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H ZETT M〜4年半ぶりのソロ・アルバム『共鳴する音楽』を語る|キーボード・マガジン 2017年10月号AUTUMNより
Text by Nao Yamamoto
H ZETT Mが、実に4年半ぶりとなるソロ・アルバム『共鳴する音楽』を6月にリリースした。前作『魔法使いのおんがく』同様、ピアノ1台で作り上げた作品だが、そこにはさまざまな情景、物語をイメージさせる色彩豊かなサウンドが広がっている。最近ではH ZETTRIOとしての活動が目立っていたが、なぜこのタイミングでソロ作を発表するに至ったのだろうか。今回は、H ZETT Mというソロ・アーティストとしての制作活動を振り返ってもらいつつ、最新作の内容について話を聞いた。
"このフレーズをこう展開したら、面白いなっていうのが見えてきた"
─曲に関しては、4年半の間に書きためたものなんですか?
H ZETT M その間に書いた曲もありますが、ピアノを習い始めてからのどこかで書いた曲もあります。18歳のときに書いたメモもあれば、3年前のスケッチとか、スタジオ内で書いた曲も混ざっています。昔に書いたメモは曲としては出来上がっていなくて、8小節とか16小節のフレーズだったりするんです。そのメモを、現在のスタジオ内で、作り上げたっていうパターンもあります。そのやり方が多いかもしれないです。
─H ZETT Mさんはずっと曲を書き続けているとよくおっしゃっていますが、例えば10代のときに書いたメモの中から、なぜそれを今回選んだのかなって。
H ZETT M そのとき一番いいなと思ったものを選んでいるつもりなんですね。だから、(自分に)先に取られてしまってたか!っていうのは結構あります(笑)。
─レコーディングにはどれくらいかかったんでしょうか?
H ZETT M 2017年の2月23日から5月7日の間に録ったんですが、3~4月はH ZETTRIOのツアーをやっていたので、実質は8日間ですね。
─『未来の音楽』の1曲目に入っていた「新しいチカラ」が、2017年バージョンとなって今回のアルバムにも入っています。それも"音楽"シリーズのコンセプトとしてあったんでしょうか?
H ZETT M 「新しいチカラ」という曲は、『未来の音楽』の中では珍しい曲で、その場で書いて録った曲なんです。10何曲か録った後で、次の曲をレコーディングしようと、ドアを開けてピアノの前に座ったら、急に"こういう曲がやりたい!"と思ってバーッと書いてその場でレコーディングしたんです。そのせいか、この曲には勢いがあるかなと思ってまして。その後の独演会シリーズでも、毎回に近いくらい弾いていたんです。そうしたらだんだん、いろんな閃きというか、このフレーズをこう展開したら面白いなっていうのが見えてきたんです。また新しいバージョンで、成長した姿を皆さんに見てもらいたいなと思って入れました。『未来の音楽』のバージョンは、今思えば単純ですよね。この新しいバージョンは、大人になったって感じですね。
─それから、2枚組というのも"音楽"シリーズには共通していますね。
H ZETT M 最初がそうやって始まってしまったもので、それを続けているという感じです。なぜ最初に26曲だったのかっていうのは......自分でも何曲入れていいかというのはちょっとよく分かってないんですけど。ただ、出来上がってみると曲が多くて自分でもびっくりしますよね。
─24曲くらいまできたときに、つらくならないかな?と思ったりしますが(笑)。
H ZETT M いえ、24曲くらいまでできたときは、あと2曲だ!っていう喜びがあります(笑)。それよりちょっと前くらいが、次はどうしようかっていうのがありますよね。
─ディスク1、2への曲の割り振り方というのはどう考えているんですか?
H ZETT M その辺も瞬発力で、"どうかうまくいってくれ"と天に祈る感じでやってますね。曲名や曲順を考えてレコーディングしてないので。曲が全部できたという段階で、曲名を考えて、並べていくんです。曲を聴いて、"これは1曲目かな""次はこれかな"という感じで。だから大変でしたね。
─この曲の後にこの曲を入れよう、と作っていくわけではないということですよね?
H ZETT M はい。だから、バランスを考えて曲を録っていくというか。ある1日のレコーディングで、1曲目に激しい曲をやったら、次は中間ぐらいのテンポの曲、3曲目は気の抜けた曲、4曲目はゴリゴリに弾きまくるもの、という感じで録るんです。それによって、何となく全体的にバランスをとることにつながっていく、うまいところに配置されていく気がしますね。
(続きはキーボード・マガジン 2017年10月号 AUTUMNにて!)
キーボード・マガジン 2017年10月号 AUTUMN
品種 | 雑誌 |
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仕様 | A4変形判 / 180ページ / CD付き |
発売日 | 2017.09.08 |