな印税分配の仕組みは必ず訪れる
5-3 テクノロジー進化による音楽体験の変化〜メタバース、立体音響、6G
5-4 それでも変わらないこと〜All You Need Is Love & There's No Business Like Songwriter.
おわりに あらゆる立場のクリエイターに捧げるインディペンデントなマインド
「Chapter3 AIとの付き合い方 feat. 浅田祐介」より、「クリエイティブ=人間、スキル=AIという線引きで考える」
「Chapter3 AIとの付き合い方 feat. 浅田祐介」より、Synthesizer Vの紹介部分
「Chapter3 AIとの付き合い方 feat. 浅田祐介」より、Gen-2の紹介部分
「Chapter4 CASE STUDY 複業作曲家という生き方」より、作家でありA&Rでもある安楽謙一氏のインタビュー