• トップ
  • PICK UP
  • SEKAI NO OWARI『RAIN』インタビュー|サウンド&レコーディング・マガジン2017年9月号より

PICK UP

  • サウンド&レコーディング・マガジン

2017.08.07

SEKAI NO OWARI『RAIN』インタビュー|サウンド&レコーディング・マガジン2017年9月号より

Text by Yoshihiko Kawai

 SEKAI NO OWARIが、2017年初の作品『RAIN』をリリースした。近年は『ANTI-HERO』『SOS / プレゼント』『Hey Ho』と3枚の作品をリリースし、三者三様の切り口で独自の世界観を表現。さらに今年はドーム/スタジアム・ツアー"タルカス"も成功させ、その歩みを止めることなく活動してきた彼らの新作は、映画『メアリと魔女の花』の主題歌となっている。楽曲制作は、映画の制作チームとも連携をとり行われたそうで、彼らにとっても新しい挑戦により完成したという。その「RAIN」とカップリング曲「スターゲイザー」の制作過程を、SEKAI NO OWARIのサウンド・プロデュースの要、Nakajinに語ってもらおう。

SEKAI NO OWARI

じっくり練って考えたというよりインスピレーションを大事にした

ー「RAIN」は映画『メアリと魔女の花』の主題歌になっていますが、曲作りの取りかかりはどのように?

Nakajin 映画ありきで作った曲なんです。映画制作を手掛けたスタジオポノックとの打ち合わせが昨年の年末にあって、そこで長めのミーティングをしました。米林(宏昌)監督と西村(義明)プロデューサーに、会社の成り立ちから『メアリ〜』を作るに至った経緯まで話を聞いて。絵コンテや背景などを見せてもらいながら、いろんな説明も受けました。すごく情熱的に話してくださったので、映画にかける強い思いが伝わってきたんです。そのエネルギーにインスパイアされて楽曲制作に取りかかりました。

ー作曲のクレジットはNakajinさん、Fukaseさん、Saoriさんになっていますが、どのように作り始めましたか?

Nakajin まず僕がデモを作り始めたんです。監督から、"この場面で曲が流れ始める"ということを聞いたとき、僕の頭の中で鳴った音があって。それは歌い出しとピアノの白玉で、歌から始めたいなと思いついたんです。そこからまずワンコーラスのデモを作ってメンバーに聴かせたら、"Bメロはこんな感じが良いんじゃないかな?"とFukaseがアイディアを持ってきたので、それをつなげてみたところで新しいサビを考えました。そのサビをさらにSaoriちゃんがブラッシュアップさせて今の形になったんです。

ーそうやって映画の話を聞いてインスピレーションを受けて作るというのは新しいやり方でしたか?

Nakajin 過去にもあったんですけど、今回は何度もスタジオポノックへ行って、アニメーターさんが作業している場面も見学させてもらったんです。そのときに、アニメの世界も、多くの人がかかわり、画を描いて、中にはボツになってしまうものもあって、そういった現場のリアルさは音楽に通じる部分があるなと。僕個人としてそこにすごく反応したんです。そういった意味でも同じ気持ちで作れたというか、チームの一員として主題歌を作れたと思います。

ーサウンド的にはかなり音数も絞られていますね。中でもハンマー・ダルシマーの音がフックになっています。

Nakajin そうですね。使われている楽器は、ピアノとギター、ベース、ドラム、ストリングス......ハンマー・ダルシマーは唯一の要望で、最初の打ち合わせのときにできていたサントラの音にも使われていて、この映画の中でシンボリックな音として存在していました。なので主題歌でも使ってほしいということだったんです。

ーそうだったんですね。それにしてもSEKAI NO OWARIとしては珍しくシンプルなアレンジです。

Nakajin そうなんです。僕らはここ最近の楽曲で、アレンジに何かしらフックになるような音や楽器などを使っていたんですけど、今回はそれをあえてせずに、"新しいことをしない挑戦"をしてみたんです。

(続きはサウンド&レコーディング・マガジン2017年9月号にて!)


品種雑誌
仕様B5変形判 / 252ページ
発売日2017.07.25