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今、音楽で稼ぐ方法

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バンドマンには、覚悟と野心が必要。

味間正樹

ライヴ・ハウス ブッキング・マネージャー

下北沢の名門ライヴ・ハウス「屋根裏」のブッキング・マネージャーとして、数多くのバンドマンたちと接してきた味間正樹氏。今年9月に著書『本気でバンドを仕事にしたい人へ』も出版した氏に、今の時代にバンドで成功するための条件を尋ねた。

※このインタビューは2012年12月に行われました。

駆け出しのバンドの収入源は2つしかない

●“稼ぐ”というテーマなので、まずはバンドの収入源にはどんなものがあるか教えてください。

○“1.ライヴによるチケット代からの収入”と“2.物販収入”です。バンドが売れて有名になればテレビの出演料やCDなどの印税が関係してきますが、駆け出しのバンドの収入源は基本的にこの2つしかありません。集客力や物販の売れ行きはバンドの現状を知る良い材料になりますし、それらを知ることが今後の活動をどうしていけば良いかを探る機会にもなります。

●やはりバンド活動は“集客”が基本になるのでしょうか。

○“集客”は言うまでもなくチケット代からの収入を得るためなのですが、良いライヴをするためにも必要な事柄です。いくら良いライヴをしてもお客さんがスカスカの会場では盛り上がるはずがありません。同じレベルのバンドでも集客力のあるバンドとそうでないバンドとでは良いライヴができる可能性に大きな違いが出てきます。

●集客を増やすコツはありますか?

○当然、曲やライヴが良くなければいけないのは言うまでもありません。そのうえで重要になるのは、自分たちのライヴのあと、アンケートを取るなどしてより多くのメール・アドレスを手に入れられるかどうかだと思います。最近ではSNSの発達などにより、ネット上での告知活動が容易に行なえるようになってきました。しかし、実際に自分たちのライヴを観てくれた人に連絡先を教えてもらいライヴ告知をするのは、最も大切な集客活動です。一度ライヴを観て良いと思ってくれていても、ライヴ告知が確実に届けなければ、再び来てくれる可能性が一気に下がります。

さまざまな要素が連鎖してバンドは有名になる

●物販もバンド活動のなかで重要な事柄でしょうか?

○もちろんです。物販をより多く売るということは、お客さんの生活に自分のバンドをもぐり込ませるという意味でも重要になってきます。物としてお客さんの部屋に存在するのとしないのでは、そのお客さんにとってバンドの存在感が大きく変わってくるからです。

●物販についてのアドバイスをお願いします。

○最近は商魂たくましいバンドが少ないように感じます。その押しの弱さからか、お客さんが欲しそうにしていても、あと一歩のところで購入に至っていないような光景をよく見かけます。メンバー自らが積極的に売るのに抵抗があるバンドは、スタッフを用意して対応すれば良いと思います。また、どんなに好きなバンドのグッズでも普段から着られないデザインのTシャツなどは売れません。クオリティやデザインにこだわることも大切です。

●それ以外に、“稼ぐ”という点でアドバイスはありますか。

○収入を得るという意味でももちろんですが、とにかくバンドは集客、物販ともに命がけでするべきです。お客さんは人が集まっているところに集まるし、Tシャツなどの物販は勝手にバンド名を広めてくれる可能性になります。さまざまな要素が連鎖してバンドは有名になるし、結果的にそれが収入につながります。

結局重要なのは、いかに活動を楽しめているか

●CDが売れないと言われて久しいですが、現在ライヴ・ハウスに出ているバンドに求められていることとは何でしょうか?

○CDが昔ほど売れなくなった今、バンドはこれまで以上にライヴの集客で収入を得なければいけません。裏を返せば、ライヴが良くないバンドはこの音楽業界で生き残っていくのはほぼ不可能です。曲や音源が良くなければいけないのは当然として、演奏力やライヴ力に磨きをかけるのも、これからのバンドにはより一層必要になってくることだと思います。

●今後の音楽業界で生き抜いていけるバンドマンとは、どんな人だと思いますか?

○僕は『本気でバンドを仕事にしたい人へ』という本を書きましたが、その冒頭で“バンドは会社のようなものだ”と書きました。CDを製作して宣伝し、売る。ライヴを企画して、チケット代から収入を得る。大小はあるにせよ、メジャー・バンドも駆け出しのバンドも基本的にやっていることは同じなのです。もちろん、レコード会社や事務所に所属することも多くのメリットがありますが、得た収入の多くを持っていかれることにもなります。僕は活動の規模が自分たちの手で追いつかなくなるまでは、バンドの運営をすべて自分たちでやるべきだと考えています。そうすれば、儲けはすべて自分たちのものになります。これからのバンドマンには、そういった経営者的な感覚が求められるのではないでしょうか。すでに音楽業界の流れがそのように向いている気がします。

●最後に、これから音楽で生計を立てたいと思っているバンドマンに、メッセージをお願いします。

○バンドマンにとって、今の音楽業界は本当に厳しい状況だと思います。しかし、音楽で生計を立てている人は確実に存在するのです。人生はたった一度しかない。それならば、しかるべき努力をして自分もそうなるべきなのです。とにかくバンドマンには、その覚悟と野心が必要だと思います。あわせて、バンド活動は本当に大変なものです。トントン拍子にうまくいくことなんてほぼありません。バンドをしていくうえでかかる費用もかなりのものです。愚痴や不満を言いたくなる場面も増えていくと思います。そのなかで、いかに楽しくバンド活動ができているかは、とても重要だと思います。バンド音楽は人間が演奏する音楽です。それゆえに、音に楽しさや感情といったものがものすごく表われやすいのです。本人たちが楽しめていない音楽ほど聴いていてつまらないものはありません。まずは楽しむこと。やはりこれが一番大切だと思います。

●どうもありがとうございました。

このインタビューの内容に興味を持った方は、味間正樹氏のノウハウが満載された書籍『本気でバンドを仕事にしたい人へ』もぜひご覧ください。

またRandoMでは、 味間正樹氏の別のインタビュー「成功できるバンドの条件とは?名門ライヴ・ハウスの ブッキング・マネージャーに聞いた!」もお読みいただけます。

本気でバンドを仕事にしたい人へ

本気でバンドを仕事にしたい人へ

  • 著者:味間正樹
  • 仕様:四六判/224ページ
  • 発売日:2012.9.20

味間正樹

味間正樹 プロフィール

高校時代にドラマーとして地元・滋賀県でバンド活動を開始。その後、27歳で上京し、ギタリストに転向。バンド活動と並行して、着物の染織家の弟子入り、鉄工所、レコーディング・スタジオ、金融会社などでの仕事を経験する。2006年から下北沢屋根裏のブッキング・マネージャーを務め、数多くのバンドを見てきた経験から、出演バンドにアドバイスと励ましの言葉を送り続けている。

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