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2017.09.30

Buddy Richドラムに変革を起こした真のレジェンド|リズム&ドラム・マガジン2017年11月号より

Programmed by Rhythm & Drums Magazine

 1歳でスティックを握り、そのわずか半年後にはステージ上に立っていたという天才、バディ・リッチ。 スウィング全盛期にジャズの世界に飛び込むと、舞台で徹底的に磨き上げた超人的なテクニックと、ショウマンシップ溢れるパフォーマンスで、その名を世界に轟かせ、スターダムを駆け上がっていった。 それまでサイドマンとしてしか扱われなかったドラマーをバンドの花形へと押し上げた立役者であり、 現在も世界中のドラマー/ミュージシャンに影響を与え続ける、まさにレジェンド ! バディ・リッチがいなければドラムの歴史はまったく違うものになっていたことだろう。そんな彼の誕生から、2017年9月30日で100周年という節目を迎える今回、本誌初となるバディ・リッチの総力特集を敢行! 彼が残した偉業の数々をさまざまな角度から振り返っていきたい。

知られざるバディ・リッチの"ドラム哲学"

─生まれはどちらですか?

BUDDY ブルックリンだ。

─あなたのご両親はヴォードヴィルに所属していて、あなたも若い頃は優れたタップ・ダンサーだったという話は本当ですか?

BUDDY ああ、そうだよ。タップをやっていたんだ。

─ではドラムについてフォーマルな教育を受けたことはありますか? レッスンを受けたり音楽学校に通ったりとか?

BUDDY ないね、これまでにレッスンを受けたことは皆無だ。音楽学校に関しても、知人を訪ねるために一度バークリーの中を歩いたことがあるくらいだね。

最初に手に入れたドラムが何か覚えていますか?

BUDDY 自分が持っていた初めてのドラム・セットの写真は見たことがあるよ。私がドラムをプレイし始めた当時のタムは固定してあって動かせなかったし、今みたいなセットはまだ製造していなかった。

ご両親と巡業していたとき、あなたはオーケストラ・ピットに座らされていたとのことですが、当時のあなたが関心を持ったのは、やはりいつもドラムだったのでしょうか?

BUDDY そうだね。

練習もかなりしてきたのでしょうか?

BUDDY いや、特に練習したことはない。練習をするという機会をまったく持てなかったからね。私はこれまでずっと働き続けてきた......ずっとドラムをプレイしてきたんだ、全人生を通してね。今となってはそんな(練習みたいな)面倒なことに構っていられない。他にもやらなければならないことがたくさんある......武道や車のメンテナンスとかね。いずれにせよ私はあまり練習に重きを置いていない。

今話していただいた内容に関して、もう少し詳しくお話いただけますか?

BUDDY 練習すればするほど上達するという考えは、私は間違っていると思う。うまくなるためにはプレイするしかないんだ。部屋や地下室に籠って、1日中ドラム・セットでルーディメンツを練習したり、スピードを鍛えても、実際にバンドとプレイすることを始めない限り、(本当の意味での)テクニックを学ぶこともできないし、テイストも磨かれない。どのようにバンドと一緒にプレイすれば良いのか、バンドのためにはどういうプレイが良いのかを覚えることはできないんだ。それは実際にバンドとプレイしないと身につけることはできない。どんな仕事でも良い......例えば4人編成のバンドでやるという仕事の発注を受けたとして、その上で練習するのならば、それは自分が成長する良い機会となるだろう。でもそれ以外の練習なんて退屈だ。そう思わないかい? 1日4時間から8時間練習しろと生徒に言う教師達を私も知っている。でもね、自分がやろうとしたことを1時間かけてもできないようなら、4日かけてもきっと無理だと思う。

─あなたは亡くなったジーン・クルーパとは親しい友人同士だったのですよね?

BUDDY そうだ、彼とはとても親しくしていたよ。

彼から影響を受けたと思いますか

BUDDY 自分より前にプレイしていたすべてのドラマーから影響を受けたと考えているよ、あらゆる意味でね。30〜40年前には本当にありとあらゆる個々のスタイルがあった。そこで名を馳せたドラマー達はみんな、それぞれ独自のプレイによってその名を知られることになったんだ。そういうドラマーは他の誰とも違う個性的なサウンドを持っていた。だから私が聴いてきた人はすべて、何らかの形で私に影響をおよぼしたと言えるんだ。

─あなたのスタイルにおいて、特に強く影響を受けた人はいますか? あるいは特にこのタイプの 音楽、とか。

BUDDY そうだね、ジャズにおいて私が最初に影響を受けたのはおそらくベニー・グッドマンとカサ・ロ マ・オーケストラの2つだと思う。それからもちろんカウント・ベイシー、そして30年代後半〜40年 代初期に活躍した黒人のバンドだね、そこでは本物のプレイヤー達が演奏していた。彼らはジャズ・ ドラマーだけに限らず、すべてのミュージシャンに影響をおよぼした。クリエイティヴなアーティ ストで溢れていて、それぞれがまったく違う個性を持っていた。

30年前にビッグ・バンドと一緒にプレイしていた音楽の方が、今やっている音楽よりもお好きなのでしょうか?

BUDDY 私は自分がプレイしてきたものすべてが好きだ。つまり私はこれまで一緒にやってきた、どのバンドも気に入っていた......バンドごとに異なるコンセプトがあって、それぞれ違うバンド・リーダーが率いて、異なるメンバーや音楽のテイストでやっていたからね。いろいろなものを聴かないと、物事に進歩はなく停滞してしまい、その結果、1つのことに留まってしまうものだ。だが私はたくさんの多様なバンドや変化に富んだ音楽テイストでやってきた。この時点で私には独自の音楽テイストを持つ資格があるように感じているんだ。

(続きはリズム&ドラム・マガジン2017年11月号にて!)


リズム&ドラム・マガジン 2017年11月号

品種雑誌
仕様A4変形判 / 168ページ / DVD付き
発売日2017.09.25